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明日の君の記憶に僕はいない#2

#2  見知ったはずのもの

「すみません、私、遥香っていうらしいんですが、記憶がなくて…」
そう遥香は言った
急にどうしたというのか、突然電話をかけてきたと思えば記憶喪失とは
いったい何の冗談だ、夜中に電話で起こされ、出てみれば冗談を言われる
カップルではあるがさすがに夜はゆっくり眠らせてほしいものだ
「まじか、じゃあ家族のことわかる?僕のことは?」
と軽くその冗談に乗るように質問してみた
「すみません、わからないです… でも奏汰さんが大事な人だっていうのはうっすら覚えてます」
と遥香は困惑しながらも真剣な声で答えた
奏汰は少し考え、遥香に遥香の母に電話を替わるように伝えた
遥香は実家暮らしなので近くにいるであろう遥香の母に話を聞いてみようと思ったのだ

少し考えてみれば最初から違和感はあった
いつもなら呼び捨てで読んでいる名前もさん付けで呼ぶ、彼氏かどうかの確認、そして何より、今までため口だったはずの口調が、敬語のような話し方に変わっていること
奏汰の中で不安が少しづつ大きくなっていった
もしかしたら本当に記憶喪失かもしれない
そんな不安を抱いたときスマホの向こうから遥香の母の声が聞こえた
「もしもし、奏汰くん?母ですが」
「お母さん、夜遅くにすみません、遥香の様子がおかしくて、記憶がないと言っているのですが、何か知りませんか?」
そう聞くと遥香の母は重たく口を開いた
「数分前に遥香と言い合いをしてしまい、つい熱くなって私がひどいことを言ってしまったんです、そしたら遥香が泣き崩れてしまって、少し意識を失ったんです、気が付いたと思ったら…」
そう遥香の母は答えるとすすり泣くような声を出しながら遥香に電話を替わった

「もしもし、お電話変わりました」
遥香の声だ
奏汰は少し動揺した声で
「遥香…本当に何も覚えてないの?」
と確認をした
「はい、ごめんなさい」
遥香は申し訳なさそうな声で答えた
「そっか、わかった、とりあえず今日はもう寝よう、明日お家に行くから待っててね」
混乱している頭を整理するため遥香にそう告げると、お互いに
「おやすみ」なさい」と言い交し、電話を切った

明日、遥香に会って、どういう状態なのか、どこまで忘れ、どこまで覚えているのかを聞こう
不安ながらも大丈夫…大丈夫…と自分に言い聞かせ奏汰はまた眠りについた

続く…



あとがき
読んでくださってありがとうございます
今回は遥香が記憶をなくした大まかな経緯を書きましたが、思ったより分が長くなってしまい読みづらくなったかもしれません
明日は、記憶をなくした遥香と対面、どうすれば記憶が戻るのかを探っていくようになります
お楽しみに!(ここの文おかしいぞという部分がありましたら教えてくださいますと助かります!)

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