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スイス[9] 欧州の鉄道(2)無愛想ICE編【上】

202202171813スイス[9] 欧州の鉄道(2)無愛想ICE編【上】A.J.

 一連のこの記事は基本的にはスイスの話ですがスイスへの旅路やスイスと他国の鉄道などの比較も書こうと思います。

 以前,日本からドイツ・フランクフルト空港へ飛行機(直行便)で行ってそこでシェンゲン圏への入国手続きをし,市内で一泊した翌日,DB(ドイツ国鉄)フランクフルト(マイン)中央駅(*1)からICEに乗ってスイスに向かったことがある。
この時はユーレイルパスは持っていなくて普通にフランクフルト駅でスイスまでの切符を購入したのだけれどその後が結構困った。

 まず時間通りに(私が乗る予定の)列車(ICE)がフランクフルト駅に到着しない。その上,その遅れた列車の到着番線(プラットホーム)が変更されていて(切符を買ったカウンターで聞いた番線と違っていた)駅構内の電光掲示板を見てもよくわからないのである。なにせ列車が指定された安い切符だから乗り遅れたら支払ったユーロが無駄になる。
 スイス国内でのSBB(スイス連邦鉄道)はある程度乗り慣れているのでそれほどでもないのだけれど,DBのフランクフルト駅は初めて慣れていないし大きな駅だし荷物は大きい物が二つも三つもあるし…で死にそうになりながらホームを探す。

 それらしいICEがいるホームに近づくと,なんだか親切そうな(多分地元の)男性が「これだよ」と指差してくれた。この時の長距離列車はこのスイス行きのICEしかなかったからだろう。ちゃんと礼を言い損ねたがなんとか出発直前に重い荷物をよいコラショっと持ち上げて列車に乗り込んだ(客車の床がホームよりかなり高い)。
 しかーしである。私の切符は座席指定がしてあった。でその指定席に行くのに列車が出発してから揺れる車内を通路をひたすら歩いたのである。ああしんどい。
 そしてやっとこさその指定席に行くと,ビジネスマン風の中年おっさんが座っている。でこちらが「ここは私の席だが」と言うと「空いている席は周りにいっぱいあるだろ,そこに座れよ」と投げ捨てるように言われる。ムッとくるけど【フランス語で】嫌味を言う言い方も知らないのでここはトラブルを避けるために空いている適当な席に座る。
 むさ苦しい男の車掌が検札が来たので切符を出すと「これはクレジットカードの控えだ。切符を出せ」とこれまた命令調で言われる。しかしそれはそれでこちらが出し間違えたのが悪いので今度はちゃんと確かめて出した。

 ICEには一等客車だけかも知れないけれど客室係みたいな若い女性が乗務していた。で「飲み物は何か?」と聞かれたのでアップルジュースを頼んだら10ユーロくらい取られた。高!(*2)コーヒーに合うDBのロゴの入ったチョコを配っていてそれは無料だったしそこそこ美味いチョコではあった。

 実はフランクフルト市内でちょっと値が張る買い物をしたのでどこかドイツ・スイス国境で免税書類にドイツ税関のハンコが必要だった。でくだんの女性客室係に「ドイツ税関はいつこの列車に乗り込んでくるのか?」と聞いたのだけれど,女性は????みたいな顔をするだけである。
 事前に日本からドイツ税関当局に聞いておいた情報ではスイス国境を列車が越える前にドイツの税関吏がこの国際列車に乗ってくる,はずだった。でその税関吏をつかまえてハンコをもらうつもりだったのだ。
 しかしいくら私の英語が下手でも「customs 」が通じないとどうしようもない(*3)。えぇえぇ,ドイツ語ではなくて英語で押し通すこっちが悪いんですよ,きっと。

(欧州の鉄道(3)無愛想ICE編【中】につづく)

(*1)「フランクフルト」という地名はドイツ国内に二つあるので,金融で有名な大都市の方はフランクフルト・アム・マイン(Frankfurt am Main)と「マインの」という意味をつけて言うことがある。

(*2)実は値段は忘れてしまった。もう少し安かったかも知れない。

(*3)Zollって言えばよかったのかも知れませんがそのドイツ語を知ったのはそれから何年も後の話です。


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