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メルボルン・ヴィクトリー対ウェスタン・ユナイテッド(2021年2月27日)雑感
前々から試合の感想やレビューは書かないって言ってますしよりによって負けた試合なのですが試合が終わってからいろんな感情を行き来しているうちに何か書いておきたくて落ち着かなかったのであくまでも「雑感」という形でちょっとまとめてみました。
試合の背景・概要
Aリーグ第10節(おそらく?)、Marvel Stadiumでのメルボルン・ヴィクトリーvsウェスタン・ユナイテッドの対戦。(広義でいえば)メルボルンのクラブの同士なのでダービー扱いの試合で、今シーズンこのカードは2回目(あと1回残っています)。
試合のハイライト(7分ほど)はこちら。
ヴィクトリーから見た試合の大体の流れはこんな感じ。
前半にMcManamanのゴールで先制するもハーフタイムを挟むようにしてVictor Sanchez、Berisha2発で1-3と追い越され引き離され、ButterfieldのミドルシュートとGestedeのヘディングで3-3に追いつき途中相手にレッドカードが出たあたりから有利に運ぶも最後の最後でVictor Sanchezに決められ3-4となり、ウェスタン・ユナイテッドに初勝利する機会が遠のく、という試合でした。
中立の立場で見るにはとてもエキサイティングな試合でしたがヴィクトリーサポーターとしては様々な方向の感情を持って帰る結果に。
手強い緑の軍団
ウェスタン・ユナイテッドがAリーグに参戦してからヴィクトリーは未だ彼ら相手に一勝もあげることができていません。それはヴィクトリー側にも色々原因はありますがこのリーグのどのチームにとってもウェスタン・ユナイテッドは手強い相手。
一番分かりやすいのがその前線の顔ぶれ。とにかく決定力が傑出しているBesart Berisha(ヴィクトリーにいたこともある選手)、ゴールするにもゲームメイクするにも総合的にチート級のAlessandro Diamantiのコンビはどこに行っても脅威。チーム全体を見るとボール持っても良し、持たなくてカウンターに頼るのも良しなように面子が揃っている気がします。
ただ特に今回の試合で痛感したのが相手チームの弱点をしっかり洗い出して確実に突いてくるということ。ヴィクトリーの守備の顔ぶれを見て、若いサイドバックがいる(相手にとっての)右側から攻める、そして比較的高さが減ったセンターバックを狙って高めのヘッダーを狙ったり。監督Mark Rudanはうちの監督Grant Brebner(Brebs)の初陣の相手だったのですが当時未知数だったBrebsのスタイルを調べようとヴィクトリーのアカデミー所属の自分の息子から情報を引き出そうとしたという話もあるくらいの策士。それに加えて選手の実行力もすごい。
あえて弱点があるといえば必ずしも失点を最小に抑えるチームではないということかな。失点しても取り返せる得点力を持っているからかとにかく双方アホのように点が入る試合を何度も経験してきて(今回含む)、特に後半で大量得点・失点が起こりやすい傾向があります。
ヴィクトリーの守備ライン
ヴィクトリーは最近の数試合で守備の選手が怪我離脱してかなりイレギュラーなラインアップになっていました。センターバックはキャプテンLeigh Broxhamとシーズン開始以来出番が少なかったAaron Anderson(20歳)、右サイドバックにはファーストチョイスのStorm Rouxが復帰、左サイドバックには前回の試合でデビューしたDalibor Markovic(19歳)という布陣。個々の動きを見ると悪くはなかった部分もかなりありますがボックス内の素早い展開では隙ができて、キーパーCrocombeのスーパーセーブでも救いきれず。
BroxyことBroxhamは本来守備MFなのですが基本的に守備中心にどこでも入れるので(もう今シーズンだけでDMFもSBもCBもやってます)それ自体は問題ないのですが、身長が170cmということもあり(それでも結構CBできるんですよ)そこを突こうとボールを上げてくる相手の攻撃に無理な体勢に近い跳躍を繰り返していました(ハイライトには入ってなさそう)。結構防いだ場面もありましたがさすがに全部は無理。一度着地して身体が痛そうでした。
星が並ぶとき
そういった要因もあって最終的に4失点もした試合でしたし全体を見ると向こうが主導権握っていた部分も多かったのでこの相手に1-3から一度は引き分けに持ち込めたことは大きな進歩だと思います。
Brebsのチームが始動して以来(=ACLでカタールに行って以来)彼がヴィクトリーに連れてきた選手が一人一人活躍を見せ、なぜこのクラブに呼ばれたかを証明するようなプレーを代わる代わる見せてきました。
それがこの試合ではまるで加入時の「これまで見せたファインプレー」の映像そのもののようなゴールが3つも揃って見ることができました。
Three visa signings, three excellent goals. #MVFC #Since05 pic.twitter.com/lkASoQfbR8
— Melbourne Victory (@gomvfc) February 27, 2021
戦術がシンプルで読まれても関係ない、そういう個の力がある攻撃陣が揃ったこと、そしてそのコンビネーションが完成しつつあることに自分はやっとBrebsが思い描くヴィクトリーの形を見た気がしました。だから負けは負けで惜敗なのですが同時に目に見えるしっかりした何かを見せてくれた気がして嬉しい気持ちもあり。なのでまた負けてもダービー負けでもリーグ最下位でも以前と比べて悲観する部分は少ないです。
この3人が自分が得意なプレーで点獲ってくれて、あとは怪我で何度か離脱してたMarco Rojasやそろそろ11ヶ月のブランクを乗り越えトップギアに入りつつあるRobbie Kruseが上記助っ人3人の間を埋めるような形で活躍してくれると相当攻撃の種類も機会も増えるんじゃないかと。
ヴィクトリー女子でも思うことなのですが戦術はシンプルでもどこからゴールが来るかわからないくらいバラエティがあるのは見てて単純に楽しいです。
意外だったヴィクトリーのMOM
ヴィクトリーは例えばアデレードみたいに若手を多く起用するチームではないのですが(ただし今シーズンは多め)、ディフェンダーに関しては若くて光る選手がたびたび活躍する傾向があるように思えます。肝が据わってる若い選手が一人はいる。
その中でもこの試合で左サイドバックを務めた19歳Dalibor Markovicの活躍はすごかった。しかも2アシストとちゃんと数字に残る活躍。しかも映像を見てもらうと分かるかも知れませんが1点目の起点となったロングパスも彼。
現地観戦していた時は前半の守備を目の前で見てとても落ち着いていて良い判断をするな、と思ってたんですけど得点シーンを見ると攻撃における判断も素晴らしいのが分かります。
ヴィクトリーのサイドからの攻撃は右側はRoux→McManamanの縦の勢いあるコンビプレーが鍵でMcManamanがボックス内に切り込むのが圧倒的王道になっていますが(これはこれでとっても面白くて別に語りたい話)、左側はサイドバックがいくつかの選択肢から選ぶ形になることが多く、右とはちょっと違った能力が問われる印象があります。そんな状況判断・正確なプレーがこの若さでできるとは今後が楽しみ。
余談
現地観戦のあと試合の放送も改めて観たのですが実況解説陣も前半のうちからMarkovic君絶賛でした。
その実況中にMarkovicはDiamantiにユニフォームもらうべきだという話になったのですが、それに対してピッチサイドでコメンテーターやってたArchie Thompson(間違いなくヴィクトリーのレジェンドな人なんですがメルボルンの西の方出身なのでウェスタン・ユナイテッドとも仲良くしている)が「あ、それは僕が既に予約してて」との返し。
譲りなさいなちょっとは!若い子に!
終わり。