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お題でプレイリストその4「炎の音楽」

なんとなくとりあえず月一くらいのペースでこの「お題でプレイリスト」を続けていますが、今回はこのフォーマットを考えついた当初からやってみたかったトピックの一つ。
炎に関する曲を集めてどんな風に炎を描写して、炎のどんな側面を取り上げているかを見てみる、そんなプレイリストです。

炎を題材にしている曲は決して多くはないですが珍しいわけでもなく、ただ個性が強烈めな曲が結構あります。炎といっても色々、花火(ドビュッシー)から火山(メシアン)から暖炉(チャイコフスキー)からろうそく(Greenbaum)まで色々。その燃え方も様々ですし、象徴する物や人間との関係性も様々な曲が揃いました。

このエレメントを特に得意とするスクリャービンを筆頭に20世紀前半の作曲家は特に炎の神秘的な面を扱うことが多い印象があります。そんな中ドビュッシーの「花火」はかなりテイストが違って面白い。今でも花火を題材にした曲はそんなに出会わないですしね。メシアンも普段はファンタジー的な方面の炎を取り扱うことが多いので実在の場所(パプアニューギニア)を題材とした「火の島」はちょっと異色ではありますが、でも炎そのものというよりはそのエネルギーを描写しているので普段とそう変わらないとも言えます。

このプレイリストの後半に全楽章まとめて入れたNigel Westlakeの「Mosstrooper Peak」について少し。この曲は作曲家夫妻がとある事件で亡くなった息子の追悼として訪れ、祈りを捧げる場としたオーストラリア東海岸の6つの場所を描いています。これらの場所には写真を囲む花やお香、ろうそくなどが供えられたそうで、炎が弔いの象徴としてオーストラリアの自然風景の中に静かに燃える、今回のプレイリストの他の作品とはまた違う視点と性質の作品です。

おそらく現代文明の進歩の方向の関係で炎そのものを日常に見る事って少なくなったのではないかと思います(うちも諸々古いフォーマットですがオール電化です)。ただ近所を夕方頃歩いているとどこかのうちで薪の暖炉を使ってる匂いが流れてきたり、いわゆるholiday houseなんかは暖炉などが備わっているところもありますし(ヘッダー写真がそれ)、なんといってもオーストラリアは大きな山火事が夏に頻繁に起こる国。今の時代も炎には縁が深い土地柄です。自分の知識とプレイリストの限界の関係でこうなりましたが探せばオーストラリアに「炎」(特に山火事)を題材とした音楽作品はきっともっと見つかると思います。またの機会にいつか。