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私の純猥談 超々短編「INSANE」

「今すぐ追いかけて来てくれたら、きっと違う結末が待っていたんだろう。」
そう言う貴方に、「それはお互い様だ」と吐き捨てる。
日常の会話も、何処か宙に浮いてしまう。
サイレンの音が、叫び声の様にも聞こえる。
こんな関係にうんざりするのも、お互い様なのだろう。
後何回、傷付け合えば気が済むのだろうか。
後何回、抱き合えば打ち明けられるのか。
自問自答の様に、頭を駆け巡る卑猥な感情に、左右させられてしまう。
結局諦められずに、後悔も先に立たず。
諦めて、濱のあいつはもう掴めないのだから。
「今度会うときは、地獄だ」
「あたしの前から、消えないで」
「出来ない約束は、するものじゃあない」
「もう一度、抱きしめて」
あの野郎は、あたしを愛しているフリが上手かった。
あたしはイったフリが完璧だった。
それでも草臥れたラブホの浴室で、傲慢なあたしと怠慢なあいつで、
夢中になった。不確かな事実に目を向けられなくて、誤魔化すように夢中になった。
朝が来たら、元の場所へ返さなければいけない。あたし自身も戻らなくてはいけない。そんな葛藤が、胸を締め付けて来るのだ。
お互いの秘密が大きくなるほど、あたしたちは惹かれあったし、馬鹿にもなれた。
秋葉原の改札前の店も、その後の名残り惜しいキスも、今じゃもう祭りの後なのだ。
「次に会うときは、地獄で会おう」
ポツリと呟いた彼のまつ毛さえも、憎らしかった。
だから、御望み通り地獄に向かって手を振るよ。


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