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花の破滅 「十分に愛した」

痴痴酔。
そういう言葉だったと思う。中国の映画の男女の別れのセリフで狂うほど酔いしれた、ということかなと思ったけれど、字幕は「十分に愛した。」だった。

今日も又源氏物語の作中人物の香りの創作ノートから。
女三宮。光源氏の正室に迎えられ、柏木との密通とその死、彼女の登場により混沌が生じる六条院、光源氏の因果、重い宿命を背負わされた姫君だなとつくづく思う。

だから、柏木との破滅的な出来事も、それでも十分に愛したのだから、と思いたい。

タイトルにした花の破滅とは、一説にはマリーアントワネットに捧げられた香水の名と言われている。実際に母のマリアテレジアは娘の行く末を危惧する手紙に何度も破滅という言葉を使っていた。

女三宮のための香りには、アントワネットの愛したバラとスミレを主香にした。
破滅的な終わりであっても、十分に愛したのなら、それを美しい香りにとどめてみたい、そう思った。

淡く儚い香りになった。
十分愛した後に残るのは、積もる雪でも砂漠の不毛でもなく、
空気のほんのり温む中で花の舞い散るような風景なのかもしれない。
酔いしれた後の余韻、そんな儚さなのかも。

#note100日
#コルクラボ
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