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東京都心5区オフィス空室率悪化!住宅市場に与える影響は?

話題となっている都心5区のオフィス空室率

近年、新型コロナウイルスの影響によりテレワークなどの加速と定着が進んでいます。

そして、テレワークなどの加速と定着により、都心の一等地オフィスビル需要に陰りが出てきていることが話題に。

現在、東京駅周辺の大型プロジェクト案件について、テナントがなかなか決まらないという現象が起きているようです。

そして、都心5区の新築オフィスビルの空室率は4割を超えることに。

大きな2つの課題と推移分析

課題は大きく2つ

  1. リモートワーク拡大定着におけるオフィス需要の減退

  2. 2023年問題

これまでの推移

出典:ファイナンシャルスター「東京都心5区オフィスビルの空室率・平均賃料・延床面積・ビル数の長期データ」>東京都心5区オフィスビルの「延床面積」「ビル数」の比較チャート

新築オフィスビルの供給は2004年頃を境に、ほぼ横ばいを続けています。
しかし、延べ床面積は増加しているので、2002年丸ビル、2003年六本木ヒルズなどような大型オフィスビル案件が増えている傾向であると思われます。


出典:ファイナンシャルスター「東京都心5区オフィスビルの空室率・平均賃料・延床面積・ビル数の長期データ」>東京都心5区オフィスビルの「空室率」と「平均賃料」の比較チャート

また、都心5区2020年2月には最低空室率1.49%最高賃料2020年7月22,000円となりました。

2020年には、新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが急速に浸透し、オフイスビル需要が減退という結果に。

コロナ流行後から空室率は上昇し始め、供給過剰の目安とされる5%を連続で上回っている状況とが続いています。

現状分析

三鬼商事「東京ビジネス地区/2022年09月時点」より作成
三鬼商事「東京ビジネス地区/2022年09月時点」より作成

2022年9月時点において、東京のオフィス賃料は11年ぶりの下落幅となりました。

特に、都心5区のオフィス需要には陰りが見えており、都心5区全てにおいて1年前の水準より空室率は拡大し、賃料は下落傾向になっています。

しかし、都心5区の中でも渋谷区周辺は千代田区に次ぐ賃料が保たれています。
渋谷区は大型IT関連企業が多く、良質な大型オフィスが少なかったことが主な要因ではないでしょうか。

都心5区オフィスビル需要の将来予想

2023年には、

  • 虎ノ門・麻布台プロジェクト

  • 虎ノ門ヒルズステーションタワー

  • 東京三田再開発プロジェクト・オフィスタワー

  • 渋谷駅桜丘地区市街地再開発事業

など、大規模オフィスの竣工を迎えますよね。

この大規模オフィス竣工により、オフィスビルの供給量は大規模物件に限っても、約48万㎡から2023年には128万㎡と2.6倍以上に拡大すると予想されます。

しかし、2023年~2025年には20万坪超の大量供給が予定されていますが、空室率は2023年がピークであり、その後は新規供給に刺激された需要が供給を大きく上回るとの予測もあります。

さらに、賃料においても、新規の大型案件供給により募集賃料は23,000円台半ばまで上昇すると予測する見方もあります。

ただし、賃料が上昇するのはSクラスやAクラスのオフィスであり、Bクラス以下のオフィスは大量供給での空室を避けるため、賃料を下げてテナントを確保しなかればならない状況になるのではないでしょうか。

2025年には品川~田町駅周辺などでの大量供給もあるので、今後の空室率は下がりづらく、賃料の弱含みであると思われます。

課題に対する解決策

日本は総人口の現象に伴い国内生産年齢人口は減少しているので、オフィスビルの賃料上昇させるためには、今後、外資系企業の日本進出が必須であると考えています。

また、「職・住接近」から「職・住・遊」、そして「職・住・遊・教育」への転換も考えられます。

  • シネコン

  • アミューズメント

  • ホテル

  • インターナショナルスクール など

さらに、新しいテナントスタイルの確立も必要だと感じています。

  • シェアオフィス

  • 曜日貸し など

住宅市場への影響

さて、このような空室率の悪化やオフィス賃料の低下は住宅市場へどのような影響をもたらすのか。

2023年以降、都心5区大規模オフィス供給拡大によりグローバル外資企業や国内の優良企業がより優良なテナントを求め都心5区に集中する可能性が高くなると思われます。

また、このような会社に勤務する人材においては、高年収層が多く職住接近を求める傾向がより強いため、都心5区周辺の住宅用不動産の需要は今以上に拡大していくと思われます。

ここ最近におても、当社の顧客の約30%が外資系企業勤務となっており、年々増加傾向にあるように感じます。

また、夫婦とも外国籍の共稼ぎ高所得者世帯も増加傾向です。

日本の住宅ローン金利がまだまだ超低金利状態であることからも、住宅購入に対する意識は高いままということが伺えます。

さらに、日本国内においても所得格差が拡大しており、富裕層が相続対策として、インカムゲイン狙いでなく都心部の優良不動産を購入する傾向も衰えていません。

海外の先進国主要都市と比較しても、インカムゲインなどの観点からみてもまだ割安感があるため、コロナ禍明けの市場にはさらなる期待が持てます。

このような背景からより東京都内都心部への一極集中(特に所得や資本)が加速し、不動産の二極化・三極化も加速していくと思われます。

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