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「フリーランスの住まい探し」実態調査 ー フリーランスの約2人に1人が困っている現状があきらかに

「フリーランスは部屋を借りづらい」とよくいわれます。フリーランス専門の不動産仲介会社やサービスが誕生していることからも、かなり改善が必要とされている問題といえるでしょう。先日投稿の記事『フリーランスのお部屋探しの大変さとは? 2人の体験談から知る難しさの実態』でも、当事者それぞれに違った苦労があることがわかりました。
 
LIFULL HOME’Sでは問題の実情を数値として探るべく、2023年6月、フリーランスとして働く人々を対象に「フリーランスの住まい探し」についてのアンケート調査を実施しました。
 
そこであきらかとなった全国のフリーランスの住まい探しの難しさの内情と、アンケートで寄せられたリアルな声を紹介します。


「フリーランスの住まい探し」調査の基本情報

 今回の調査は、全国のフリーランス330名、比較として正社員330名、総数660名を対象に行われました。
 
賃貸物件の入居審査判断にはさまざまな要素が影響しますが、今回の調査では、収入額ではなく個人の属性(フリーランス・正社員等)による影響を調べるため、フリーランス・正社員ともに年収300万円以上の方の回答を集計対象としました(参考:日本の年収中央値は366万円)。

“フリーランスであること”が起因する難しさが明らかに

 「フリーランスはお部屋探しが難しい」といっても、実際にどのくらいの人が困っているのでしょうか。また、正社員と比べるとどのような違いがあるのでしょうか。
調査結果からは、3つの注目ポイントが浮かび上がってきました。

フリーランスの約2人に1人が「賃貸物件探しで困ったことや苦労したことがある」と回答

 フリーランスに向けた「フリーランス・個人事業主であることで、賃貸物件探しにおいて困ったことや苦労したことがあるか」の設問には、フリーランスのうち46.5%が「ある」と回答しました。
 
おおよそ2人に1人が部屋探しの困難を経験している、ということです。
 
また男女比を見ると、「ある」と回答した男性は39.40%、女性は52.80%と大きな差が見られました。
女性のほうが年収が低い人が多い可能性、携わっている職種の違いなど、さまざまな要因が推察されますが、フリーランスの女性のほうがお部屋探しに苦労する傾向があるといえそうです。 

正社員と比較して、フリーランスは「入居審査」や「物件の選択肢」に課題

 賃貸物件を探すにあたって、一般的な賃貸物件探しは、
①物件の情報を収集する
②ポータルサイトで物件を探す
③不動産会社の店頭に訪れる
④契約をする
といった段階を踏みます。
その各フェーズにおいて、困ったことや苦労したことの割合をフリーランスと正社員で比較したところ、値の差が明確に出たものがありました。
 
その上位3つが、「入居審査に通るか不安だった(差分6.4%)」「自分の状況をどこまで開示すべきか分からなかった(差分4.8%)」「自分の条件に合う対象物件が少ないと感じた(差分3.9%)」です。
正社員と比べ、フリーランスは入居審査に不安を覚える人が多いこと、物件の選択肢が少ないと感じる人が多いことが分かります。 

フリーランスの約6人に1人が「賃貸物件を探したものの、契約に至らなかった」と回答 

「賃貸物件を探し始めてから契約までにかかった時間」の問いでは、正社員とフリーランスとの差は見られませんでしたが、「賃貸物件を探したものの、契約に至らなかった」という回答で明確な差がありました。
正社員の2倍以上、フリーランスのうち17.1%の人が、住み替えを望みながらも、結果としてお部屋探しをあきらめている実態があることが読み取れます。
フリーランスのうち約6人に1人という割合は、思ったより多いと感じる人は多いのではないのでしょうか。
 
一方、不動産会社から見れば、相談対応や物件の案内をしながらも成約に至らなかった背景には、提示できる物件の少なさが原因とも想定されます。
オーナーへの理解促進を通じて物件を増やし、成約に至ることができれば、着実に売上に繋げられる可能性を秘めているはずです。 

フリーコメントの有効回答率は1.3倍 さまざまな声が集まる

「賃貸物件探しにおいて困ったことや苦労したことがある」という回答の具体例をフリーコメントで記載してもらったところ、フリーランスは174件、正社員では126件の回答がありました。
1.3倍というその回答数の差でも、フリーランスのほうが思うところがあるのだろうと推測されます。
 
さらには、コメントの内容にも、フリーランスであることが起因している回答が散見されました。

「物件の選択肢の少なさ」関連

「貸してくれる家主やマンションの管理会社が少なく、希望物件が見つからなかった」
「フリーランスだと、お手頃な物件はなぜか契約しにくい感じだった」
「なかなか希望に合った物件がなかった。必須としている条件を無視した物件を紹介された」
「希望の物件が少なかった。審査に通らない」

「入居審査」関連

「なかなか審査が通らなかった」
「フリーランスになることで、物件の審査に通るかが不安だった」
「審査に必要な書類が多かった」
「個人事業主をしていると話すと、具体的な仕事内容や収入についてかなり根掘り葉掘り聞かれた。あまりにしつこいので不安になっていると、『個人事業主の方だと家主さんが不安がるので、どのような人なのか安心して貸すことができるのか調べて教えなければならない』と言われた」

「不動産会社の対応」関連

「自分のことをどこまで話すか迷った。フリーランスと分かった途端、不動産屋の担当者の対応が悪くなった気がした」
「ダブルワークの場合、合算の収入で評価してもらえるのか、はっきり分からなかった」
「借りようと思った物件に『先約がいるから』と言われ、かなり不快な対応をされた」
「希望した賃貸物件に対して、大家さんが自分たちとは別の希望者を選んだ」

おわりに

賃貸物件の入居審査は、フリーランスという属性に影響を受ける傾向があること、そして正社員よりフリーランスのほうが賃貸物件探しで壁にぶつかりやすい傾向があることが、今回の調査で明らかになりました。
 
また、フリーランスの約5人に1人(20.9%)が「相談できる不動産会社を探すのが難しかった」と回答している設問もありました。
FRIENDLY DOORでは、フリーランスにフレンドリーな不動産会社を探すカテゴリーを提供しています。親身に寄り添ってくれる不動産会社に出会えるよう、より多くのフリーランスの方々にFRIENDLY DOORを知ってもらい、信頼できる不動産会社と安心してお部屋探しに臨んでもらえたらと思っています。

■ 調査概要
調査実施期間:2023年6月6日~6月19日
対象者: 過去5年以内に賃貸物件を探したことのあるフリーランス・正社員、各20~60代男女
調査方法: インターネット調査
有効回答数:660人(フリーランス:330人、正社員:330人) 

【参考】


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