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足尾銅山観光が本当にもったいない

週末は足尾銅山へ

2月の下旬土曜、友人に誘われる形で東京から足尾銅山へ二人で向かいました。

足尾銅山といえば400年近くの歴史を誇りかつては「日本一の鉱都」と呼ばれていたりととても活気の溢れる銅山でした。閉山後は坑内の一部が見学が可能の観光地になっていますが、正直なところ「もったいないなぁ」と思ってしまいました。


足尾銅山まで

私たちは電車で向かいました。
東武スカイツリーラインの浅草駅を始発とする特急「りょうもう」に乗り込み、相老駅でわたらせ渓谷鐵道へ乗り換え。
最寄駅の通洞駅まで約3時間以上の長旅です。

東武線内は交通系ICカードが使えますが、わたらせ渓谷鐵道では使用できません。
車内精算、もしくは駅で切符を買う必要があります。

わたらせ渓谷鐵道はトロッコ列車など観光列車の運行にも力を入れています。
乗った車両はロングシートのみ、トイレ無しの車両。
土曜日ながら1時間に1本あるか無いかの路線、混んでいるかもしれないと思いましたがそこまでの人は乗っていません。
春の桜、秋の紅葉のシーズンであれば激混みとなるのかもしれません。

↑通洞駅前

↑通洞駅構内(改札)
一緒に乗り合わせた人たちのほとんどがここ通洞駅で降りました。終点まで向かう人はそこまでいないのでしょうか。
通洞駅は電車が過ぎてしまうと、関東圏にある駅とは思えないほどの静けさが覆います。
乗客の皆さんも散りじりばらばら、通洞駅はすっからかんの状態。

いきなり足尾銅山に行くのも味気ないので町を巡ってみることに。

駅前じゃ何か商店や定食屋など見た限りでは無い様子。

週末土曜、昼12時半
車も人もいない。活動している人間は私と友人だけ。

郵便局へ向かう途中、足字銭と鋳銭座跡があります。
普通の駐車場にドンといきなり出てきます。足尾銅山に関連したことが書かれていて、足尾銅山観光内でも案内があります。

↑ヤマザキショップ
通洞駅付近にはコンビニがありません。
やっとそれらしいのがあったと近づくと営業をしていませんでした。Googleマップには営業時間は載っていません。
土曜の昼でありながら営業をしていない、すごいです。

足尾銅山観光へ

ある程度町を巡ったところで足尾銅山へ向かいます。
Googleマップやヤフー乗り換えでは「足尾銅山観光」と出てきます。

営業時間は9:00-16:30
入場料、大人820円、小・中学生410円

インフォメーションカウンターで入場券を購入すると、トロッコに乗車をします。10分から20分の間隔で運行されており、坑内入り口まで移動。
私達の他に10人ほどトロッコを待っていました。
カップルや夫婦といった方が多かった印象。
トロッコで長い時間見学できるのかなと思ったんですが、乗車時間は10分ほど。待ち時間のほうが長いことに。

↑トロッコ内と外から見た写真

↑坑内

トロッコから降りると見学できるポイントが何個か。
坑内の写真1枚目の写真はライトで照らされている奥にも、まだトンネルが続いておりその先は闇になっています。
ゆっくり見ていたせいか、他の方々は足早に次の見学順路へ進んでいき、私達は結局最後になりました。

↑坑内にはマネキンを使った当時の再現が

構内に入って20分程度。かなり興味を持って見ていました。
当時の勤務体系やどれだけ危険な作業であったのか、自分の目で見て感じることができます。
ボタンを押すと音声が流れたり、マネキンが動いたりします。

↑坑内出口を抜けると当時使用していた機材や発掘された銅が展示されています

冬季は行くべきところじゃないのだろうか

足尾銅山観光は個人的には楽しい場所でした。
銅山として輝かしい実績の他に、当時働いていた人々がどんな生活・仕事をしていたのかも目で見れる。
都市部では文字で説明できても、実際に足を運んで、目で見てみないとわからないことなんて大量にあります。
だからこのような施設はとても大切であると思っています。
教育施設としては素晴らしい。

ただ。観光地としてはどうなんでしょう。
行った時期が悪かったからというのもあるでしょう。

足尾銅山観光内には売店もあるようでしたが、2月いっぱいはおやすみ。
唯一のお店も、開店していても先客の方がいらっしゃるので出口へ。

↑足尾銅山観光内にある、「銅ふれあい館」と「周辺案内」

私達の後を追うように来た団体客の皆さんは周辺案内やふれあい館を散策することもなく、すぐに隣接するバス専用駐車場へ行き、乗り込んでしまいました。

足尾銅山は世界遺産になるのだろうか

日光市は「足尾銅山を世界遺産にしよう」と活動をしています。

世界遺産=観光地、という考えは古いのかもしれません。
文化や遺産の保護を目的とした活動と商品化することで街の発展を狙うなど多くの思惑が渦巻くのが世界遺産。
このような場所を商品化すること自体に、嫌悪感を抱く地域住民の方もいらっしゃるでしょう。
多くの人が来る反面、観光公害もあり得る。
でも、市としては2014年に登録された富岡製糸場の後を狙うところもあったのでしょう。日光東照宮や鬼怒川温泉といった観光地に加え、足尾銅山を世界遺産にして、観光客の誘致を図りたい強い思いもあるでしょう。

ただ、残念がら町を歩いて、この町自体に「世界遺産にしよう」という動きは広まっていないのではないかと思います。

もし、観光地としての世界遺産を狙うのであれば、厳しい。
周りには売店も、ごはん処もない。
じゃあ、日本の近代化と発展で起きたことを世界に知ってもらうためという考えなのか。でも、当時に使われたエレベーターすら見ることもできない。
勉強になっても世界遺産にするまでの理由は正直わからない。

日光市のホームページでは以下の通りに書かれています。

足尾銅山は、明治以降の日本の近代化と産業化に大きく貢献したと同時に、日本で初めて社会問題化した公害とその対策の歴史でもあり、世界的にみても鉱業の発達とそれに伴う環境破壊とその対策の経緯といった視点で評価された遺産はなく、極めて稀な事例と考えられます。

足尾銅山内での「足尾銅山を世界遺産に」というポスターは他の人は誰も目に留めない。
どうしても寂しく見えます。

足尾銅山はいいところだとは思う

駅周辺から歩いて5分ほど。
銅山の周りは関東最大級の廃墟が連なる。

町には渡良瀬川が流れ、人間の音なんかすぐに消えていく。
川の音しか聞こえません。

わたらせ渓谷鐵道、通洞駅には観光列車の「トロッコ列車」も停車する。
多くの魅力的なポイントがあるのに、過疎化した小さな町として一括りにするのはとても惜しい。

この町には有効活用できるのに、もったいないポイントが多すぎる。
人々を魅力的にする力もある。
それが町を発展へと進めるのか、それとも廃墟に飲み込まれてしまうのか。
すべて時間が決めることなのかもしれません。

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