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多拠点生活におけるコミュニケーションのマナーとは?

全国141箇所(2021年4月12日現在)の家で暮らせる多拠点居住サービス「ADDress」は、ADDress会員なら誰でも利用できます。ADDressの家は空き家を活用した戸建の個室タイプの他、ホテルやゲストハウスなどの宿泊施設連携もあります。いずれも丸々一棟貸切タイプの住まいではなく、基本的には共同住まい。生活する上では大小問わず「特定他者」との関わり合いが生まれます。

ADDress会員は学生からシニア層まで幅広く、出身も職種も世帯構成も多種多様です。会った瞬間に打ち解けられる人もいれば、何日経っても打ち解けられない人もいるはずです。一言二言会話しただけで「合わないな」と判断を下してしまうこともあるかもしれませんが、長年同居している家族やパートナーでない限り、「阿吽(あうん)の呼吸」でお互いの思いを瞬時に理解し合うのは難しいものです。

私自身の実体験の他、会員さんや家守さんからも、ADDressでの多拠点生活で経験した「思いがけない出合いや繋がり」エピソードを聞く機会も増えてきました。

■出身地域が同じだった
■出身校の同期だった
■同じ趣味で同じ大会に参加していた
■就職(転職)希望企業の社員だった
■同じ夢を持つ起業家同士だった
■同じ資格を目指して勉強中だった
■子育ての悩みに共感することが多かった
■愛読書(好きな作家)が一緒だった
■行きたいADDress物件のヘビーユーザーだった
■夕飯の献立予定が被った(=一緒に作った)

これらは、私が体験したり聞いたりしたエピソードのほんの一部です。一言二言話すだけでは分からない「相手のこと」も、一つ屋根の下で一定期間共に暮らすことで見えてくる共通の背景や世界観や価値観が浮き彫りになります。この「発見」こそがコミュニケーションの結実です。

万が一、気が合わない相手と一緒になったとしても、同一物件での暮らしは最大1週間、最短たった1日の出合いなので長期間無理強いする心配はありません。一期一会が定期的な交流に発展するか否かは、自らの意思で決めることができるのです。それが多拠点生活の魅力の一つです。心地良い緩い関係をいくつも作っていくのです。多拠点生活を継続するほど、一期一会が増えていきますが、限りある出合いだからこそ大切にしたいコミュニケーションの3つのマナーがあります。今回はその3つのポイントについて書きます。

1. まずは「自己紹介」と「日々の挨拶」

一緒に暮らす人に対して、率先して自己紹介をすることでお互いの警戒感や緊張感を解きほぐすことができます。遠目で相手の行動を一瞥して「あの人ってどんな人なんだろう?」などと訝しく思ってしまうような時は、大概相手も同じ懸念を自分自身に対して抱いていると思ってみてください。

「あの人は何となく近寄りづらいな」と思った時、きっと相手も「警戒されているのかな」と心配になっているはずです。お互い様なのです。

自分から相手を知ってもらうためにも、率先して自己紹介することが大事です。フレンドリーな会員さんはニックネームを伝えて「●●と呼んでください」と覚えやすい名前で自己紹介する方もいます。

初見は相手の予定が分かりづらいので、最初の交流は簡潔で十分です。

*名前(ニックネーム)
*何日まで滞在するか(または、いつから滞在しているか)

顔を合わせたら、この2点を伝えれば安心しますし、相手も同様に自己紹介されるでしょう。

そして、当たり前のことですが「日常の挨拶を声に出して言うこと」も忘れずに。朝起きたとき、出掛けるとき、帰宅したとき、寝るときなど、タイミングごとにできるだけ挨拶を交わしてみてください。相手に聞こえる声量できちんと発することで、お互い気持ち良く生活ができますし、挨拶を交わすことで心の距離も少しずつ歩み寄ることができます。

これは決して家の中だけではなく、外出する際にも心がけたいコミュニケーションです。地域の方とすれ違ったときは「こんにちは」と挨拶の言葉を声に出すことで、警戒心が少しずつ解れます。多拠点生活は、地域の人にとっては普段見慣れない人物が、時々居合わせるユニークな生活でもあります。ほんのちょっと笑顔で挨拶すれば、地域の人も何となくほっとしてくれるものです。挨拶をされて嫌な人はいません。

2. 「相手の話をきちんと聞く時間」を作る

テレワーク生活が長くなると、一人時間も必然的に増えるものです。そんな時に、ADDressで新しい人に出合うとついつい嬉しくなって自分の話を聞いてほしくなります。話し掛けたくなります。自己紹介や自分の話を延々と続けてしまうことはありませんか?私自身もそのようなケースもありましたし、逆に長い自己紹介を聞かされ続けるケースもありました。

多拠点生活では、共に暮らす相手に安心安全な心持ちでいてもらう相互の配慮が求められます。自らの話をするだけではなく、相手の話にも耳を傾けることで「思いやり」を感じてもらいましょう。「聞く時間を作る」ことで、相手の自分自身に対する安心・安堵感が醸成されます。

会ってすぐの弾丸トークで急速に距離感を縮める出合いも稀にはありますが、新しい出合いには適度な緊張感が伴うものなので、最初から軽快なコミュニケーションはなかなか生まれないものです。相手に答えやすい質問を投げ掛けることで、話してもらう機会を作ってみてください。

*これまでのADDress利用歴と感想

このトピックは、最初の会話のきっかけになるはずです。お互いの共通項が「ADDress会員」なので、共通点からトピックスを広げていくコミュニケーションです。

気をつけなければいけないのは、同じ家に暮らしていても、家族ではないということ。年齢、職業、家族構成(婚姻・子どもの有無、離婚歴)、恋愛事情などあまりにプライベートな質問は、人によっては不快感を覚えます。

*なぜ、ADDressを利用しているのか

を聞けば、その人の生活環境が何となくわかるものです。ADDressを利用しているのですから、この質問で相手を怒らせることはほぼないはずです。

よりプライベートなことを話したい場合は、相手が自ら話してくるでしょう。また、自分自身のプライベートな話をした時に相手の反応がイマイチであれば、それ以上は聞きたくないサインでもあるのでご注意を。会話のキャッチボールが取れないときは、間合いの詰め方に問題があるのかもしれません。相手の話を聞く時間をきちんと取るようにすれば、相手を不快にさせることはありません

3. 対立を避け「なるべく受け流して離れる」

特定他者との共同生活が初めての場合、自分が思いも掛けなかったことに対して、突然注意されることもあるかもしれません。それが明らかな失態で、相手の指摘が正しいこともあるでしょう。

例えば、夜型タイプで夜間にオンライン打ち合わせをしたり、友達と電話したりして、「うるさい」と注意されること。こうした生活サイクルの違いによるトラブルは、決して少なくありません。音に関するトラブルは多拠点生活でなくても、よくある近隣トラブルでもあります。

全国各地に点在するADDressでは、地域社会と共存する生活が求められます。基本的には、太陽が上ってから沈むまでが一般的な活動時間。季節によって昼間の時間が少し短くなったり長くなったりしますが、どの地域でもスタンダードな「共通時計」です。暗いうちの「騒音」で相手に迷惑をかけてしまったときは、「次回からイヤホンを使います」など改善策を伝えた上で、素直に謝ることが肝心です。

*指摘が明らかに正しい時は素直に謝る

「素直に謝る」ことは、コミュニケーションを円滑にする上で必要不可欠な要素です。プライドを意識するのは自分自身だけなので、変な意識は脇におき、間違いを認めて素直に謝ることで即座に関係回復を図れます

ただし、規則やルールではなく意見の対立による指摘を受けた場合、自分が正しければ「反論したい」衝動に駆られることもあるでしょう。しかし、ムキになって言い返すことで、火に油を注ぐ展開になるケースは多々あります。

グッと堪えて「受け流す」、無視することで、無用な労力を割くこともなく、自ら傷を負うことを避けられます。

冒頭にも書いたように、ADDress多拠点生活は最大で1週間、最短1日の期間限定的な共同生活です。自ら滞在先を選択できるのです。合わないと思えばそっと離れれば良いですし、相手の行動が目に余るようであればADDressサポートに相談するのも良いでしょう。その場は受け流して自室へ戻り、距離を置いて交流しないという選択肢も、共同生活で求められるコミュニケーションの一つです。

*会話が続かなければ、無理せず距離を置く

* * * * *

企業のテレワーク推進で多拠点生活が身近になり、ADDressの会員数は急増しています。同時に全国のADDress物件も随時オープンしているので、同じ会員同士が再び1つの物件で再会する確率は徐々に減り、新しいメンバーとの出合いの方が多くなっているかと思います。

時には嬉しいことも、時にはがっかりする出合いも起こり得ます。そんな日々の変化を受け入れながら、その変化を新鮮と思う人もいれば、当たり前の日常だ、と淡々と受け入れる人もいます。そして多拠点生活を続ける中で、トラブルに見舞われるケースや自身がトラブルを起こしてしまうケースもあるかもしれません。人は完璧ではないので、時には間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。時々、ご自身のコミュニケーションを振り返ってみて、この3つのマナーを思い返してもらえればと思います。

また同時に、ADDress会員、家守、スタッフのコミュニティメンバーは全員に読んでもらっている「基本方針と目指す世界観」も併せて目を通してもらえれば幸いです。

【文/ADDress取締役&広報PR・桜井】


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