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理力と共にあらんことを

冒険家の皆さん、今日も通りのすがりの遊牧民の老婆に苗字を聞かれて「スカイウォーカー」と答えていますか?

さて、封切り初日の最初の上映時間に息子とスターウォーズのエピソード9を観てきました。ネタバレになることは書きませんが、映像も音楽も素晴らしく、多くの人にオススメしたいと思います。その上で、古いスターウォーズファンが不満を感じていることについて書いてみたいと思います。

僕が古いスターウォーズファンに言いたいことは、僕たちはもうルーカスと一緒にシリーズを卒業したんだっていうことなんですよ。それは確かに、40代や50代の人にとっては、ツッコミを入れたいところもたくさんあります。特に、単なる活劇や映像美だけではなく、エピソード1から3で民主制がいかに崩壊するのかを丁寧に描いてみせたルーカスを評価している人にとっては、特にエピソード9は不満に思うところもあるでしょう。

だけど僕だって今考えてみれば、宇宙戦艦ヤマトで彼らがどうやって補給なしにイスカンダルまでたどり着くことができたのかなんて考えていませんでしたし、それでも「エネルギー充填120%!」はかっこよかった。

それでいいじゃないですか。

今回のエピソード9の中にも、そういうシーンは沢山ある。ちょっと検索するだけで、世界中のいろいろな地域で、日本語や英語で、特定のシーンについて、それがいかにクールなのかを10代の若者が熱く語っているのを見つけることができます。僕が今でも「エネルギー充填120%!」を覚えているように、そして、この文字列を見るだけであなたの脳裏に古代進の声が再生されるように、エピソード9を見た若者たちにとっても、それは忘れられないものになるのでしょう。そして世の中のことがある程度見えてくると、「よく考えてみるとあれって変だったよね」と気がつく日が来るでしょう。それでいいんだと思います。

そうそう、もう一つ。

「よく考えてみるとあれって変だったよね」と思い始める頃には、「そんなことも分からない制作者って意外とバカだったんだな」と思うようになるでしょう。僕だってそうでした。そして「俺も大人になったもんだな」などと青年は思うのです。 だけど、その当時の僕がわかっていなかったのは、「製作者はそんなことは百も承知で作っている」ということでした。何の補給も受けないまま1年間も一隻の宇宙船が戦い続けることができるはずがないことなど、一つのテレビ番組や映画を作るぐらいのお金や人が動かせる人に分からないはずがないのです。もちろん物理法則などに関してはそういうこともあるかもしれませんが、社会や経済の視点でありえないようなことが物語になっていても、あくまでもファンタジーとして作っているだけだったんですよね。あえて言えば、あなたがそのターゲット層から外れてしまったというだけのことなのです。もっとはっきり言うと、あなたはもう卒業する年齢になったのです。

それでいいじゃないですか。

映画を作る人にも、いろんな事情があります。どのぐらいの世代に焦点を当てるのかによって、その映画の売上も変わるでしょう。そしてある程度の売り上げがないと、 人気のある俳優を雇って、子どもたちに夢を与えることもできなくなってしまいます。そして実際に、スターウォーズシリーズは、かつての僕も含めて多くの子どもたちに夢を与えてきた。そしてエピソード9も同じように今の子どもたちに夢を与えて欲しいと思っています。

それでいいんじゃないですか。

まあそれはちょっとは寂しいですけど、彼らは僕のために映画を作っているのではない。僕一人のためだけではなく、僕の世代のために映画を作っているのではないのです。それはちょっと寂しいけど、でもそれでいいんだと思います。僕たちの世代を納得させるためには、もっと違うテイストが必要になるでしょう。そしてそれは子どもたちに夢を与えるスターウォーズとは違うものになるのではないかと思います。 僕たちの世代には子供には分からない種類の映画もあります。

今の子供たちがスターウォーズをみることによって、ダースベイダーがなぜダークサイドに堕ちたのかを知るためにエピソードの1から3を見ることもあるでしょう。そしてそれを見た後で、現実の身の回りの社会を見て、民主制の危機に気がつくこともあるでしょう。それでいいんだと思います。語り継がれることによってしか伝えられないこともあります。

そして何より、あまりにも単純化されすぎていはいますが、エピソード9にもそうした力強いメッセージは含まれています。もちろん僕たちの世代が見ると「おいおいそんな簡単にうまくいくわけないだろ」とツッコミたくなるような単純さではありますが、それでいいんだと思います。繰り返しますが、そこで突っ込みたくなるような人たちは、もうスターウォーズを卒業しているんですよ。

ということで、一言だけ書こうと思っていたのに思ったより長くなってしまいましたが、今までのシリーズを全部見ていない人にとっても、エピソード9は楽しむことができると思いますし、 旧作へのオマージュなどもたくさんあって、 大人じゃなければ笑えないところもあります。それまでの経緯を知っている人なら、「お前が言うな」と突っ込みたいところもたくさんあるでしょう。確かにちょっとありえないだろうと思うようなところもありますが、そこの部分は「まあ俺も大人になったんだな」ということで優しく見守ってあげてください。

最後に、この物語を作り始めたジョージルーカスや、それを引き継いだ皆さんに改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

そして冒険は続く。

(100メートルぐらいの高さの巨大な波のシーンがあるので、津波のPTSDなどをお持ちの方は注意したほうがいいかもしれません)

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