見出し画像

賢人が描いた行動ターゲティングの姿

改正個人情報保護法が成立。デジタルマーケティングに関わり10年。業界の変化を感じながら過ごしてきた中では大きな変節点のニュースでした。今後マーケティングにデータ活用をとりいれていくために私自身がどうこの動きと向き合い準備していくことが求められるのか先人の知恵を借りながらこれからの道を何度かに分けてさぐっていきます。

本日のアプローチは、時代を15年さかのぼり広告業界の賢人が書き記した3冊をとおして追体験をしてみたいと思います。ネット広告業界を常にリードしてきた大巨匠が当時どのような世界を描いていたのか、現在その理想と現実はどう変化したのでしょうか。

広告・好告

『行動ターゲティング広告』の一文に目がとまりました。

行動ターゲティングはじゃまもの扱いされていた広告をユーザーにとって有益な情報へと昇華できる大きな可能性を持っているということです。
行動履歴を元にユーザーが求める情報を配信することができれば、それはadvertising[広告]ではなくinformation[情報]であり、ひいてはrecommendation[オススメ]になっていく可能性があるということです。

『生き残るための広告技術』の中ではパーソナライズされた時代においての広告のありかたを下記のように表現されています。

インターケット広告が生き残っていくには~(省略)。無関係な広告は雑音である。個人のニーズに合わなければ雑音である。 P94

当時ターゲティング精度がまだ不十分な時代においては、ユーザーの興味関心がわかり、ねらったユーザーに広告を届けられることは当たり前ではなかった。そして生活者の役に立つ情報を届けていけば、広告は生活者との関係を強く結び付けられる道具として利用できると考えられていたのだと思います。
2020年広告はこのように消費者に受け入れられているでしょうか。情報でありオススメになっているでしょうか。一度訪問したページの広告は数秒後には別のページに表示される。それも何度も何度も。ときには不要な商品を押し付けられているような印象をもちます。

生活者の情報をブラウザから収集して個人の興味関心を特定しているにも関わらず広告の受け入れら方はオススメからは程遠く邪魔者扱いに近い印象を持たれているのが実情ではないでしょうか。

広告賢人たちが描いた広告と生活者との理想の関係を実現するためには、広告手法を狭めて制限するよりも、コミュニケーションのありかた自体を考え直すことが求められ始めているのだと思います。利潤追求だけではなく、人間どうしの気持ちの関係構築をテクノロジーの力も使って見つめ直すことも大事ではないでしょうか。ターゲティング、データ活用先行で人との関係性を置いてけぼりにした結果がCookieの活用に制限をかけることにつながっているのかもしれないなと、自分の行動も改めてみつめ直すときなのかもしれませんね。

ターゲティングは完璧な技術ではなく、まだ発展途上にある。私達は双方向なマーケティング環境、人間の行動、インターネット上での効果的なコミュニケーションの手法や見たことも会ったこともない人物とどう会話を始めるかについて、まだ多くを学習している段階に過ぎない。暗闇の中、手袋をして砂場から宝石を探すような手探り状態なのである。 『生き残るための広告技術』P26

最後に上記は2005年に書かれたターゲティングは発展途上にある~という文章ですが、この視点は今なお発展途上であり継続的に進化していると思います。15年の時間を使い、何が変化して何が変化していないのか。そして正しく発展した部分、間違って発展させてしまったこと。そんなことを考えながら、新たな生活者との関係を強くするアイデアを練りたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。よろしければサポートお願いします。