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私の純猥談 超短編「衝動」

柔らかくて赤い血管を、もう一度吸い込んでみる。
苦痛に歪む君に、欲情する。あまりにもサディスティックな自分のB面に驚いてしまう。私はこんなにも、愚かな人間だったのかと思わされる。でも、衝動は止められない。
なんとも不可思議な、なんとも強かな、感情の渦に君の身体ごと押し込んで、流して消えてしまいたいとも思う。
私の顔を見て怯む、貴方の目を、体を、唇を逃さない。逃がしてしまえば、この関係を否定されてしまう気がして、怖気付いてしまうの。
ただ静かに、首筋に浮かぶ血管に牙を剥ける。鳴いて、喚いて欲しいと思う。その衝動は、どこから間違ってしまったのだろう。
口いっぱいに広がる衝動に、私はほくそ笑む。こんな筈ではなかったのに。
貴方は「愛してた」と、笑った。私は、両手に力を込めて泣いた。

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