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18か月ぶりのSocceroos

2019年11月19日、ヨルダン戦から約18か月。
その日を最後に中断していたオーストラリア代表のワールドカップ予選の続きが2021年6月4日にやっと始まることとなりました。
2020年のはじめにU23男子や女子のオリンピック予選があり、女子は今年一足先に活動を再開したもののそれを含めても空白の時間は長く、中断前の試合は思い出せないほど昔のことのよう。
その間にオーストラリアのサッカー周りで変わったこともたくさんあるので再開の喜びと期待を噛みしめながら状況整理しようと思います。

消えたホームゲーム

豪代表トップチーム(Socceroosと以下表記)は中断前のW杯予選で4試合中4試合勝利していますが、そのうち3試合がアウェーだったため再開後はホーム試合が3つも残っているラッキーな状況だった・・・はずなのですが。
諸々の規制のためにオーストラリアで試合が開催できないと判断され、Socceroosはクウェートでの集中開催に遠征することになりました。
それで勝敗が大きく左右されるとまでは思いませんが遠征は大変ですし、何より悔しかったです。久しぶりの代表戦でしかも観客も入れる可能性も十分あったのに(Aリーグではもうほぼ人数に制限ないはずなので代表も同じくできたんじゃないかな)。

しかも今回だけでなく今後しばらく(一応2023年2月に女子W杯前のプレーオフトーナメント開催が決まっています)国内でサッカーの代表試合は開催できないだろうと言われているのがまた残念で。様々な規制もあってこそ国内リーグの活動をほぼ通常通りに続けることができたという側面もありますが、どうにか早く状況が変わってくれないかなと願うばかりです。

ただ集中開催となるとオーストラリアの、というかAリーグの選手やスタッフは経験豊富な集団になりつつあります。パースの選手に至っては前シーズンの再開後、ACL再開後、そして今シーズンの始めのアウェー連戦と集中開催を何度も経験していたり(毎回大変なのは変わらないとは思いますが)。この適応が今後代表活動や海外で試合参戦する際に少しは力になったりしないかな・・・?

オリンピックの夢の組

そして豪U23代表(Olyroosと以下表記)もまたオリンピック予選以来の活動再開を迎えることとなりました。6月上旬の招集は海外組が主ですが、Aリーグ組でそれぞれシーズン(ファイナルステージ含む)を終えてから最終リストに入るかもしれない選手も相当数いるそうです。

Socceroos&Olyroos監督のGraham Arnold監督(Arnie)曰く、予選の時点ではクラブでレギュラーとしてトップチームで試合に出ている選手が少なくて招集に悩むほどだったのが、今はAリーグを中心に試合に出る選手が多くて悩むに変わったらしく。ヴィクトリーもクラブとしてのシーズンは悲惨でしたが既に海外組と一緒に招集されたDylan Ryanをはじめ若手に試合経験を与える貢献で少しは良いことができたかな。

東京オリンピックのグループステージでOlyroosが対戦する相手はスペイン、アルゼンチン、そしてエジプト。超ビッグネームの選手のオーバーエイジ参戦も視野にいわゆる「死の組」といわれるグループに振り分けられましたがArnie監督はそれを死の組ではなく「夢の組」と呼んでいました。強豪国、そして世界のトップクラスの選手を相手に試合ができるまたとない機会に恵まれた、という見方。選手も同様に楽しみにしてますし、そういう言葉を聞くとこちらもわくわくしてしまう。

Arnie

Arnie監督は若い選手がオリンピックに出場することについて強い信念があるそうで。オリンピックは出場する選手にとっての貴重な経験であるだけでなく、選手の未来やSocceroosの未来にもまた大きな影響があると話していました。その話を踏まえると若い選手がクラブで出場機会を得て、しかも世界で最高レベルの相手と当たることになって、という今の状況はすごくポジティブなものを感じます。

Arnieも相当大変なんだろうなと思います。あの人は前シドニーの監督だったんですけど今のふてぶてしいほどにどっしり構えたシドニーの雰囲気を確立したようなところがあって、最近のインタビューとかで見ても余裕さえ感じるたたずまいなのですが、でもSocceroosとOlyroosの監督を兼任して(後者はたまに委任しますが)それぞれで選手とコンタクトとったり招集について各クラブに説明したり政府に今後国内で代表試合できないか働きかけたり家族から長いこと離れて監督の諸々のお仕事している全てが本当にありがたく。選手時代から代表チームで困難も成功も経験してきた彼にとっても未曾有の難しい状況だそうですが、この人に任せることができてよかったなあと思います。シドニーの人だけど。

どこに行ってもまだまだ何が起こるかわからない、予定外の事が起こる可能性は十分ありますがそれでもとりあえずSocceroos、Olyroos、Matildasが動きだせるようになってよかったです。諸々開催に関する状況に関する不安も未来に向けての期待も色々ありますが、まずは少しずつでも試合が開催されるのが単純に楽しみです。

追記:この記事を書いて直したりなんだりしている間にAリーグのウェリントン・フィーニックスが実に433日ぶりに本拠地ウェリントンでホームゲームを開催したのですが動画・写真だけでもものすごい盛り上がってるのがわかる素晴らしい雰囲気の試合で。久しぶりのホーム試合やるならあれくらいは盛大にお祭り騒ぎしたいですね。