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マスカット親分と愉快なオージー監督達周り色々あったこと思ったこと

Q. ヴィクトリーサポーターを自称してケヴィン・マスカット監督を勝手に「親分」と読んで敬愛していながらなぜこの記事を書くのに代表ウィークまでかかったのか?
A. なんだかマリノスの監督就任から始めて色々自分が願った以上にうまくいってどう受け止めていいかわからなかった

・・・ということで。
ついこないだまでオーストラリアから海外で挑戦してる監督の解任ラッシュみたいになっていたのにいつの間にか流れが全然変わってしまってメルボルンの片隅で未だに目をぱちくりしています。
確かにオージーの監督についてポジティブな話がしたいと願っていたし、諸方面うまくいくといいなとは思ってましたが、想像を超える状況に。
セルティックのアンジェさん、マリノスのマスカット親分、山形のクラモフスキーさん、それぞれ好調でなにより(あとユベントス女子のMontemurroさんも調子良いですがあの人は前からそんな感じですし)。
現役のオージー選手で世界のトップリーグに食い込める選手が少なくなってきていると言われる中、監督はじわじわ来てるのかも・・・?

指導経験が主にオーストラリア国内のみの監督がどれくらい海外で通用するのか、というのはこれまで懐疑的な見方が(国内外両方で)多かったと思われます。その主な舞台となるAリーグもリーグのレベルとしてはまだまだで、クラブ数が少ないこともあり監督としての機会の数も少なく、海外のチームと試合する機会もあんまりないことによりさらに判断しづらく。
でも今Aリーグにいる監督をはじめとして後に続けるかもしれない監督(攻撃的なフットボールに限らず)色んな人がいて、今後に向けて少し見通しが明るくなってきた気がします。

そもそも監督の人材がオーストラリアの環境でどう育っているか改めて考えてみたのですが評価するのは難しく。以前Sydney Unitedというクラブ(元プロ)が監督を何人も輩出しているということについて書かれた記事があったのですが、内容としては監督としての人格形成に家庭環境や文化的影響なんかがあった話が主で。例えば選手から指導者へクラスチェンジする過程とか、クラブの役割とか、これからも人材が出るかどうか、これまで何をしてきてこれから何を続ければいいかについてはあんまり参考にならなかったり。(そういえばこの記事のくくりには当てはまりませんがアンジェさんも何かにつけてお父様の話してますよね)

そして最近日本がオーストラリアの監督の海外で活躍する舞台となっているのは嬉しいですし、そして興味深くもありびっくりもしています。こちらでは選手も監督もサポーターもなにかと欧州の方を向きがちな文化がありますが、日本は対戦相手となることが多いので親しみもある国で、でも違うところ未知なところもたくさんある国。選手、監督だけでなくサッカー周りの文化も(男子も女子も)もお互いもっと交流と影響があるといいなあと思っています。

そして特にマスカット親分にとってはイギリスやこっちでよく語られる現役時代の諸々の色眼鏡がない場所で挑戦できるようになったのは良かったんじゃないかと思います。自分は試合の放送楽しみに見るだけでなくちょこちょこTwitterで日本での反応検索してみているんですけど「こんなこと思ってくれてるんだー」とにやにやしてます(笑)面白いですし嬉しいコメント色々。そこまで含めて親分が日本で監督になれたことがありがたいです。

なんせ親分はヴィクトリーにおいてレジェンドであるだけでなくいわゆる「favourite son」ですから。クラブだけでなく代表でのことも含め、国内にいようがいまいが色んなサッカーメディアで色んな話を聞くことが多く、敵として味方として嫌われ愛され、昔も今も大きな存在。直に見ることができたのは短い期間でしたが私もすっかりファンになりました。
なのでこちらのメディアではカジュアルに語られるけど海外には出ない話で日本の皆様に教えたい話がたくさんあるんですよ。選手として引退したときの記者会見で泣いてた話とか、今みたいな優しい雰囲気の監督になった経緯とか、ある日突然ゴールキーパーをターンオーバーした話とか、欧州チャンピオンズリーグの現地レポーターやってて元豪代表仲間とわちゃわちゃしてた話とか。

真面目な話に戻ると当時ヨーロッパで通用するライセンスを持ってなかった親分がベルギーに渡ったあと指揮をとれるようになるまでの話がすごく興味深かったのですが、その経緯を書いた記事を読むと欧州の外から監督となることの難しさがわかります。資格を得るための審査での3時間に渡るインタビューだったり、チームの練習を見ることができても参加・影響できない期間だったり、そのプロセス全体の期間の長さだったり(その後日本に来てからの待機期間もありましたし親分はなにかと辛抱がつきものですね)。結果を残す以前の過程の壁は高いようです。

オージー監督海外撤退の傾向が強かった時期、アンジェさんが親分や(現ヴィクトリー監督の)トニー・ポポヴィッチさんを筆頭にあげてオーストラリアの監督は偏見の対象になっているけどそれを乗り越えて海外できっと通用すると信じているという話をインタビュー(とそのインタビューを元にした記事)でしていて。その時は(もちろんその言葉がなくても信じていましたが)長期戦を覚悟していましたが、案外早くに希望が見えるようになったのは嬉しいです。今後もオーストラリアの監督が様々な場所で活躍できるといいな。

それはもちろんそれですが、親分のファンとしては身近な国で&目の届くところで親分が楽しく監督やってるのが何より楽しいです。これからも日本で成功し愛されますように。