見出し画像

今はもうない、女の成功を祝う香水 

note100日連続投稿
今日から100日、NOTEを投稿します。コルクラボのクルー会で佐渡島庸平さんが「狭くするほど(深くなって)刺さる」と言ってて。私はこの狭くすることをどうしてもできずに、香りのことやってきてしまっている自覚があるので。100連投する中で、狭めるきっかけつかめたらと考えてチャレンジします。

愛おしい廃盤香水
「廃番香水」。香りのジャンルの中で、少しこだわりがありそうなのがこの辺だったので、ここから始めます。
昔、本というのは一度出版されたら、未来永劫、手に取る機会があるものと思っていました。絶版という事を知らなかったのです。

女の成功を祝う香水 シャンパーニュ
「シャンパーニュ~CHANPAGNE」は、女性の成功を祝福する香水というストーリーでした。だから、成功を手にした女たちに由来する香料をメインにした、それはクレオパトラのバラと楊貴妃のライチ。
なるほどなるほど、クレオパトラと楊貴妃が一つのボトルに溶け込んでるなんて、格別のサクセスストーリーと、インターン生だった私も心躍らされました。その時のテンションのままに、今でも新年のイベントなどで成功の予祝としてこの香水をおすそ分けすることもあります。

シャンパーニュという名の通り、トップノートに確かに「シュワシュワ」っとした感じがあって、当時はそれがかなり話題になりました。嗅覚が捉えるこの舌触り、のど越しは、どういう錯覚なんだろう、どういう香りを組み合わせたらこの錯覚が生じるのか、それを探るためにひたすら各種の香りを組み合わせて実験したこともありました。
この「シュワシュワ」感が一つの革新、調香のアップデートで、この後にどんなブランドがこれに追随してくるんだろう、そんな話題で持ち切りでした。

時は流れて、いつの間にかシャンパーニュは市場から消え、少しはあったかもしれないけれど、結果として「シュワシュワ」のトップノートの後発はなく、発売時のお騒がせもろとも、すべては過去になってしまいました。

考えてみたら、この香水の物語に登場するエジプト女王も傾国の美女も、成功した人生だったっけ?30代で非業の死を遂げた短すぎる生涯。持久力より瞬発力なのか、クレオパトラの政治力、楊貴妃の愛され力、いずれも強烈に噴射して瞬く間に幕を引いた。

そういう生きざまに、この香りはとても似合う。

長生きが成功の証ではないように、ひょっとすると「シュワシュワ」感が再評価される時がくるかもしれない。こないかもしれない。

「成功」ってなんでしょうね?そんなことを語らいながら、100日後にこの香水を仲間と味わいたいです。


chanpagne/yves saint laurent
調香師はソフィアグロスマン・発売後シャンパーニュ組合との係争に負け名称を「Yveresse」に改めた。

#note100日
#コルクラボ
#adams

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?