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サンローラン展、サンローラン美術館、オピウム

紙の着せ替えのように
描かれた優雅さ。美しい線が紙の上を走るように、鮮やかな色彩が躍るように、サンローランのデザインは存在する。サンローランが紡ぐのは「紙の切り抜き人形のような優雅さ」なのだ。
だから、パリのサンローラン美術館で見たたくさんのデザインスケッチがこの上なく優美だったことにも、今なら合点がいく。
ファッション誌を切り抜いた女性のボディに添うように美しくデザインされ描かれた紙の着せ替え。サンローランのファッションデザインの源流をさかのぼるとハイティーンの彼のそんな遊びにまでさかのぼる。そのあたりからスタートするのが国立新美術館で開催中のサンローラン回顧展だ。

タキシードに宿る優美
ドレスが良かったという人も、この回顧展のアイコンにもなったモンドリアンに代表されるアートにインスパイアされたものが良かったという人もいる中で、私はタキシードに最も顕著に彼独特の優美が出ているように感じた。
タキシードドレスはベティカトル―の時にもっとたくさん見ることができたけれど、直線的で無駄のないラインなのになんともエレガントで黒の光沢か醸す質感など、彼にしか出せないものと思った。
カッコよさと優美さの同居。
これがディオールだと女性らしさに寄るし、シャネルだと動きやすさに寄ってしまう。

タキシードスタイルのスーツ
これはベティカルトー企画展でのもの


ハウスを変えた香水
今回は出番はなかったけれど、「ハウスを変えた」といわれるのがオピウム。パッケージは竹、ボトルは印籠がモチーフになりネーミングは中国のネガティブな歴史でもある阿片。
東洋的なスパイスを特徴的に使った重厚でなんとも独特な香り。
タキシードスーツや、イブニングドレス、そして日本や中国、ロシアをテーマにしたフォークロア、濃度を微妙に変えながらこのオピウムの香りが漂ってくるような気がしていた。
サンローランの世界観の見事な演出者がオピウムなのだ。

調香師はジャンルイ・シュザック。ボトルデザインはピエール・デュナン。
阿片のネーミングは当初、中国系アメリカ人の反感を買った。
パリのサンローラン美術館、中国のブース。中央のドレススーツは今回の展示にもあった。
確か、合わせがチャイナドレスとは逆になってるはず。
サンローラン美術館・フォークロアに欠かせなかった刺繍のリボン。
ついさっきまで、デザイナーが一本を手にしていたかのような臨場感があった。
OPIUMのイメージイラスト、ボトルデザインイラストも
パリの美術館にはたくさん展示されていた。
そのままにして保存されているデザイナーのアトリエ。

サンローランについてはパリのサンローラン美術館、昨年の盟友ベティカトル―にスポットを当てた企画展について過去に書いている。

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回顧展、あの天才が儚くなって何年だろう。
サンローランの香りも振り返ればエレガントと反骨と美への愛で貫かれている。

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