【詩】影へ
天まで斜めに、そびえたつ集合団地
うっすら覆う雲たちから
太陽は気怠げに主張する
どこまでも伸びる団地の影
しんと静かな、鈍色の大地
タタン……とひとつ、足音が駆け抜ける
遠くに人影が立ち、あなたに手を振る
あなたはそれに応え、手を振り返す
そして人影は優しい笑みを浮かべる
薄灰青の空から、やわらかな光がいっそう強まる
人影は団地をどこまでも駆け昇ってゆく
あなたはそれを、追いかける
どこまでも、
どこまでも
団地を天高く、駆け登って・・・
あなたは目指す
いつかのあたたかな、あの場所へ
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