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メルボルン・ヴィクトリー2023/24シーズン展望(というか3試合見た時点の雑感)

Aリーグの新しいシーズンもすっかりギアが上がってきました。ギアが上がったということはもちろんチームの力関係がはっきりしてきたとかそういう話では全くなく、ギアが上がった上でカオスも増している状態です。
ここまでメルボルン・ヴィクトリーの試合を男子も女子も3つずつ(うちホームはどちらも2つ)観たところで今季このチームがどうなっているかどうなるかをちょっとまとめてみたいと思います。

3試合見た感じ&色々プレシーズンから入ってくる試合の情報やインタビューなんかの内容をつなぎあわせたりすると今季はキーになる選手が複数離脱してもなるべく機能停止しないための対策としてなのかチームを柔軟に捉える傾向がある気がします。一つのポジションを複数人で考えるのではなくいくつかのポジションからなる攻撃のユニットに何人フィットするか、みたいな。元々複数ポジションをこなせる選手を多く置くチームなのでそれをより活かしやすくできるし、離脱する選手が出たとしても競争はある程度維持できるし、ユニット内のコンビネーションとコミュニケーションを育てる面でもポジティブがありそう。男子も女子も成功していたときのチームはチームを大きく考えて全員で戦ってたのともつながってそう。説明が下手ですが男子も女子もとにかく柔軟さがキーな感じ。そして色々男子と女子でちょっと似たところがある。
なので今回の「プレビュー的な何か」はそのおおまかなユニット毎に区切ってみます。

【攻撃】
おおまかにストライカーと両ウィングと「10番」の4人からなるユニット。男子は順にFornaroli/Velupillay/Arzani/Machachが当面のスタメンで、女子はOkino/Goad/Weinert/Loweが対応。どっちのチームも経歴・背景が違う、タイプの違う4人が揃っていて名前を並べる時点でどんな化学反応が起きるかすでに面白い。
男子のこの4人のコンビネーションは第2節からその妙を発揮し始めていてArzaniを中心とした自由がある動きで相手の守備を翻弄しているのですが、実際に点を取ってるのはほぼFornaroliなのはひとえに彼のストライカーとしての能力と本能だと思います。他も決めたいだろうけど普通にボックス内でチャンス作ってれば Fornaroliより先にボールに届くのは難しい。
男子の攻撃ユニットが新しいのにしっかり機能してるのに女子がちょっと時間がかかっているのはプレシーズンの短さもありそうですが(途中で代表ウィークとかもあったし)、このリーグでの経験値がトータルでちょっと少なめな事も関係しているかな。3試合目にしてLoweが中盤と攻撃をつなぐ役目で開花し始めたので彼女を中心にここからまとまっていくといいな。

【中盤】
中盤は(攻撃ユニットの一部でもある)「10番」とボランチ2人。女子は第3節のLowe/Murphy/Kellond-Knightで安定しそうだけど男子は最初のMachach/Marchan/Teagueにいくつか他にも選手のバリエーションがあってベストな3人がどうなるか今の時点でははっきりしたことは言えない状態。
攻撃同様男子も新しいコンビネーションだけどそつなくこなしてきたし、女子もKellond-Knightが入ってやっとそつなくなった感じがあります。決してリーグで一番エキサイティングな中盤ではないかもしれないけど安定していてバランスもよく、あと層の厚さはこの中盤ユニットかなりすごい。動から静までなんでもござれ、監督の采配でさらに強くできるか。
男子も女子も前期中盤のバランスは難しくてそこがうまくいかないのが特に攻撃に響いていた印象だったけど今季は「正解は一つに限らない」と言えるほど充実できればすごいよなあ、と思ってます。

【守備】
4バックで男子は左からTraore/Miranda/Da Silva/Geria+ゴールキーパーIzzo、女子はRankin/Morrison/Checker/Nash+ゴールキーパーWilliamsという顔ぶれ。
男子も女子もリーグトップクラスといえるほど経験値ががっつり詰まっているユニット。女子の両SBも若いとはいえもう数年このリーグでやってて年齢以上に成熟していて若手扱いができないくらい。
ヴィクトリーは両チーム監督が現役時代DFで、ボールを持って攻撃的なフットボールをするにしても守備がしっかりしていることは大前提というか基本というか妥協したくないというか、なので実は一番大事なユニット。
あとヴィクトリーは男子も女子もセットプレーから点入れることも少なくない(はず)ので空中で強いセンターバックはマスト。
一番メンバーを固定しがちなユニットではありますが色んなポジション兼任できる選手がその厚い層に何人もいるのでフォーメーションなりSBの攻撃・守備バランスなり色々融通が利くポテンシャルあり。というか男子で既に左側のSBとCBが第4節欠場するのが分かってるのにそこまで守備に不安が感じられないあたりこのユニット全体へのクオリティの安心が現れていると思います。

ということである程度のベースの安定と攻撃の自由さと層の厚さとスタメンの出入りのシームレスさがすでにある程度感じられ、目を引く選手が数いるヴィクトリーの両トップチームですがそのスターたち(あるいはスター予備軍)の中で特に注目するべき選手は、というと。

新加入の選手でいうと女子はまずRachel Lowe。シドニーでなかなか主力に落ち着くことができなかった選手ですが攻撃・中盤ならどのポジションでもこなせる選手。一度シドニーでストライカーで出た試合で2得点してますが、それは念頭に置いておくとして中盤の起用がメイン。ただ器用な選手なだけでなく前にいる様々な特徴を持つ選手を活かすコミュニケーターでコンダクターな役割がこのチームの鍵になりそう。

コンダクターで言えば同じく新加入、男子のDaniel Arzaniが(みんなが言うことだけど)やっぱり最注目。攻撃のコンビネーションが本格的に機能し始めた試合を見ると全ての攻撃のムーブが彼を中心に動いています。まだその才能を発揮するのにムラはありますし守備しないなんて茶化されることもありますが本領が発揮されるのはまだまだこれから。あとピッチ外でもなかなか面白いキャラをしていて、憎めない悪ガキ感とキラキラした魅力にすっかり目が離せなくなっている今日この頃です。

復活のシーズンは前からいた選手もまた新しい面を見せたり意外な成長を見せるもの。アップダウンの多いここ数年でアカデミーからトップチームの主力まですっかり定着したNishan Velupillayは今季本格的にブレイクを迎えているようです。なんでもオフシーズンのU23遠征から帰ってきてから変わったそうで。チーム全体が急速に進化しているこの序盤でちょっと追いつけいるようないないような、みたいにも見えるのではやる気持ちを抑えて開花を見守っています。あとはオリンピック・・・どうかなあ。

そして新しい面とも意外な成長ともちょっと違いますが、女子のフィールドプレーヤーとしては最年長になったElise Kellond-KnightことKK。怪我を乗り越えていざ復帰してみると彼女より前の選手がみんな自分より大きく若い選手という景色を目にしていたはず。みんなだいたいしっかりしているとはいえピッチ上でチームに落ち着きと指南を与える役割は今まで以上に大事になっています。オーストラリアの女子サッカーのパイオニアの一人でいる彼女がその経験と力をこのチームにもたらしてくれるのをしかと見届けたい。

相変わらず何が起こるか分からないAリーグですが既に強さが実感されている男子チームはもちろん、女子チームも期待できると思います。チームとしての成績はトップ6は大丈夫じゃないかな。あとは選手個人として各種代表選出が増えることにも期待したい。
シーズンの間はリーグ全体の記事がどうしてもメインになりますがヴィクトリー関連の話も(特にチームが調子いいなら)ちょこちょこしていきたい、というかナチュラルにできるようになりたいです。この記事書いて改めてわかった推しの話を上手い感じですることの難しさ。(カオスの話する方がずっと楽・・・?)

Melbourne Boys/Girls are still number one、ですよ