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豪サッカーの過去・現在・未来の姿を考察する「Football Belongs」ポッドキャスト&記事シリーズ

先日(4月23日)に現地観戦に行ったMarvelスタジアムでのメルボルン・ヴィクトリーvsウェスタン・シドニー・ワンダラーズの試合は祝日ANZACデーの2日前で、試合前に毎年恒例の式典が行われました。
学校に居た頃から何度も経験してきた行事ですが、今年は特にオーストラリアの独特な歴史と文化について考える日になりました。そのきっかけとなったのが今回紹介するOptusによる「Football Belongs」というポッドキャスト&記事のシリーズ(両方英語です)。

以前こちらで紹介した同じくOptusの同じくFootball Belongsというミニドキュメンタリーシリーズ(こちら第2弾が始まってるので別の機会にまた)とはオーストラリアにおけるサッカー文化に焦点を当てていること以外は全くの別物で、オーストラリアの歴史や文化や価値観とサッカーにおける出来事や人物の深い関わりを特定の試合(代表、プロ、それ以外も)を軸に振り返り、豪サッカーの現在と未来を紐解く全10回の連載です。
各エピソードはポッドキャストと記事で構成されているのですが互いにちょっと違う側面や内容を掘り下げてたりするのでセットで聴き読みするのがベストだそうです。

ちょっとナビゲートするのが難しいのですがシリーズ紹介記事からポッドキャストと記事それぞれ最初の3回分にリンクがあります。ポッドキャストはSpotify、Apple、Acastで聴けてシリーズ丸ごとまとまってるんですが記事はOptusの記事ページにリンクしてあるだけで、新しい記事が出るとどんどん後ろに追いやられてしまう不親切仕様。(なんとかまとめられないかなあ・・・)

どのエピソードも量的にがっつりあるのもそうですが内容も濃いです。歴史に埋もれた良い話もあれば、今の豪サッカーや国としてのオーストラリアの状況がなぜこういう風になったかという話だったり、いわゆる「黒歴史」と言えそうな出来事もあり、オーストラリアをホームとしてサッカーファンをやってる身としては聴いててしんどい内容も。でもだからこそ聴いて向き合って学ぶ価値がある話ばかりです。

特に印象に残っているエピソードでいうとAC/DCが響き渡った2006年豪代表vsクロアチア代表の試合終わり(第2回)、昔々オージーフットボールの選手とサッカー選手がサッカーの試合をすることとなった顛末(第7回)、そして豪代表の初めての大会優勝にまつわる話(第3回)。失敗から学ぶのも大切ですがやっぱり良い話が聴いてて楽しいし心に刻みたい。

短く浅く思えるこの国でのサッカー界隈で起こった様々な出来事を取り上げてしっかり振り返って現在と未来を見ることでオーストラリアのサッカー、そして国としてのアイデンティティや自己認識をあらため健全にしていく、というのもこのシリーズの目的の一部で。
そういった考察を進めていくことで実はサッカーはオーストラリアの歴史と文化を語る上で大事なピースであり未来をより良くしていくための手段でもあり、大事な役割があるものなんだという意味でこのシリーズもまたFootball Belongsというタイトルが付けられているわけです。

冒頭で言及しましたANZACデーはオーストラリアとニュージーランドの軍隊が国外での兵役としてガリポリ作戦に参加したことを記念する日。豪とニュージーがヨーロッパともアジアとも違う歴史を持つことを実感する日です。国全体に大きな影響があった出来事ですし他のスポーツでも式典が行われますが、この出来事がサッカーにどれだけの影響を与えたかについてはあまり語られません。Football Belongsでは第3回のメイントピックの一つですが、前述現地観戦に行った試合の放送を見たら実況解説でも少し話が出ていました。みんながみんな1時間の内容たっぷりのポッドキャスト+記事を理解・消化するのは大変なので、様々な形で言及する機会が増えた上でこのシリーズが参照先&中継先として存在しているというのが良いのかもしれません。

過去も現在も未来も、オーストラリアとオーストラリアのサッカーについて歴史も文化も交えてあんな話もこんな話も語れるようになる日に向けて。