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対馬にそびえる光輝く霊峰・白嶽〜神さまに試される場所

2023年12月2日
壱岐島での濃密な時間を引きづりつつ、次なる目的地「対馬」に上陸しました。

島の大きさは南北約82km、東西約18kmと細長く、全国で3番目に大きな島です。大陸までの距離、わずか49.5km。
九州本土からは約132kmあるので、どれだけ朝鮮半島との歴史の要になった島なのでしょうか。

古代、日本がまだ倭国と呼ばれていた頃、たびたび朝鮮半島へ進出していました。しかし白村江はくすきのえの戦いで「唐・新羅連合軍」に大敗を喫し、国家存亡の危機に見舞われますが、唐と新羅の関係が微妙に変化し、唐の侵攻から免れました。
その後、中国やモンゴル、ロシアなど国家の交流とともに軍事的な緊張の影響を強く受け、対馬はその最前線となり、独自の歴史が刻まれてきたのです。

今では「国境の島」と呼ばれています@フェリーターミナル


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今回の一番の目的は何といっても「白嶽しらたけ登山」です。
旅のキッカケとなった山頂から見える浅茅湾あそうわんの絶景を望むことが、何よりの願いでした。

実は壱岐島の先制パンチで、一時は「どうでもいいや」と気持ちが揺らぎましたが、対馬に上陸し、島の風や太陽を受けたら、再び再加熱!
しかも対馬独特の信仰を調べると、白嶽は山全体が神山として崇拝され、対馬の山岳信仰の総社ということが判明したもんだから、興味津々に。

さて当日、実は午後から行きたい場所ができてしまったので、あまり時間がない中での登山になりました。
白嶽は標高518m、海抜50m付近から登りだし片道約1時間半の行程です。
石英斑岩の双耳峰が青い空にそびえる姿は、霊峰として信仰の対象となる由縁が感じられ、「一体どんな山行きになるのだろう」とワクワクが止まりません。

あのてっぺんへ登るんだ!


登山口につき車から降りると、なんと私は動物の糞を思いっきり踏んでしまいました!(涙)
「ウンがついた」なーんて言っている場合ではありません。そんな足元で神様の近くに行くだなんて…
「ああ、なんてことだ。おまけに臭いし」と、しょんぼり。

ふと周りを見回すとお水が流れているではありませんか。
「やったやった、ここで清めていこう」と小川に降りていくと、そこは白嶽信仰の礼拝所。

「日頃の雑念をここでしっかり洗い流しなさい」

はい、その通り。雑念だらけのわたし。
神様からのお言葉が心に染み入ってまいりました…

礼拝所
ロープの上にもお参りする場所がありました


禊をすませ、テクテクとしばらくは平坦な道を進んでいきます。
すると目を見張るほどの巨石が、至るところに点在する空間がやってきました。
静寂の中、ピンと張り詰めた空気感が広がり、まるでティンカーベルが出てくるのでは?とも思える場所です。


生命力のたまもの!

こんな光景の中に身を置くと、「生」について深く考えさせられます。
「これももしや修行なのかも」と思いながら、歩を進めると、程なくして鳥居が現れました。

昭和10年建立…
当時は戦争の真っ只中なんですよね


鳥居をくぐることは、神様に会う準備だといいます。
空間を仕切る結界である門や鳥居を、一つ一つ丁寧に頭を下げくぐり、心を清めていく。そして参道を歩くことで、お参りする「浄域」に入るまでに心を整えていく。

山岳信仰の山を登らせてもらうと、そんなことを強く感じます。


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さて、この後はいよいよ急登です。
所々にロープもあり、なかなかの修行道になってきましたが、私が味わいたかったのは、シイやカシなどの原生林の中を歩くこと。

原生林とは天然のままで、人間の手が全く入ったことのない森林のこと。
しかし近年では、人口の増加や社会の変化で、消滅しかかっており、日本においては国土の4%以下と言われています。

近年の気候変動を思うと、なんとか残って欲しいと願うばかり


色々な想いに身を置きつつ登っていくと、山頂直下にやってきました。

さあいよいよ!

と目標を定め登っていくと、途中で道がわからなくなってしまったではありませんか。
そこまでは道案内のリボンやピンクテープが結んであったのですが、山頂直下から先には、その目印が全くありません。

目の前には大きな峰がふたっつ。

一つは雌岳で、何びとたりとも入ってはいけない禁足地。
もう片方は、目指す雄岳。

うーむ…

まさかの展開、
えっ?ここまで来て山頂がわからない??
なんという情けなさ。

「もっと事前に調べておけよーぅ」と心の声が鳴り響き…

正直ウロウロするというレベルではなく、あちこちよじ登りながら「こっちじゃなさそう」「この先は崖だ〜」という始末。

相方は諦めモードに入ってしまったとき、私は粘りました!
そーなんです。なんといっても巳年なので執念深いのです(笑)

結果、クライミングのごとく登った先の、ちょっとした岩の割れ目をのぞいてみたら、その先にちょこんと足がかかる空間がありました。

ここだ〜〜〜〜〜!!!!

と叫び、念願の山頂へ到着(ヘッダーの写真です)

夢にみたあの景色が見れたことは、大感動的でした。
が、なんでしょう…
それよりも何よりも、雌岳の存在感が凄すぎて、圧倒されるばかりの私がいました。


迷っていたところ、正面が雌岳


雌岳と雄岳の鞍部には、三の鳥居があり、そこから先が禁足地でした。
身体に震えがくるほどのエネルギーが高い場所で、手を合わせているだけで涙が溢れ、どうしようもない居心地に包まれる空間です。

写真を撮りましたが、なんとなくやめておきますね。

本来ならここは島の方々が厚く信仰する場所。
登らせていただけただけでも感謝の気持ちがいっぱいですが、その想いをこめて書かせていただきました。

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さて、今年も残すところ後3日ですね。
たくさんのスキやコメントをありがとうございました!
ここでしか出会えないご縁を目一杯いただき、充実した毎日でした。

ゆく年に感謝しつつ
くる年も皆様にとって素晴らしい毎日になりますように♪

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