見出し画像

メルボルン・ヴィクトリーのユースチームについてゆるゆると

最初におことわり:
この記事を書いている人間はサッカーのユース事情について特に知っているわけではなく、純粋に
①メルボルン・ヴィクトリーのサポーター
②Aリーグのファン
③VIC州のセミプロリーグであるNPL/VPLのファン
④でも基本的にはベテラン選手が主に好きなので若い子達をきっちり見慣れてない人間
としての視点からゆるーーーく書き残しておきたいなと思ったことを書いています。なのでヴィクトリー他ユースチームはユースのトップチーム(といえばいいのか)しか追ってなく、あとセミプロリーグ周りに関してはあくまでもVIC州に限った話で他の州のNPLはたまに結果を見るくらいにとどまり全くわからないです。

暦の上で(あくまでも暦の上ですが)夏が終わりに近づくとAリーグと並行してセミプロのリーグが始まります。メルボルンがあるVIC州では各層のリーグの名前が変わったり、そして国内全体ではこれからNational Second Tier(全国2部リーグ)に一部クラブが移行する過渡期を意識し始めたり、大小色々な変化が近づいていますがとりあえずピッチ上では通常運転なようです。

そしてそれはAリーグのユースチーム(名目はU23)のシーズン始動をも意味しています。コロナ禍で消失したユースリーグ(当時はYリーグと呼ばれてました)は結局復活していないのでAリーグ各クラブのユースチームはそれぞれの州の秋春制セミプロリーグの所属チームとして活動。試合数はそれなりにあるけどユースチームの目的としては足りないなあ、という感じはあり。でも各州セミプロリーグなら大人相手に毎週試合ができるというのはそれなりにメリットもあります。昇格も降格も同じリーグの他のチームと同様にあるのでクラブによっている場所が違いますがまあみんなそれなりのリーグで戦っています。

メルボルン・ヴィクトリーのユースチーム(ヴィクトリーユースと略)は去年VIC州の3部(=全国でいえば4部相当)から昇格を果たし、今期からVPL1と名称変更になったリーグでプレーしています。メルボルンの他のAリーグクラブであるメルボルン・シティやウェスタン・ユナイテッドと比べてアカデミーやユースに力を入れるのがちょっと遅れたようなところはあり、昇格も1シーズン遅れをとりましたがリーグ環境としてはVPL1の方がいいところそう。VPL1はファンの中では「カオスリーグ」と呼ばれる魔境ですがフットボールは一つ下のリーグよりちょっと見良いですしきっとカオスは若い衆に色々教えてくれる。

他の2つのAリーグクラブと比べてヴィクトリーユースは比較的地理的に縛られにくいという特徴があると思われます。(シティは北→南に本拠移動したことによるアカデミーやユースへの影響がどうなってるか純粋な興味で気になるところ)
ただシティとウェスタンと比べてまだ行き届いてないなーというのが施設面。アカデミーの施設で練習して試合も、というのはうちは叶わなくて結構うらやましい部分(ユースに限らずの話ですが)。今期もPort MelbourneやNorthcoteで一部試合がある他はまたEpping行きですし、もっと行きやすいところで試合して欲しいと正直いつも思っています。

先ほど遅れをとったと言いましたがテコ入れは男子のAリーグチームの監督にTony Popovicさんが来たところで本格的に始まった感があります(もちろんそれ以前からなんとかしようとしていた分野ではありますが)。ただ2022年のユースシーズンが始まる時にPopovicさんを筆頭にいくつかの公式ソースから「15、16歳くらいで良い選手が出てきている」と言及があったのを覚えています。

それと同時にヴィクトリーユースはユースのトップチームの構成をちょっと変えたりもしています。基本的には対象年齢を広げたというか、現時点で18歳とか20歳とかの選手もどんどんユースのトップチームに入れてスカッドを大きく保つと同時に長くこのリーグを経験できている選手を確保できるよう工夫している様子です。年齢に上限がある以上毎年卒業する選手はある程度いますし、トップチーム招集なんかで時折一時的に引き抜かれる選手も出てくるのでユースチームの持続可能性という意味でも望ましいシステムかも。

そういった戦略がある程度実ったのか昇格先でのVPL1でヴィクトリーユースは7戦無敗(引き分け2試合)。第4節のEastern Lions戦を現地観戦しましたが昇格の担い手だった年上組は本当に大人のリーグで戦い慣れた感があって頼れますし若い子たちは才能があってこのチームに呼ばれてるのがよくわかりますしとてもバランスが取れてるチームでした。ただこのチームはセンターバック2人の安定だけでだいぶ色々なんとかなる部分はあるかも。

そんなヴィクトリーユースですがここからAリーグのシーズン終わりやオーストラリアカップなどに向けてトップチームに誰が何人招集されるか、はたまたアンダー世代の代表や海外移籍などにつながるかはまったくわかりませんね。
ユースからほぼ直で海外に行った例だとFranco Lino君(移籍当時18歳)がトップチームでちらと出ただけのタイミングでノルウェーに行ったという例が最近あったりします。

なんとなくですがこれからトップチームに拾い上げられるユースの選手は増えてくるかもという感覚はありますね。もちろんユースを卒業してクラブを離れる選手も出てくるだろうし、これまでにもそういう選手はたくさんいました。NPLで「元うちの子」をよく見ますけどNPLを経てAリーグに&ヴィクトリーに戻ってきた選手もいるのでプロキャリアの終わりというわけでもないです。それに前述全国2部リーグが始まることで州のリーグとAリーグの溝はだんだん埋まっていくはず。

その全国2部リーグですが個々の選手に影響があるだけでなくこれからのヴィクトリーユースにチームとしての影響も多々あります。州のリーグから全国の2部リーグにクラブが参入することで2024年のシーズン終わりには昇格と降格のバランスやリーグを構成するチームの顔ぶれも大きく変わることが予想されています。結果、州のトップリーグであるNPLがちょっと弱体化するのは避けられなさそう。ヴィクトリーユースが今いるVPL1からNPLへの昇格は現時点で3クラブ(降格は1クラブ)、となると昇格すること自体もちょっとゆるくなるかもしれないNPLでの挑戦も狙うなら今!なのかもしれません。もちろん今のヴィクトリーユースの調子がいつまでも続くわけではないと思いますがいちファンとしてその昇格を割と真面目に見てみたいと思っています。

そういった外的・内的要因でアカデミーとユースとトップチームをつなぐ道筋がはっきりしてきてユースとトップチームが近づいてきて、というタイミングでTurkish Airlinesのメインスポンサー参入により男子・女子・ユースのユニフォーム全部のスポンサー表示が揃うというのになったのはささやかだけど象徴的かもしれません。男子トップチームのキャプテンRoderick Mirandaも「トップチームと同じユニフォームをアカデミーの選手も着れることの大切さ」に言及していました。

なのでやっぱりあとは施設ですね。ホームグラウンドとしてのアドバンテージとかもありますがユースチームももっと多くの人に見てもらいたいという流れになるはずですし。というか私が観に行きたいのが主ですが。

サッカーなんでもそうですがオーストラリアのサッカー、そして育成も含めた発展は一日二日で成るようなものではないのでたまに現地観戦もしながら長い目でゆっくり楽しみたいと思っています。少なくともちょっと前の状況より今の方が良くなっている印象はなんとなくありますし、それはヴィクトリーに限ったことでもなく。
きっとクラブの努力を超えたシステム的なところや施設的なところで足りないことはまだまだたくさん残るのかもしれませんがやきもきしすぎずメルボルン・ヴィクトリーの、そしてAリーグのこれからの一つの側面として見守る予定でいます。将来ヴィクトリーがクラブ全体で栄える日が来ることを願って。(そしていつかEppingまでの遠征で悩むことがなくなることを願って!)