ADDressの拠点開発と空き家物件の選定条件とは?
定額制の全国住み放題サービス「ADDress」は2021年3月現在で全国130物件を展開しています。(空き家を活用した自社管理物と、ホテルやゲストハウスなど宿泊施設連携の割合は半々くらいです。)
全国で空き家は増え続けており、2030年には2,000万軒を超えると推測されています。空き家は身近な課題となっている分、ADDressの拠点開発についての問い合わせも増えております。実家の空き家、使っていない別荘を活用してほしい、住んでいる家の空き部屋を使ってほしいといったような声です。
空き家は毎年固定資産税がかかり、維持管理費を払い続けなければなりません。時間も手間もかかります。増え続ける空き家には、買い手はもちろん借り手も早々見つからないものです。また、賃貸に出そうにも、どんな人が借りるのか不安もあると思います。こうして全国に空き家が増えることで、地域の治安が悪くなり、思い出のある馴染みの地は外部不経済を招き、社会問題として顕在化していきます。
ADDressは、空き家を「お試し滞在できるシェアハウス」として再活用することで、地域に観光以上定住未満の「関係人口」を創出する住まいのサービスです。空き家が生活拠点として経常的に利用されれば、そこに住む人暮らす人によって地域経済は循環し、活性化されます。「#全国創生」を掲げて空き家の活用を図るADDressでは、どのように物件を選定しているのか説明したいと思います。
ちなみに、ADDress物件の立地地域は以下MAPの通り。
この中で、皆さんの知っている地域はいくつありましたか?
ADDress拠点は政令指定都市や観光地も含まれていますが、どちらかというと、観光名所として名高い地域の割合は少なめで、初めて名前を聞くようなニッチな地域が意外と多いと感じたのではないでしょうか。
家守候補有は優遇条件
エリア展開は、ADDressのサービス特性が関係しています。
ADDress管理物件は、バケーションレンタルのような1ユーザーの1棟貸し切りサービスではなく、シェアハウス型の運営をしています。複数人の住民(会員)が1つ屋根の下で生活を共にするので、コミュニティを円滑に運営するために一定の秩序やルールを共創しています。
住民代表として拠点管理の指揮を執るのが「家守(やもり)」です。家守制度については、以下に詳しく解説しています。
ADDressは「家守」がいて、初めて物件の運営ができる仕組みです。
観光名所やブランド発信力が弱く、課題を抱える人口規模の少ない地域であっても、地域とADDressを繋げる魅力的な「家守」がいれば、ADDressコミュニティを作りやすく、ADDress拠点も立地しやすくなります。
たとえば、人口約9,300人の熊本県南部の町「多良木町」にもADDressがあります。ブルートレインを改装した滞在施設の一部を「ADDress多良木邸」として運用しています。
個室「車窓」の先には、豊かな自然が広がっていて、人吉球磨エリアの雄大な光景が目の前に飛び込んできます。ここには地元で生まれ育った「公務員家守」がいて、都市部から多拠点生活先を求めて来訪するADDress会員と地域との仲介役となり、町の人・モノ・コトの魅力を発信してくれています。
家守制度はADDressの特長なので、空き家物件情報に加えて家守候補がいる場合は、選定における優遇条件となります。
物件自体の条件
では具体的に、物件自体の詳細条件はどうなっているのかを説明します。まず前提条件として、ADDressはアパート・マンションは対象外となるのでご了承ください。基本的には戸建物件で、建物階数の条件はありません。平屋でも以下の4つの条件に当てはまれば対象候補となります。
【条件①】3DK以上の間取り
ADDressには2つのベッドタイプがあります。予約ベッドと専用ベッドです。
予約ベッドは予約サイトを通して利用できるベッドで、9割が個室タイプとなっていますが、ドミトリタイプ(共同部屋)もあります。基本料金の4万円(税別)で利用できるベッドなので、全登録会員が利用できます。
他方、専用ベッドは、ADDressのみで生活をする会員対象で、オプション料金を支払えば予約せずにいつでも利用できます。ドミトリタイプと個室タイプがあり、拠点によって価格が異なります。専用ベッドは住民票の届出も可能なので、半定住拠点として多拠点生活する際のメイン拠点に使われています。(専用ベッドを配置しない物件もあります。)
以上の利用シーンから、ADDress管理物件には予約ベッドと専用ベッドを併設しつつ、複数会員が同時利用できるキャパシティを備える必要性という観点から、「最低3個室確保できる」のを必須条件としています。
この3個室の間取りにも更に条件を設けています。なぜなら、個室ごとの独立性がないと個室として機能しないからです。たとえば、昔ながらの物件の場合、二間続きの個室で襖などの入り口が1つしかなく、手前の部屋を通らないと奥の部屋へいけない間取りも少なくありません。続き間の間取りについては、改修作業によって廊下や入り口を設置することが可能であれば、検討対象となります。
なお、大型空き家物件について、延床面積200㎡を超える場合は、寄宿舎登録されていることも必須条件としています。
【条件②】賃料は1部屋あたり1.0〜2.5万円
部屋あたりの平均単価です。
現地相場に準じるので、人気エリアについては必ずしもこの条件に合致する必要はありません。具体的には、以下のエリアは優遇エリアとしており、現地相場に準じた個室単価を算出しています。
東京・神奈川・埼玉・山梨・静岡・群馬
首都圏からアクセスしやすいエリアを最優先で探しています。
中京エリア
名古屋市中心部まで好アクセスな立地
伊豆、知多など自然環境豊かなバケーション立地
関西エリア
大阪市・神戸市中心部まで好アクセスな立地
沖縄エリア
【条件③】最寄駅から徒歩15分以内もしくは別荘地
最寄駅とは、電車やバスなどの公共交通機関の駅を指します。ADDressは20〜30代の会員が半数を占めており、日々の移動手段として自家用車を必要としない都市部在住の会員が少なくないことから、公共交通機関で自力で滞在先へ行ける物件が理想です。最寄駅から徒歩でたどり着ける距離感として、15分以内を条件としています。
一方で、ADDressには自家用車やレンタカー、バイクを利用して移動する会員も多数います。清里(山梨県北杜市)や川上村(長野県川上村)、那須高原(栃木県那須塩原)の別荘地での「テレワーク」生活も人気を博しており、都心から離れた長閑な別荘地であれば、公共交通機関の条件は除外しています。(豪雪地域など冬季アクセスが難しいエリアは契約不可、または冬季は契約外としています)
ただし、別荘地の場合は人里離れた地域となるため、ADDressの運用必須条件である「家守」選定が課題となります。地域にUIターンをして活動している地域おこし協力隊やそのOBOGの他、別荘エリア近郊のカフェ店舗のオーナーなど、家守候補がいると採択しやすくなります。
【条件④】初期改修費用はオーナー負担
空き家期間が1年以内で、定期的に換気をしたり清掃をしたり管理が行き届いている物件であれば、ほとんど手を掛けることなくオープンできますが、そうした物件ばかりではありません。空き家になって1年程度でも、物件の劣化は想定以上に深刻な場合も多く、床や畳はもちろん、水回りの改修も必要になるケースは多々あります。
ADDressは基本的には売却案件は扱わず、転貸借契約を結びます。オーナー様には毎月家賃をお支払いしますが、初期に掛かる改修費用の負担をお願いしています。また、個室や共用部に取り付けるエアコン設置も必須です。
ただし、契約期間や改修・初期費用に掛かる金額と家賃収入を含めた収益シミュレーションをADDressにて算出し、納得いただければ契約という流れになります。改修費用が掛かりすぎて収益が出せない物件については、その旨契約前にお伝えしますので、契約期間の更新を前提として長期的な収益構造を狙って契約されるか、ADDressではなく別の不動産市場へ提供するかなど、決断してもらいます。
初期費用がどの程度必要かのチェックポイントとして、以下の項目を確認してみてください。
・上下水道の整備(浄化槽の場合は耐久年数要確認)
・電気(複数人同時利用に耐えられる電力供給)40A以上
・エアコン全部屋設置(きちんと作動すること)
・給湯器の設置(きちんと作動すること)
・残置物はオーナー負担で撤去 ※利用できるものは活用します
以上が物件選定条件の説明です。
誰も住まない空き家は、放置期間が長くなればなるほど再利用が難しくなります。まずは誰かに住んでもらうような状態にし、生活利用されることで家の価値を維持することが先決です。もしかしたら、住み心地の良さを気に入って定住したり購入を検討したりする人が現れる可能性も期待できます。ADDressを活用するのは、資産運用の一つの施策になるのではないかと思います。
条件に見合う空き家物件を所有のオーナー様、ぜひお問い合わせください。
▼ADDress物件情報エントリー▼
https://form.run/@inquire-RS
▲ADDress物件情報エントリー▲
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?