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見えないものを見るように
普段、よく選手達に「味方の頭の中を覗け」って言う。
味方が何をしようとしてるのかを感じて動いてね、ということなのだけれども
何もこれは選手間同士だけでなく、僕らコーチも、選手の頭の中をよーく覗きながら、指導に当たらなきゃいけない。
例えば何かミスが起きた時も、表面上に起きたそのミスを指摘する前に、なぜそれが起きたのか、その時にその選手の頭の中はどうなっていて、何を考えていたからそうなったのかということを、ちゃんと想像してから声をかけないといけないですよね。
そこまで至らず、ついついミスにすぐ反応してしまう自分もまだいるので、何も偉いことは言えないのだけど。
尊敬してやまないある方に、昔こう言われました。
「指導者なら、見えないものを見なきゃアカン」と。
至言そのもの。
目に見える表面上のことではなく、その背景、過程、思考。
つまりそこに至るにはどんな真実が隠されていたのかを、指導者は、しっかり見ないといけないのだと。
目に見えるものは事実。でも、真実は目に見えない。
見えないものを見る。つまり真実を見ろ、ということなのだと自分は解釈して、今を生きてます。サッカーに限らず。
あの方はこうも言っていた。
「選手が何かミスをした時にどんな声をかけるか。そこに、指導者の生き様が出る」と。
選手の真実を見抜いているか? その選手に、本気で接しているのか。
つまり
ミスをした時にかける言葉(振る舞いも含め)は、その指導者の生き様と本気度を示すリトマス試験紙のようなもの、なのだろう。
パーソナルトレーニング・君だけのコーチ で出会った、ある6年生の話。
彼は所属しているチームのコーチに結構な言われようをずっとしてきたらしく、一時期は、イップスのようなものも出てしまったらしい。
「本気で走っていない」というようなことも言われたとか。
で、夏のある日
その彼の試合を、実際に観に行きました。なるほど、確かにパッと見、本気で走っていないようにも見える。
うーん、どういうことかなと、もう少しじっくり見てみたら⋯ある点に気づきました。
彼は足が長くて、他の子と比べてストライドも大きい。だから足の回転が遅いように見えるだけで、実際はちゃんと本気で走ってるわけです。なるほどねと。
で、その後日に彼と練習した時に「足の運び、ちょっと練習しようか」ということで、そこからアジリティートレーニングをすることに。
それからも彼は、僕と会わない日も自主練でラダーをやっているとか。
そんな彼は、最近無事にジュニアユースの進路が決まったと、お母さんから連絡をもらいました。なんか嬉しいね!
彼の例はほんの一例だけど、まだまだ自戒も込めて、、
その場ですぐに反応せず、簡単に言葉を発せず、簡単に決めつけず
その選手の頭の中はどうなっていたのか
そこに至るまでの背景は
つまり本当の真実は何なのか
それらに想いを巡らせながら、見えないものを見えるようにして
自分の生き様をぶつけるように、選手と接していきたい。これから、ずっと。
そういえばあの方は、こちらがぶつけた質問に対して、絶対にすぐ答えない。
見えないものを見ようとして、こちらの背景をたくさん覗いて、最適な答えを探してくれている。
こんな人に、僕もいつかなりたい。
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