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足底メカノレセプターへの灸治療

分かりにくいものを、より分かりやすくする鍼灸師のYaMatoです。

臨床向けマガジン「急がば学べ」をフォローしてくださっている方が飽きないように、今回は「メカノレセプターと灸治療」というテーマで記事を投稿します。

私は普段訪問鍼灸師として在宅医療に携わっており、訪問鍼灸が必要となる歩行困難な方を多く診ています。今回のメカノレセプターについても今の現場に繋がる重要な視点の一つです。

この記事はこんな方におすすめです。

・臨床力を上げたい
・現在または将来高齢者の治療をしたい
・しつこい足底の痺れと格闘中
・ふらつきを抑制して転倒を予防したい
・先生…鍼灸がやりたいです…

※記事の終盤でYaMatoが実際に治療する際の手順や注意している点をまとめてありますが、この部分だけ有料範囲にさせていただきます。ごめんなさい。

さっそく解説していきましょう。


1、メカノレセプター?

メカノレセプターというのは感覚受容器のことです。身体の様々な部位にありますが、今回は足底部のメカノレセプターについての内容です。

私たちの足底ってもの凄い敏感で、例えば歩いてて「あれ?傾いてるなぁ」とか「ここちょっと斜めかも」とか、視覚に頼らずとも情報がバンバン伝わってきますよね。

もっといえば靴内に入った小石にも気が付いてしまう優れものです。

昔、整形外科でインソールを成形してた時期があって、あれもただのクッションというよりメカノレセプターの刺激で接地面をコントロールする代物でした。


2、メカノレセプターはどこにあるの?

足底部のメカノレセプターが豊富な場所があります。(画像の黄色点線あたり)

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踵から小指の付け根、さらに前足部を横断し、親指あたりがもっとも豊富なエリアです。

箱根駅伝やマラソンを見ていると、トップランナーの多くがこの接地面で力を伝えています。踵あたりで接地して親指で抜ける。最近は踵のダメージ軽減のために足底全体でのフラット接地が多い印象ですが、親指で力強く押すのは変わらずって感じます。


3、メカノレセプターは衰える

足底からの感覚情報が脳まで届くわけですが、やはり年齢とともに衰えるし、疾患によっては感覚の減弱やしびれ・チクチク感などの異感覚も出てきます。

この感覚の減弱が不安定な接地を招きふらつきに繋がり転倒、というのはよく在宅医療や介護現場でも起こります。脳梗塞の後遺症老化がまさに当てはまります。

また、脊柱管狭窄症では異感覚を訴えることがよくあります。足が痺れるとかチクチクするとか。なかには燃えるようなチリチリ感という訴えもあります。

じゃあこのメカノレセプターを刺激すればええやんというのが治療です。


4、灸でメカノレセプターを刺激する利点

今回は灸でメカノレセプターを刺激する方法となります。灸じゃなくてもマッサージで刺激したり、キネシオなどのテーピングをちょこっと貼るだけでも変化はあります

じゃあなんで灸なのか。それはもちろん私が鍼灸師だから。というのは冗談で、ちゃんと灸には灸の利点があります。私の考える利点としては以下のものが挙げられます。

①温度覚も刺激できる
②循環改善にもはたらく
③浮腫にも対応できる

とくに①②にいえますが、灸の醍醐味といえばなんといっても熱刺激だと思います。

もっとも大きな利点としては足底部を温めることにより足底の感覚が向上するという点。どうせ刺激するなら効果の継続はもちろん、やっぱり広い範囲で効いてほしいですからね。

狙う経穴によっては③の浮腫の改善以外に、その他中医学的効果も期待できます。またお灸は患者さんのセルフケアにも向いていますし、家族でお灸をしあう習慣ができれば家庭内のコミュニケーションになるかもしれません。


5、灸の温度

灸といっても燃焼時間や温度は様々です。一応推奨としては35℃~50℃の範囲と言われています。

個人的には足底部は皮膚も厚いので、ちょっと強めでも良いと考えています。43℃~45℃くらい。

脳梗塞の後遺症など疾患によっては感覚が乏しいこともあるので、様子を見ながら熱感を調整したほうがリスク回避になります。ただでさえ熱いイメージがあるので。

火傷のリスクを極力避けるのであれば、棒灸を使った輻射熱による熱刺激もアリな選択かなと思います。


6、刺激部位

じゃあこのメカノレセプターが豊富な位置に灸をすれば良いのか。-そういうことです。具体的にどんな位置を刺激すれば良いかみていきましょう。

調べるとよく推奨されているのは、太渓・照海・湧泉あたりです。

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色々な方に試してみていますが、施灸後に「歩行が楽に感じる」や「足底全体で接地している感覚がある」とよく言われます。実際に見ていても歩行がスムーズになりますし、安定感が向上しふらつきが少なくなっている印象を受けます。

まずは自身に試してみて効果を実感してから、患者さんに施術してみてください。灸を置く位置や熱感で微妙に変化するので。

私が臨床現場で実際に使うときはこの位置と少し違うポイントに灸をすえています。その他にも施術時の注意点などを知りたい方は、下記に載せておきます。もし良ければ購入し参考にしてみてください。


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