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マスクの誤解を解くよ


 今後も長く続くwithコロナ生活。対策の一翼を担うマスクについて、一般の方の誤解が多そうなところに焦点を当てて説明をします。

 マスクには、大きく分けて3種類あります。

マスク三種花

 これらは見た目も違えば対象も異なります。
 なおサージカルマスクの再利用✕と書きながらも実際には炊飯器保温でウイルス不活性化して再利用しまくっている現状に泣いたのは内緒だ。くうっ。

 当初はアルコールスプレー除菌をしていましたが、それじゃまずいと教えていただいた時のTweet ↓


 気を取り直して。

 これらは高機能な程良い・・・訳ではないです。そこんとこ説明。

 N95は「NIOSH(米国労働安全衛生研究所)のN95規格をクリア」したものだけが名乗れるマスクです。エアロゾルを通さないので術者の感染対策には重要ですが、ぶっちゃけ苦しいので、一般人が日常生活で使うものではありません。

 ↓ N95について詳しいことはこちらを参照 ↓

フィットテスト研究会「感染症対策としての呼吸用防護具」

https://square.umin.ac.jp/fittest/pdf/ft_text.pdf

 ↓ N95再利用についてはこちらが詳しいです ↓

http://jrgoicp.umin.ac.jp/index.html

中国製KN95の不良品に関しての記載もあり、勉強になります。


 次に、サージカルマスクの布マスクに対する大きなアドバンテージは撥水性です。サージカル(=外科の)という名前どおり、外科手術で血しぶきを浴びるときに使う目的で作られたマスクです。感染者の世話をする時に目の前でツバが飛んできそうな時にも必要です。

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 最後の布マスクは洗って繰り返し使えるのがメリットです。

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 でも撥水性がないので、患者に目の前でブシャアっとやられるとキツイ。なので日常的に患者に触れる医療職には不適切なんです。

 というと「一般人は布マスク使えなんて感染しても良いのか!プンスカ!」という声が聞こえますね。しかしサージカルマスクだって脇はスカスカだし、フィルター能力としてもエアロゾルに対する防御力は無いに等しい。

 それなのに何故、猫も杓子も、症状がなくてもみんなでマスクをするべきなのか。(それをユニバーサルマスクと言います)

 実は、新型コロナの特徴として、発症直前の潜伏期患者が最も感染力が高い、ということがわかってきました。

↓ これの2章参照 ↓

 マスクは下のスパコン富岳のシミュレーションを見ても、マスクをしているヒトから出る飛沫を減らす効果はそれなりに高いです。なお青がエアロゾル、それ以外の大きな粒が水色から赤で表示されています。マスク無しはエクトプラズムみたいですが、真面目なシミュレーションです。

マスクエアロゾル

 でも隙間からエアロゾルは吸えますので、「個人」の感染予防効果は高くないです。

 つまりマスクは outは相当減らせても、inは防ぎにくい。

 発症前の呼気にもウイルスが含まれてますので、症状があろうとなかろうと大多数がマスクをしておけば、集団としての感染リスクが下げられます。なおガーゼマスクは洗濯を繰り返すことで毛羽立ち、フィルター機能は増える傾向にあるそうです。

 放射線に例えるのはその後の挙動が違いすぎるのであまりやるべきではないのですが、線源近くに遮蔽板を置くのか、被写体近くに遮蔽板を置くのかの違いみたいなものです。線源の近くに遮蔽板を置いたほうが、効率よく防げるのと似てます。

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 ということで結論。

 症状がなくても!他人のために

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 勿論、手洗いと三密避けも同時にお願いします。


謝辞
 炊飯器保温でサージカルマスクのウイルス不活性化については、あたぴー先生 @atarax_p 肉球先生 @29Qsensei に助けていただきました。コロナ禍の混乱のさなかご指導いただけたこと、誠にお礼申し上げます。












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