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相互評価のコメントの管理

冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

似たようなことは今まで何度も書いているのですが、今後の成人教育や高等教育は、MOOCのような大規模で効率性を高めたものに、参加者同士のディスカッションなどを合わせたものになっていくだろうと僕は思っています。そして実際に今、行動中心アプローチのオンライン研修もそうした方向で実施しています。

参加者が何百人もいる場合は、自動採点を覗き、担当の教師が一人で成果物などを評価するのは現実的ではありません。その場合は参加者同士の相互評価が中心になってくるだろうということは以前にも述べました。そして今回のコースでも相互評価の仕組みを取り入れています。

それで見えてきた相互評価の問題の一つは、コメントやその受け取り方についてかなりの温度差があるということです。ひとつの成果物に対しても、ビシバシ突っ込む人もいれば、オブラートに包んで優しく指摘する人もいますし、中には良いところを指摘するだけで特に改善点は何も触れないというケースもあります。

また同じようなコメントをもらっていても、「コメントが少ないから何とかしてほしい」という人もいれば、ストレートなコメントを読んで動機を落としてしまう参加者もいます。これは本当に千差万別で、しかもどれかが正しいというわけではありません。

一番望ましいのは、厳しいコメントを求める人と厳しいコメントをする人がペアになることです。しかしこれは実のところなかなか難しい面があります。適切な人同士の組み合わせを作るのがとても難しそうですし、同じ人にとっても、「しっかり準備して厳しいコメントでも大丈夫」という時もあれば、「今回はあまり準備できなかったので 穴があることは自分でもよく分かっている」ような時もあるからです。

こういう問題はもちろん今に始まったことではありません。ただ、今まではどちらかと言うと「きつい言い方はしないで」という方向で対応してきました。というのも、厳しいコメントを求める人に甘いコメントが来たときのダメージよりも、その逆のほうがダメージが大きいように思っていたからです。

ただ、今回は具体的なことは書きませんが、直言を求めるタイプの人も期待通りのコメントが来ないとストレスがそれなりに溜まるらしいと思うようになりました。

それで今回初めて導入してみたことがあります。それは自分の成果物を提出するときに、どのようなコメントを求めるかも書いてもらうということです。具体的には

厳しくたくさん指摘してほしいです。「特になし」は嫌です。
お手柔らかにお願いします。「特になし」でもいいです。

という二つの他に「その他」として自由記述もできるようにしてあります。

これで問題が完全に解決できるからはまだ不明ですが、少なくとも改善点の指摘やその感じ方はとても多様であるということと、こうした相互評価を今後も取り入れる場合はこうした視点は持っておく必要があるということは、皆さんのお陰で学ぶことができました。

今後、余裕がありましたら、今回の試みの経過などもを共有させていただきたいと思っています。

そして冒険は続く。

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【参考資料】
むらログ: 相互評価の効率的な数値化
http://mongolia.seesaa.net/article/480032261.html

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