イスラエルのスタートアップエコシステム
中東のシリコンバレーと名高く、今や世界のスタートアップの中心にもなりつつあるイスラエルにGOB-IP Co-nect事業部の中山友貴が行ってきましたので、全3回に分けてその様子をレポートしていきます。
第2回目は「イスラエルのスタートアップエコシステム」についてです。
(第1回目は、「実際に行ってみてわかったイスラエルの3つの特徴」です。)
イスラエルには年間7500社を超えるスタートアップが存在しています。現地のエコシステムについて実際に見てきた記録を「ヨズマプログラム」、「兵役」、そして「起業家のマインドセット」の3つの観点からレポートします。
1.ヨズマプログラム
2017年10月末時点でイスラエルのナスダック上場企業数は94社。この企業数はアメリカ、カナダ、中国に次ぐ世界4位で、5位の日本は14社と、イスラエルにに大きく差をつけられています。この背景には、1990年代に政府主導で始まった「ヨズマプログラム」が大きく関与していると言われています。
ヨズマはヘブライ語でイニシアティブを意味しています。すなわち、ヨズマは、政府が「国外から資金を集めた民間ベンチャーキャピタル(VC)を支援する制度」のことであり、この制度を通じてイスラエルの民間VCはアジアや欧州、シンガポ-ルなど各国に特化したファンドを組成してお金を集めています。
このおかげで、大量のリスクマネーがイスラエル国内に存在することになるので、スタートアップを起こしやすい環境が整います。
加えて、経済省管轄機関や財務省が連携して、開発費の一部援助や海外投資家からの税率の廃止などを行うことで、スタートアップが育ちやすいエコシステムを醸成しています。
2.兵役
イスラエル人は18歳になると兵役があり、約1.5年間軍隊に入隊することが必須となっています。
この兵役で軍隊が持つ先進技術であったり、集団で行動する際のストレスマネジメント、柔軟性、その他マインドセットなどをイスラエル人は醸成することになります。
彼らはその後、一般的に旅に出て自分自身を見つめ直すということも行なっているようです。この旅で自分自身の働き方や生き方を考えるようです。
そのため一般的なキャリアスタートの年齢は22歳から23歳程度という風に考えられています。
3.起業家のマインドセット
私がイスラエルに行って感じたのは、やり抜く姿勢です。
「うまくいくかどうか」を考えている暇があったらまずはやってしまって、その後に考えようという姿勢が根付いているというのを強く感じました。
その証拠に現地のスタートアップははPoCをとても大切にします。まずは小さく検証して、その結果をもとに新たにしかけるというのを当然のように行っていると感じました。
4.おわりに
いかがでしたでしょうか。
私が実際にイスラエルで起業家とお会いしてお話を聞いてみて、感じた率直な部分としては、イスラエルのスタートアップはどの企業を見ても一つとしてオリジナリティのない企業が存在しませんでした。
おそらく企業の中でベンチマークは存在するだろうし、パクってる部分もたくさんあるんだろうけど、そこは完璧なオリジナリティを追求しています。
その理由としては、年間1000ものスタートアップが登場するというところもあると思います。それだけの量のスタートアップが存在していたら、これらの中でオリジナリティを出していくのは当然必要になります。
それは差別化とは一線を画す行為です。戦略的に差別化をしている暇があったら事業をゴリゴリと前に進めて、その結果誰もやってないところに到達しているというのが実際なんだろうなというのが私自身感じた「イスラエルのスタートアップエコシステム」についてでした。
次の記事が最終回となります。
次は「イスラエル注目のスタートアップ5選」をお送りします。
実際に現地で見てきたスタートアップをご紹介致します。
GOB-IP Co-nect事業部
中山友貴
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