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Football Belongs ミニドキュメンタリー第2弾+フルドキュメンタリー感想

やっと!(何度か)観た!
オーストラリアでもEUROで盛り上がってて試合+国内外色んなメディアのコンテンツかいつまんだりしてるのでも忙しい今日この頃ですが、このFootball Belongsも本来はEUROに向けて制作されたものだったのでトーナメントやってるうちに感想を書いとかないとと思ってちょっと急ぎ気味に。

オーストラリアのサッカーにおけるヨーロッパ諸国の移民コミュニティの役割と歴史とつながりを描いたOptus SportsのFootball Belongsシリーズはミニドキュメンタリーシリーズ(シーズン1,2で合計16回、各5分ほど)と1時間のフルドキュメンタリー(+予告編3つ)で構成されています。ミニドキュメンタリーと予告編はYoutubeで無料で見られますが(公式のリストがちょっと変なのでこっちに別に自分でまとめました)、フルドキュメンタリーは現在Optus Sportsメンバーのみ視聴可能。ミニとフルは内容的にかぶっているところもあればそうでないところもあります。シーズン1の感想は以前こちらに書いたので今回の感想は主にシーズン2とフルドキュメンタリーの内容を対象に書きます。

Football Belongsのシーズン2は『もう今は存在しないクラブ』の話から始まります。これまでもオーストラリアのサッカー界における過去や現在の問題などシリアスな話題を扱うことはありましたがそのFremantle Benficaを振り返るくだりは悲しくもあり、これからに向けての警鐘のようでもあります。他にもハンガリーの回での朽ち果てたスタンド、そして今は亡き先人の話など単に過去の話ではなく失われたものの物語が多めに取り上げられている印象。

(シーズン1でもあったことですが)移民であろうがそうでなかろうがサッカーに携わる人達にとってサッカーが大切なのは当たり前のことですが、このシリーズではサッカーにまつわるコミュニティの大切さがそれを生業としない他の移民コミュニティの人達の言葉でも語られています。基本的にみんな面白い人ばかり(笑)自分のルーツを誇りに思う姿、必ずしも誇りを持てたわけでなかったエピソード、そして全然関係ない面白話まで。
そんな物語の背景にLygon StreetやLonsdale Streetなどのメルボルンに住んでいれば見慣れた景色が映されるごとに移民コミュニティや異文化って本当に身近に存在しているんだということを実感します。

そしてこのシリーズはオーストラリアにおけるサッカーの生態系の過去、現在、そして未来に対するヒントを落としながら移民コミュニティを描いていきますが、同時に選手個人のライフサイクルにおいてのコミュニティの役割にも焦点を当てています。ローカルのクラブでサッカーを始め、国内外様々な旅をしたあとプロとして引退を迎え、ローカルのクラブに戻ってさらに指導者として羽ばたいていく道筋。その様々な部分が描かれる中、アルバニア系コミュニティの回で(おそらくもう数年でプロのキャリアを終えるであろう)Besart Berisha氏がDandenong Thunderを訪れ、今後の道と自分がこの国で、コミュニティで果たしたい役割に思いを馳せるくだりは特に印象的でした。

タイトルがFootball Belongsと付けられているようにこのシリーズを通して「Belongs」の部分、つまりコミュニティや「ホーム」の大切さ、それらが個人や団体のアイデンティティをどう形作っているか、さらにはサッカーがただのスポーツクラブ以上の存在として移民だけでなくオーストラリアの人々皆にとって「feeling of belonging」を作ってきたかがテーマです。同時に現在、そして未来に向けてその役割をどうやって果たしていくのかとサッカー界に、そしてオーストラリア全体に問いかける作品でもあります。

そういったテーマの扱いを含めミニドキュメンタリーを全部見るだけでだいたいカバーされてる感じはあるのですが、でもどうしてもフルの方を見てもらいたい!と思うコンテンツもあります。
一つはアンジェさんことAnge Postecoglou氏が豪代表監督をやっていた時試合を前にして選手たちに向けたスピーチ。そのものも貴重ですしその内容も、単にモチベーションを上げるだけでなくオーストラリアにおいてサッカーの地位がどういうものかが伝わってくる重要なシーンです。
そしてもう一つはNT州のBorroloolaで先住民コミュニティを取材した特別な映像。先住民として初めて豪代表に選出されたJohn Moriarty氏とのインタビューです。この部分があってこそシリーズ全体が完全な円としてつながる感じがあるのでフルドキュメンタリーがOptus会員限定なのがものすごく残念。今後なにか公開に関する続報があったらまた伝えたいです。

そしてシーズン1に引き続きFootball Belongsにはおいしい食べ物の話が欠かせない。シーズン2の紹介記事にも「どこに行ってもお腹いっぱい食事をいただいた」とありますが映像を見てるとうらやましくなるほど(しかもプロデューサーの一人Davutovicさん、EURO開催中もOptusの企画でいろんな移民コミュニティが試合応援に集まる場でお酒や食事を振る舞われて回ってるんですよ)。

そういえばシーズン2は特にヴィクトリー関係者の出演が多かったです(笑)シーズン1公開時点ではそうでなかったのに後から関係者になった人も何人か。なのでヴィクトリーサポーターとしては知ってる顔や話が出てきて知ってる人達の様々な話が聞けるので特に楽しいかも。さらに先ほどアンジェさんに言及しましたが他にも対戦相手として、そして他の形で日本のサッカーと縁のある人もちらほら出演してます。ただもちろん内容としては誰でも楽しめるものとなっています。

そして最後にとても些細なことですが自分がちょっとにやっとしたのはどのエピソードも、どこの国にルーツがある人でもだいたい「オーストラリア」と言う時の発音は多少なりともオーストラリア訛りが入ってること。どこから来てもみんなオーストラリアなんだなという感じがして好きです。(自分ではわからないけど私もそうなんだろうか・・・)

フルドキュメンタリーについての続報も来たらお伝えしたいですがその他にFootball Belongsシリーズ全体の関連資料、ロケーションリストやグルメリストを今後自分なりにまとめてみたいと思います。できれば時間をかけて食べ飲みして回りたい(Davutovicさんみたいに毎晩毎晩とは胃が許さないですが)。どれくらいかかるかわからないですがメルボルンに海外から旅行に来れる頃くらいを目標にまとめは出したいですね。お楽しみに。