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維新マニフェスト「維新八策2022」のポイント解説

本日6月2日(木)16時、参院選に向けた日本維新の会マニフェスト「維新八策2022」を公表しました。党の政策というものは、党綱領にも基本政策が明記されている通り、一定の一貫性を確保するのは当然です。他方、コロナ感染症のパンデミックのような時々の新しい課題があり、それらに対する政策をお示しする観点から、自ずと選挙ごとに加筆修正がなされていきます。
 
そうした観点から、今回のマニフェストでは、これまでの公約(維新八策2021)を換骨奪胎するほどの大きな見直しを行いました。加筆修正はもちろんのこと、マニフェストの構成自体を見直したのです。理由は、言うまでもなくウクライナ戦争です。

先の予算委員会でも指摘したように、現在の日本は戦後最大の危機に直面しています。内政にあってはスタグフレーションに陥るリスクに直面し、金融の引き締め策が取れない状況にあります。少子高齢化がますます進展し、核兵器国が侵略するという想定外の戦争が勃発、国際秩序が音を立てて崩れています。
 
そうした中で、私は、党国会議員団の政策責任者として、衆参両院議員(国会議員団)、党所属の地方議員、そして学生部所属のメンバーらと討議を重ね、マニフェストの構成を含めて抜本的な見直しに取り組みました。(党国会議員団で作成したたたき台をもとに、党政調で最終とりまとめが行われました。例えば、出産費用無償化等の政策は、国会議員団の取りまとめには含まれていませんでしたが、党レベルで新たに追加されました。

ポイントを紹介します。

◆ポイント1 政権担当能力を示す!

今回のマニフェスト最大のポイントは、日本維新の会の政権担当能力を示すということでした。もちろん野党ですから、その実績をもって政権担当能力を示すということは(本格的には)できませんが、少なくとも、政策体系を国民の皆さまにご覧いただく中で、「なるほど、これだけの政策を体系的・整合的に示せるのなら、維新に力を与えてもいいかな」と思っていただける、そんなマニフェストにするよう心がけました。

例えば、「維新八策2022」は、八策という通り、8本柱から構成されています。それらを、より普遍的な三本柱《新しい政治行政》《新しい外交安保》《新しい経済社会》そして《新しい国のかたち》に割り当て、そして精査することで、政策体系の「包括性」を分かりやすく示したということです。

1)政治改革・国会改革       
2)統治機構改革
       →《新しい政治行政》

3)ウクライナ危機と日本の安全保障 
       →《新しい外交安保》

4)景気対策(短期)        
5)成長戦略(長期)
       →《新しい経済社会》

6)未来への投資・多様性
7)危機管理・科学技術・環境
8)憲法改正
       →《新しい国のかたち》

日本維新の会は、地域政党からスタートしましたから、外交に弱いのではないか、マクロ経済が分かってないのではないか、といった懸念を少なくない国民の皆さまがお持ちであったことは事実でしょう。そうしたご心配にお応えするためにも、政策の包括性、整合性、合理性にはこだわったのです。

もちろん、単にマニフェストの編集レベルの工夫ということではなく、昨年の総選挙後に政調会長を拝命して以降、党国会議員団政務調査会に「新しい経済社会調査会」とともに「新しい外交安保調査会」を設置し、精力的に審議を進めてきました。また、党の憲法改正調査会長として、維新の憲法改正原案3項目に加え、長年の懸案であった憲法9条改正および緊急事態条項の条文イメージを策定し公表してきたことは、改めて付言しておきたいと存じます。

◆ポイント2 標準的な経済政策を示す!

次に、もう一つ大事なことは、外政については、《新しい外交安保》をより上位に位置付けたこと、内政については、《新しい経済社会》を 4)景気対策(短期)および 5)成長戦略(長期)という2つに分けたということです。

 《新しい政治行政》
 1)政治改革・国会改革
 2)統治機構改革

《新しい外交安保》
 3)ウクライナ危機と日本の安全保障


《新しい経済社会》
 4)景気対策      ← 短期   
 5)成長戦略      ← 長期


 《新しい国のかたち》
 6)未来への投資・多様性
 7)危機管理・科学技術・環境
 8)憲法改正

皇室とあわせて安全保障は国家の存立基盤であり、ウクライナ危機も踏まえ、その内容を抜本的に充実させるとともに、マニフェスト全体の上位に位置付けたことについては、ご理解いただけるものと存じますが、経済政策を「短期」と「長期」の2つに分けた点については、プロフェッショナル向けのメッセージであり、改めての解説が必要かもしれません。

実は、昨年の総選挙においてお示ししたキャッチフレーズ(政策の見出し)の一つにおいて 

~ 減税と規制改革、日本をダイナミックに飛躍させる成長戦略 ~

と、ある意味で誤解を招きかねない表現をしたために、いわゆる「減税政党」であるかのように誤解され、税体系の構造改革=税構造改革に係る議論を国会で少しでもしようものなら、マニフェストを反故にした等のバッシングが一部ネットで拡がりました。日本維新の会は、(減税日本のような)「減税政党」でもなければ(自民党のような)「増税政党」でもありません。国会に「国民負担軽減法案」を提出している通り景気対策としての減税は必要ですが、いわゆる構造改革、長期の成長戦略として「減税」に固執することはありません。

例えば、「日本大改革プラン」では、「フローからストック」といった税構造改革を訴えており、税収中立を前提に、経済活動罰といいたくなるようなフロー課税(=経済活動課税)を減税し、追い出し税的な効果も期待できるストック課税に切り替えていく、そしてベーシックインカムと併せて、いわゆる「再分配」を公正公平なかたちで貫徹させていく、そんな構想を有しています。こう書くと、預貯金に課税するんダー!と煽るネットビジネス集団が跋扈しますが、仮にフローからストックに切り替えていくとしても、あくまでも税収中立が前提であり、かつ、相当規模の基礎控除を設定するのは、政策的観点、そして執行可能化の観点から、当然です。

こうした過去のマニフェストでは曖昧だった点、誤解を招いた点について、より合理性の高い内容にアップデートすることは、私自身、強く意識してきたことですので、党としてオーソライズいただけたことは本当に有難く、ご支援下さった内外の同志の皆さまに、改めて感謝申し上げます。

◆ポイント3 新しい国家像を示す!

三本柱《新しい政治行政》《新しい外交安保》《新しい経済社会》に加え、《新しい国のかたち》と題する章を設け、そのトップに、〈教育・子育てへの徹底投資、多様性を支える社会政策〉という見出しで「未来への投資」と「多様性の確保」とを位置付けました。その冒頭に

全国に先駆けて大阪が進めてきた高等教育無償化、幼児教育無償化、給食費無償化をはじめ とする未来への投資を国においても推進し、全国展開します。

とサマライズしたように、大阪の実績を、大阪で決断し実行してきたことを、しっかり訴えてまいりたいと存じます。それによって、私たちの政権担当能力、ビジョン、そして覚悟の一端を知っていただけると考えているからです。日本に現存している政党の中で、いわゆる行政を担当し、かつ、選挙を通じて一定のご評価をいただいてきた政党は、自民公明と維新の会だけであり、ますますのご注目を賜りたいと存じます。

もう一つ、当該要旨に書いた内容の中で改めて紹介しておきたいのは、

イデオロギーに左右されずに時代が必要とする変化を起こす、現実にある問題に具体的な解を示すという結党以来の理念に基づき、皇室をはじめとする日本の伝統を重んじつつ、社会における 多様性の確保、選択肢の拡大等に積極的に取り組みます。

という部分です。

これまでの政党が、特定のイデオロギーに支配され、あるいは特定の利益団体に絡めとられがちであったのに対し、私たち日本維新の会は、左右の如何なるイデオロギーにも、如何なる既得権にも与せず、時代が必要とする変化を起こしていく、現実にある問題に具体的な解を 示していくことに注力してきました。

そうした党の基本スタンスを是非ご認識いただきたいと存じます。そして、「皇室をはじめとする日本の伝統を重んじ」つつ「社会における多様性の確保、選択肢の拡大等に積極的に取り組みます」と明記しました。あえて既存の概念でそうした国家像を特徴づけるとすれば、それは、「伝統保守」プラス「社会リベラル」ではないかな、と個人的には考えています。

社会における多様性の確保と選択肢の拡大等は、党規約に「国家の自立」「地域の自立」とともに明記している「個人の自立」を具体化したものであり、党として推進してまいりますが、それだけでは、日本社会に遠心力が働きかねません。遠心力に対して求心力と表現することが適切かは分かりませんが、皇室をはじめとする日本の伝統を徹底して保守する中で、社会の多様性も(日本社会を壊すことなく)実現していけるものと確信している次第です。

最後に、本日の記者会見では、マニフェスト「維新八策2022」と併せて、「重点政策」(写真参照、ファイル容量に注意ください)が公表されました。前者が8本柱であるのに対して、後者は6策となっている等の違いがありますが、前者がマニフェスト、後者は広報素材とご理解ください。(正直、広報には関わっていないため、解説能力がありません。)

いずれにせよ 戦後最大の危機にあって、日本の国会第三党の新しいマニフェストの策定に携われたことは、本当に光栄なことでした。

今月の参院選、来春の統一地方選、そして次の総選挙と選挙は続きますが、党の政策責任者の一人として、党員・支持者の皆さまの負託に応えられるよう精進を重ねてまいります!




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