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Aリーグ2021/22シーズン クラブ別プレビュー(その2)

Aリーグ各クラブのプレビュー続き。前半はこちら↓

メルボルン・ヴィクトリー

シティと真逆で男子が地獄のシーズンを送り、女子がChampionshipを手にしたヴィクトリー。男子はスカッドを大幅に刷新し、女子は前シーズンとあまり変わらないメンバーで今季に挑みますがキーはどちらもディフェンス。女子は最多クリーンシートを誇る守備陣をほぼ維持して他のクラブの前に立ちはだかり、男子は堅守が得意なTony Popovic監督の下で再起を図ります。
一部の外国人選手を含めPopovic監督のカリスマや手腕に惚れてヴィクトリーに来た選手は結構いますが、それでも不思議なことにメルボルン出身の選手が多くなったような。
男子チームに関しては今国内で一番すごい監督が来てくれたのでそれだけでも結構期待ができますが、様々な理由で「もう一度躍動したい」と思っている選手たちが数いるのもまた応援したくなるポイントです。
あ、あと今シーズンは男子も女子も全ホーム試合AAMI Parkで開催で、女子のホーム試合は全部ダブルヘッダーです。是非連続で応援を。

開幕戦:【男子】11月20日対ウェスタン・ユナイテッド(アウェー)「Battle of the Bridge(と向こうは呼んでいる)」【女子】12月5日対アデレード(ホーム)

オススメ:プレースタイルにかかわらず守備陣を見たい場合は今季のヴィクトリーは見所かも。あとちょっと前の時代の代表選手や五輪予選に出た選手なんかも多めに揃っていたりもするのでそこら辺で聞いたことのある選手もちらほら。

注目選手:ここは両チームの7番、男子のクリストファー・イコノミディスと女子のKyra Cooney-Crossで。二人ともスターでクラブでの活躍は間違いないですが代表においてもまだまだこれからが楽しみな選手です。

ニューカッスル・ジェッツ

セントラルコーストと同様に大都市から離れたけどサッカー選手を多く輩出する町の小規模なクラブ。もう何年も財政的にとても厳しいはずですがまだ生きてます。小規模とはいえいつも手強いイメージがあって、チームにというか少数の選手に手を焼くことが多い気が。特に女子チームはちょこちょこ顔ぶれが変わってもその手強い選手はずっと変わらずいる。
男子チームは日本から帰ってきたアーサー・パパス監督を迎えばりばり選手を補強しているのですが、なんか独特のルートを持ってるのか全く未知な選手ばかりなので全く予想がつかないのが正直なところ。ただアタッキングフットボールで有名なパパスさんなのでプレースタイルは想像できることはできますね。初試合はリーグ開幕前のカップ戦(プレーオフ)なのでウェスタン・ユナイテッドには実験台になってもらって様子を見たいと思います。

開幕戦:【男子】11月21日対セントラルコースト(ホーム)「F3ダービー」【女子】12月4日対シドニー(アウェー)

オススメ:アタッキングフットボールを見るならメルボルン・シティかジェッツですがこれらのクラブの差は資金力。限られた予算でどれくらい競えるかは見所といえるかも。あととにかくオーストラリアでも知られていない選手が多いので事前知識がないのはみんな一緒といえるかも。

注目選手:男子で珍しく知ってる名前がMatt Jurman。外国帰りで代表選出経験もあってキャプテンに任命されてるのでやっぱり目玉選手扱いのはず。
女子は前述手強い選手の筆頭格であるストライカーのTara Andrews。一人いるだけでチームが侮れなくなる。

パース・グローリー

良い報せ:スターリッジが加入しました
悪い報せ:ベテランのプレイメーカーが2人退団しました
総合するとどっちかというとマイナスな気がしています。それに加えて前季以上に男子チームはベテランと若手に二極化しているように見えます。
ただパースの若手はどのポジションも良い選手がいますしそれ自体は大きく懸念するものではないのかも。前季片鱗が見られた諸々がさらに開花しそうな雰囲気はあります。
もっと心配なのはパースのあるWA州を出入りする際にまだ様々な規制があるので今季も何試合かまとめて遠征したりカップ戦のスケジュールが立てにくかったりかなりチームに負担がかかりそうなこと。こればかりは州政府がなんとかするしかないのですがなるべく早くなんとかなることを願っています。
女子はこれまでにないほど早くから補強してかなりチームが変わったのと前シーズンは諸々の困難があって評価するのが難しかったのでまっさらな状態で観てみたい。

開幕戦:【男子】11月20日対アデレード(ホーム)【女子】12月4日対ブリスベン(ホーム)

オススメ:スターリッジを見るならパース。そしてクセありベテランも若手も技ありの選手がいるので個人技に期待できるはず。あと前季はしばしば打ち合いになる試合がありましたし今季もまたあるかも。

注目選手:とりあえず男子はスターリッジですが、女子は前季ちょっと判断が難しかったので迷うところ。でも中盤でHana Lowryが頭角を現すんじゃないかと前季に引き続き期待してます。(私の彼女の印象は数年前の印象でしかもポジションも変わってる気がしますが)

シドニーFC

シドニーは毎年プレビューを書く必要があるのかと思うほどいつものシドニー、安定のシドニー。男子はきっと変わらず強く4-2-2-2のフォーメーションで、補強はしてもいつものベテラン面子に頼ることが多く、相変わらず若手が出てきにくい(けど毎シーズン1人くらいは頭角を現す)環境なんだろうなと思ってます。
女子も概ね顔ぶれは変わらなそうですが特に前季までのキャプテンが産休でいない分の中盤が鍵になりそう(女子は前季以上に若手中心のチームに)。ただしっかりした補強もしているので強いのは変わらなさそう。Premiershipを獲ったシドニーとChampionshipを獲ったヴィクトリーの戦いは今シーズンも男子以上に激しくなることに期待です。
ちなみに本来のホームスタジアムが工事中なので今季のメインホームスタジアムはKogarahことJubilee Stadiumになるそうです。大雨さえ降らなければいいところ。

開幕戦:【男子】11月20日対ウェスタン・シドニー(アウェー)「シドニーダービー」【女子】12月4日対ニューカッスル(ホーム)

オススメ:プレースタイルでも結果でも安定志向ならシドニーを。あと大きなダービーを二つ抱えているので(ウェスタン・シドニーとのシドニー・ダービー、ヴィクトリーとのthe Big Blue)熱いライバル対決も楽しめます。ついでにセルビアの魔術師Milos Ninkovicもそろそろ引退近いはずなので魔法を見るなら今のうちかも?

注目選手:シドニーで出場機会を得た数少ない若手選手としてTrent Buhagiarは要注意ですね。前季は大きな怪我をして今季は補強で攻撃陣の壁がさらに厚くなりましたがACLでも大活躍でしたしきっと乗り越える。女子ではグランド・ファイナルのMVPだったゴールキーパーJada Whyman。代表に追加招集されたけどまだ出場していないので(あの時みたいに苦労するのは承知で)さらなる活躍で監督を悩ませて欲しいです。

ウェリントン・フィーニックス

今季から男子・女子と揃ったニュージーランドのクラブ。豪NZ間の移動が心配でしたがシーズン開幕はオーストラリア国内(またNSW州Wollongong)の仮の拠点で迎えるそうです。年明けにはニュージーランドに戻れる見込みらしいですがなるべく多くNZ国内で試合ができることは重要ですね。
女子もNZ国内のリーグから出てきた若手が中心ですが男子もチームがちょっと若返っています。特に急遽抜けたベテランセンターバックについては1月に補強を予定しているそうですが、前述の事情も合わせて万が一シーズン序盤がちょっと不安定でも後でなんとかなるはず。
ウェリントンこと「Nix」はAリーグでは「自分の応援してるところの次に応援してる・好きなクラブ」と答える人が多い、とても友好的にとらえられるクラブ。ダービーもライバル関係でなく地理的距離に基づいたDistance Derbyだけですし、悪く思う理由が特にないみたいです。

開幕戦:【男子】11月21日対マッカーサー(アウェー)【女子】12月3日対ウェスタン・シドニー(仮のホーム)

オススメ:現NZ代表の一部を始めニュージーランドの若い選手を見るならNixを。あと個人的な好みの話ですがユニフォームに外れがほとんどない印象です。前季のアウェーユニは素晴らしかったしWollongongに合わせたユニフォームもよかった。そして女子チームはキャンベラと同様コーチングスタッフも全員女性です。

注目選手:女子は知ってる選手がほとんどいないのでゴールキーパーのLily Alfeldくらいしか挙げられませんがNZの国内リーグからどんな選手が出てくるかは要注目。男子はNix公式も「Waine Train」の愛称で呼ぶ暴走列車Ben Waineの活躍が今季も見れるかな。

ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ

男子チームはアジアの王者だったこともあるかつての姿を取り戻そうとして数年、ファイナルトーナメントに出れる順位にもなかなか届かず。でもシドニーダービーになると急に強くなったりするのが端から見てて面白かったり。Aリーグにおけるベテラン級の選手が多くそろってて厄介だなあと思うものの最終的にはぱっとしなかったので今年はどうなんだろう。私はあんまり納得がいっていない。
女子は前シーズン順位とは関係なくチームとして厄介でしたしオフシーズンの間に何人か代表招集となった選手もいたり、今季から監督が(クラブ・代表のレジェンドに)変わってより手強くなったら・・・困るけどリーグの様相としては面白くなりそう。

開幕戦:【男子】11月21日対シドニー(ホーム)「シドニーダービー」【女子】12月3日対ウェリントン(アウェー)

オススメ:男子も女子もシドニーダービーで応援すると面白いのはこっちの方だと個人的に思っています。男子はベテラン起用が多いですがサイドバックなど守備に面白い若手がいるのも忘れずに見たい。

注目選手:別クラブのサポーターとして居て一番困るなーと思うのがDimi Petratos。ジェッツも前は彼が回してましたし。女子ではストライカーのBryleeh Henryが代表に招集され2試合に途中出場してますがその経験を糧に今季Aリーグのシーズンでどれくらい爆発できるか。

ウェスタン・ユナイテッド(男子のみ)

メルボルン第3のクラブ、というかメルボルン西部を拠点としたクラブ。拠点といってもスタジアムならびに練習施設などはまだ出来てないので今シーズンもオージーフットボールのチームの施設を間借りしたりさまざまなスタジアムをホームとして活動するようです。
プレの方のプレビューでも書いた通りジョン・アロイージ氏が監督になったことが良い方に転ぶ可能性もけっこうあったりそうでない可能性もあったり、強いと言い切れる感じではくとも参入当時と同じくらい不気味なわからなさがあります。とりあえず目下の課題としてはゴールを量産できるストライカーが獲得できたか、スケジュールの負担はどうか、アイデンティティは確立できるか、そして色んなスタジアムを回る中サポーターを増やせるか、あたりですかね。

開幕戦:【男子】11月20日対ヴィクトリー(アウェー)「Battle of the Bridge(と向こうは呼んでいる)」

オススメ:とりあえず今は現地観戦とかスタジアムの雰囲気とかに重きをおかない人におすすめです。あとディアマンティはピッチ上でもインスタでもいつ見ても面白いので今のうちに。

注目選手:Dylan Wenzel-Hallsがブリスベンから移籍してきているのでこちらの環境でどれくらい力を示せるか。素の得点力はすごくある選手なので。ちなみにブリスベンから移籍といえばみんな大好きJamie Youngも今季からこちらです。


前も書いた気がしますがAリーグは男子も女子も新しいシーズンがどうなるか全く予想が付かないので順位予想とかはやりません。
ただリーグの順位でいうと男子は6位以上、女子は4位以上がファイナルトーナメントに参加するためそれらの順位が肝になってきます(そしてファイナルトーナメントもちょっとだけフォーマット変わっているらしいので後ほど)。
でもとりあえず今はAリーグが男子も女子も無事シーズン開幕してさらなる盛り上がりと発展を迎えるよう楽しみにしています。日本からも応援ありますように。