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Aリーグ2020/21シーズンまとめ

短いはずなのに長く感じたAリーグのシーズンも6月27日のグランドファイナルで幕を閉じました。
リーグ優勝・チャンピオン両方獲得したメルボルン・シティにまずはおめでとうを。ヴィクトリーが完敗だったのはもちろん、最初にちょっと躓いた後はずっと強かった。代表戦に選手を取られたり怪我人が出ても結局勝つのはもうしょうがないというか、ものすごく悔しいけど今回二冠にふさわしいのはシティでした。来季はもうちょっとなんとか・・・

今シーズンはここ数年と比べて遅く始まり遅く終わったことで色々大変なこともありましたし無観客となった試合、延期になった試合、開催場所が変わった試合もありました。単純に中断・集中開催となった前シーズンとはまた違う難しさがあり、色々な決断をした人達にはお疲れ様でした、ありがとうございますと言いたいです。
特にグランドファイナルに関しては(順位から元々順当な開催場所である)メルボルンで開催した判断、シドニーの選手を早めに移動させた判断が正しかったことに他人事ながら本当に安心しました。

ということでWリーグの時と同じく(そして負けず劣らず)ざっくりシーズンをまとめていきたいと思います。今回も(別の意味で)ヴィクトリーにはあんまり言及しないことになるのと、あと判定に関する話も抜きという方針で。

若手の台頭、でも・・・

Wリーグがそうであったように、そして今シーズンが始まる前にさんざん言われていたように今期は若い選手が機会を得て活躍するシーズンでした。試合に出場した23歳以下の選手の数はここ数年でぶっちぎり。出場するだけでなく要所要所で試合を左右する活躍も見られました。

ただ今シーズンは怪我が多かった印象もあり(エビデンスがあるわけではなくてあくまでも見た範囲の印象)、それで若手が出場機会を得た部分も少なからずあるので単純に喜ぶのはちょっと違うかなという風に見ています。主力として選ばれた若い選手が怪我してさらに若い選手が出てくるケースも結構あったはず。
あとこれも目の届く範囲での話なのですが今期全般鼠径部の怪我(groin injury)が多かった気がします(再発も結構あるのを考えても)。怪我というかフィットネス全般に言えることですが今期「ちゃんと」プレシーズンがあったチームとそうでなかったチーム(主にメルボルンのクラブ)を比較して欲しいです。

勝負は後半から

日本時間だとAリーグは(Jリーグなどと比べて)ちょっと早めの時間に始まることが多いですが最初の方を見逃したからといって試合を見るのを諦める理由は全くないですよー、という試合展開が今シーズンは特に多かったですね。前述の通り若手が交代でやってきて予測難しい動きをするのと、あと試合がオープンになりやすい時間帯にこれまで以上にカオス度が増すというか(笑)
ヴィクトリーが信じられないスコアで大負けした試合もその他たくさん点が入った試合も前半終わりは何の変哲も無いスコアラインだったことが多く。
経験少なめの監督が多かったことも関係しているのかな?今後に向けて終盤のゲームマネージメントはもしかしたら多くのチーム・監督にとって課題なのかも。

シーズンを通したダイナミクス

最初に書いたようにAリーグのシーズンは外国諸国と比べて短いのですが(そして早く長くなって欲しいなと願っているのですが)応援してるところの不調を差し引いても不思議と長く感じるシーズンでした。すごく面白かったのは色んなチームが様々なタイミングで調子が上がったり下がったりすること。メルボルンシティも最初は調子悪かったですしブリスベンもしばらく勝てない期間がありました。そしてWリーグよりシーズンが長いので多少調子が悪くても持ち直すケースも珍しくなく。
あとは開幕が遅かった関係で特にシーズン後半に全クラブ過密日程になるようなスケジュールとなり、その中で完全にガス欠になってるウェスタン・ユナイテッドが印象的でした。様々な理由があるとはいえファイナルシリーズに全力で戦えるようにすることは大事ですね。

その他色々あったこと

先ほど書いたように見た限りでは怪我(特に鼠径部)いつもより多くない?と思ったのですがもうちょっとわかりやすく「今期多いな」と思ったのはレッドカード、病欠、あと芝の上で滑るアクシデントあたり。
病欠はパンデミックが始まって以来AリーグもWリーグも感染者が出ていないながらもその他の理由で熱出してたり、あと胃腸炎とか食中毒とか。胃腸炎はコロナが下火になってからちょっとメルボルンあたりで流行りましたしコロナ以外も&一般人も気をつけないと。
ピッチ上で滑ったのは失点につながったのは少ないですが結構見られました。特にオーストラリア南東部で湿気や降雨が増える秋冬に多く試合をするようになったからなのかな。少なくともメルボルンはよく雨が降る秋だった気がします。レッドカードはわからない。

戻ってきた観客

全部の試合ではなかったですしある程度のキャパ制限があった試合もありましたがシーズンを通してほとんどの試合に観客を入れて開催することができたのは本当によかったです。(ただヴィクトリーに関しては一番サポーターが居たかったラスト2試合が無観客だったのが残念)
・・・とポジティブな話かと思えばそればかりでもなく。
相変わらず信用ないなあ、という警官の人数(今シーズンに関してはNSW州のセミプロクラブの試合でのトラブルの影響もありましたがそれでも)だったり、観客を入れてもゴール裏のアクティブサポートが解放されなかったり、それだけならまだしもラグビーの試合で解放してAリーグはダメだったり、他のスポーツと諸々の状況を比べたりしてもうちょっとなんとかならないかなあとじわじわ悔しさを感じることもありました。

ただセントラルコーストが久しぶりのファイナルトーナメントに進出した試合の盛り上がりもそうですし、ウェリントンが1年以上ぶりにニュージーランドで試合した時のすさまじい盛り上がりもわくわくするとともにうらやましかったりしたのでヴィクトリーも(試合の結果・雰囲気ともに)来シーズンは負けてられないですね。

Nixの一時的な移転と帰還

今期様々な大変さがありましたが一番長期的に大変だったと思われるのがNixことウェリントン・フィーニックス。ニュージーランドとオーストラリアの間の移動ができなくなる可能性を考慮してシーズン前から豪本土のWollongong(NSW州)を仮の本拠としていました。

サッカーの歴史で(1試合だけとか集中開催じゃなく)シーズンの大部分を別の街・別の国の「仮の住まい」で過ごした例ってどれくらいあるのかわかりませんがかなり例外的な措置のはず。Wollongongはオーストラリアの中でも元々サッカー文化が強い町で、ウェリントン所属の外国人選手を応援するメキシコやイスラエル系移民の応援団の皆さん含め試合にやってきて暖かく迎え盛り上げてくれて、困難な中でも最善な形になったのではないかと思います。

それでもやっぱり家族やサポーターと海を隔てた外国(勝手知った外国とはいえ)で長期間過ごすのは大変ですし、仮のホームは本当のホームに敵わないですし。そういうこともあって5月末にウェリントン、そしてオークランドで開催された「本当の」ホーム試合の盛り上がりのまあすごいこと。

WollongongはWollongongで地元のクラブがあるので Aリーグが拡大したとき、または2部リーグができたときに参入してNixと試合したりして欲しいですね。スタジアムも海に近くて素敵でした。

夏季か冬季か

何度も書いていますが今シーズンはここ数年(10月くらい)よりだいぶ遅く始まりました(12月末始め)。その結果涼しい時期、つまりサッカーをする季節としてより望ましく選手が走りやすい気候での試合が多くなることに。
前々からより涼しい季節に合わせて、アジアのシーズンに合わせて、そしてプロ以外のサッカーのシーズンに合わせて冬季にAリーグをやった方がいいんじゃないかということは様々な方面で言われてきました。

ただもともと放送権方面(=もっと視聴率がいい他のフットボールとの兼ね合いとか)では夏季開催の方が都合が良かったり、ヨーロッパの移籍期間と合わせたり、Wリーグが一番暑い時期になっちゃうのを避けたり、など夏季開催にもそれなりの長所があります。そして今年は特にシーズン終盤と代表戦のスケジュール(およびACL)の噛み合いが壊滅的だったのが特に厳しかった。Aリーグのファイナルステージに主力が代表参加で不在だったり、次のW杯最終予選の9月に次のシーズンが始まって国内組の選手の招集に懸念が生じたり、今後こういう問題はなんとしてでも避けなきゃと誰もが思っているはず。

2021/22シーズンは放送権の所有が変わってスケジュールもそうですしコンテンツとか放送の色々詳しいこともこれから順次発表されていくみたいです。シーズンの始まりはまだ最終的な日にちは出てないながら10月~11月あたりの可能性が高そう。各チームの補強だけでなくリーグ全体としての様々な方面の変化も色々と楽しみ。そしてその間にもカップ戦や代表戦もあったり、その他にも報せが聞こえてくるようなので今シーズンは終わりですが引き続きオーストラリア周りのサッカー(と私の拙い文章)をよろしくお願いします。