東芝 ~アクティビストとの終わりなき戦い~

東芝(6502)が2017年に、上場廃止回避のために海外投資家に新株を割り当てる形で増資を実施し、結果としてElliott, Third Point, Oasis, エフィッシモ等、アクティビストのオールスターに株を保有されたのは記憶に新しいところですが、引き続き一部の株主からは厳しいアプローチを受けているようです。
6/22、東芝は株主から2つの株主提案を受けていること及び反対意見を公表しました。

蝶のように舞い、蜂のように刺す

3号議案は3D OPPORTUNITY MASTER FUND(3D Investment Partners)、4号議案はエフィッシモ及びSMT Partners (Cayman) Limitedからの提案で、いずれも取締役候補の選任を求める議案です。

東芝はいずれの議案にも反対しており、
・会社提案の取締役で十分に多様な構成となっている(スキルセット、多様性)
・十分な議論のためには、会社提案で適正な規模であること(人数)
・特定株主からの役員受け入れは利益相反の懸念があること(属性)
といった観点からその理由を述べ、こうした提案時の王道ともいえる反論により、株主からのプレッシャーを華麗に躱しています(元々の会社提案の候補者のクオリティが高いからこそ為せる業ではありますが)。
更に、プレスの最終ページでは、エフィッシモが提案した竹内朗氏について、特記事項として、過去に役員を務めた企業で東証から処分を受けたり、独禁法の排除措置命令を受けた旨をしれっと記載するなど、チクリとやり返す事も忘れていません。流石です。

人選いろいろ ファンドもいろいろ

ところで、提案している株主によって候補者にカラーがあることが面白いですね。
3D社が提案している2名はいずれも投資ファンド関係者(Chu氏、清水氏)ですが、エフィッシモの提案候補は日本公認不正検査士協会理事(竹内氏)と花王の法務部門執行役員(杉山氏)、自社パートナー(今井氏)という構成です。
エフィッシモの方が、より他株主が賛同しやすいいやらしい人選をしている印象で、戦い慣れのようなものを感じます。流石です。

【余談】SMT? SMP?

余談ですが、エフィッシモと共同で提案している株主は上記の通り「SMT Partners」と記載されていますが、東芝の19/9末の四半期報告書に記載されている大株主を見ると、「SMP Partners (Cayman) Limited as Trustee of ECM Master Fund」となっています("ECM"はEffissimo Capital Managementの略ですね)。”T”ではなく"P"ですね。
同じく、エフィッシモが大株主となっている第一生命ホールディングス(8750)にもSMPの名前が出てくるので、今回の東芝のリリースが普通に誤記ではないかという気がしています。
SMP Partnersはファンドのアドミやトラスティーを扱う企業のようです。