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車椅子ユーザーでもできるチェアスキー!

こんにちは。wamです!
理学療法士として働きながら、障害者の余暇活動について
発信しています。

今回のテーマは今がシーズンの「チェアスキー」!
すなわち、座った姿勢で滑るスキーのことです。(海外ではsit ski)

座った状態で上肢を使いながら滑るので、
下肢障害や上肢がまあまあ使える四肢麻痺の方などが
対象と言われています。

車椅子スキーはパラリンピック種目にもなっているくらい、
ウィンターパラスポーツの中でもメジャーではありますが、
詳細について知らない方もきっと多いはず。

そして、「やりたいな~」と思ってもなかなかハードルが高い
印象のスポーツでもあります。(私的に)

そこで今回は、車椅子スキーについての概要から
少し気になっている→やってみたいかも?できるかも?
と思ってもらえるような記事にしていきたいと思います。

チェアスキーってどんなスポーツ?

1970年代後半に北アメリカで開発され、
その後様々な試作機が作られ競技レベルに向上し、
1988年にパラリンピック正式種目として採用されました。

構造としては、
普通のスキー板1枚の上に、
斜面の凹凸の衝撃を緩衝してくれるサスペンションやショックアブソーバー
などの金属部分と、専用のバケットシートと言われる椅子のようなもの
を取り付けて滑ります。

スキー板への固定は、通常のスキーブーツと同じように
ビンディングにより行います。

ストックの代わりに用いるのは、”アウトリガー”と呼ばれる棒。(棒?笑)
スキーの板の様になったりストックの様になったりを手元で調整
できる優れものです。

静止していたいとや、推進力を得たいとき、方向転換をしたい時などは
ストックモードに、
滑っていて方向を変えたい時や減速したい時などはスキーモード(?)
にしたりと、状況によって調整します。

どうやって滑る?

滑り方の理論としては、スキーとほぼ同様ですが
板自体が細い一本なのでバランスをとるのがとても難しい!

ただ直滑降する分には、アウトリガーを左右に添えていれば
倒れることはありませんが、
そうすると速度がどんどん増してしまうので、
ターンや止まる方法がとても大事なのですが
それが本当に難しい。。

わたしも一度体験でやったり、初心者の方の
付き添いで見たことがありますが、そこでまず躓きます。笑

その点はスキーよりもスノボに近い?のかな?
普通のスキーならとりあえずボーゲンで減速とか
できますもんね。

頭では理解できても、実際やってみると本当に難しいし、
めっちゃ転倒してあちこち痛くなりますが、
それもまた楽しいと思えるような人には
超おすすめです。
日常でこんなコケることないですからね。

プロの中には100㎞/hを超す方もいるんだとか。
もはや車ですね!
スピードを感じたい方には最高ですね。

どうやってリフトに乗る?

スキーで降りてくるためには、まず上へあがらないとだめですよね。
上へ行くにはリフトを使用しますが、
なんとこのチェアスキーごとリフトに乗れちゃいます。

バケットシートの下は窪みになっていて、
丁度そこにリフトの座面が乗れるように設計してあるのです。
感動!

シートの右下あたりにレバーがあり、それを解除し
アウトリガーでプッシュアップ(腕で全身を上へ押す)をすると
バゲットシートが上へ伸び、リフトの座面が窪みに
入りやすくなるのです。(日本語難しい、、)

スキー場によってリフトの座面位置の高さはまちまちなので
この構造があることによって、大体のリフトに乗ることが
できるのです。

なんだか車体が伸びたり縮んだりして
昔のアニメのチキチキマシーンみたいです。(古)

降りるときは通常のスキーと同様、タイミングを見計らって
少しプッシュアップしながらリフトから座面を浮かし
滑り出します。(ここも最初は怖い)

チェアスキーへの移乗や移動はどうする?

さて、ここまでは実際にやっている所の話でしたが、
スキー場へ着いてリフトに乗るまでの流れを紹介します。

駅直結のスキー場でない限りはほぼ車でスキー場まで移動します。
免許のない方は、免許取るか同乗させてくれる人を探しましょう。

スキー場へ着いたら、まずチェアスキーを
雪のある所と無いところ(普段乗りの車椅子が進めるところ)の
境目まで運びます。

板とバゲットシートを取り付け、普段乗り車椅子から
チェアスキーに移乗します。
大体チェアスキーはジャストサイズに作られていることが多いので
移乗も一苦労だったりします。
また、チェアスキー自体が一本足でかなり不安定なため
普段乗りの車椅子にもたれかけさせるような形で
移乗すると少し安定するようです。

移乗できたら、アウトリガーを使ってリフトの所まで進みます。
登り傾斜の場合は後ろ向きになって進みます。

さて、ここまでの流れを一人でこなすのは
大ベテラン位です。めちゃ大変です。
どんどん周りに頼りましょう。
健常の友達や家族を誘うもいいですし、
スキー場にいる人たちは大抵いい人たちなので
きっと助けてくれます。

やってみたいけどモノがない…

ここまで読んで頂いて、
少しは興味がでてきましたでしょうか?
では、実際やってみるにしてもチェアスキーの機体をどのように
用意したらいいのでしょう?

日本チェアスキー協会によると、どうやら2020年までは
一般への貸し出しを行っていたようなのですが、
安全性の問題から、公認団体や協会主催行事の場合のみの
貸し出しに規模が縮小してしまったようです。

初心者の場合は、前述したとおり転倒リスクが高い点や、
サスペンション部などの金属部分は専門的なメンテナンスが必要です。

ですので、まずは公認団体や協会主催の初心者講習
に参加してみましょう!

その方が安全ですし、結果的に上達も早いと思われます。

しかし、ある程度滑れるようになってからは、
自分で購入するのをお勧めします。
バケットシートが自分に合っている方が、
自分の動きが機体に伝わりやすいですし、
褥瘡(傷のようなもの)が出来にくいというメリットがあります。

新品で購入するとNissin社製で55~65万ほどだそうです。
目ん玉飛び出ますね。
ちなみに、中古で購入した知り合いはアウトリガー含め
10万くらいだと言っていました。
(まあ定価を考えると安いですかね?笑)

まとめ

今回は冬のスポーツ、チェアスキーについてご紹介しました。
先天的な障害を持っている方で
「色々なスポーツに挑戦してみたい!」という人や、
後天的な障害の方で
「昔やっていたスキーをもう一度やってみたい」
「スキーはやったことないけど、スピードを感じたい」
という人にとっても、お勧めのスポーツです!

しかし、初心者には介助者が必要な点や用具の問題から
気軽に始めるには正直ハードルが高いのが現状です。

それでもチャレンジしたい!という方は
日本チェアスキー協会が年に1度初心者向けの
体験会を開いているほか、
各地域にあるチェアスキーの任意団体に直接
問い合わせてみてください。

私の運営するハンディキャッパーのためのアクティビティ検索サイト「want to do!」では、
障害を持つ人が気軽にアクティビティを知ってチャレンジできるよう
様々な掲載情報を募集しています!
面白い情報や、楽しそうな事をぜひ教えてください♪

wam

<参考>
日本チェアスキー協会:

日進医療器株式会社:




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