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お題でプレイリストその5「もう一つのふるさとの音楽」

6月は世界各地のサッカーリーグのシーズンが終わり各国代表の試合や大会がある時期。こちらの記事に書いたようにオーストラリア代表はかなり久しぶりの活動となりました。

サッカーのオーストラリア代表(特に男子)は伝統的に様々な文化背景の選手が揃っていて国外で生まれた選手の出生国は40カ国以上、現在招集されている選手をWikipedia(PC版)で調べてもフッターにある「people of (国名)descent」のカテゴリがない選手の方が珍しいほど。

オーストラリアでサッカーが移民により支えられているスポーツなのと同じくクラシック音楽もまた違う方面の移民が大きな影響を与えているジャンルだと思います。作曲家や演奏者はもちろんですし、楽器を習うにしてもロシア人や中国人の先生に習ったことがある人の数はかなり多いはず。

今回のプレイリストはそんなことにちなんでオーストラリアを中心に自分の生まれた国以外に文化的なアイデンティティを持つ作曲家の作品、そしてかなり広く解釈して生まれ育ちとは関係ないけど親しみがあると思われる他の国・文化を取り入れた作品を並べてみました。

ラヴェルとスペイン、クラムとスペイン(というかロルカの詩)、など色々単発で含めてみましたがこのテーマだとやっぱり世界中に散らばるユダヤ系移民の作曲家への言及は欠かせないですね(あとユダヤ音楽好きのショスタコも)。アルゼンチンのオズバルド・ゴリホフもその一人。ちなみにオーストラリアにも割と身近な地域を筆頭にかなりのユダヤ系移民がいますがクラシック音楽周りでの人口は多いのかどうかちょっと把握してません。

オーストラリアのクラシック音楽も最初はイギリスから持ち込まれたものに始まりグレインジャーなどによるイギリスの民族音楽を題材にした作品は今でも懐かしさとともに根強く愛されていますが、時代と共にSculthorpeのような作曲家がアジアとの繋がりを探ったりKats-Cherninのような移民の作曲家が母国の文化を持ち込んだり、WestlakeがLiorとコラボしたように複数の文化を融合させたり、様々な音楽が行き交っているのがわかって面白いです。

前述の通りサッカーが盛んな移民コミュニティとクラシック音楽が強い移民コミュニティって異なる集まりのようで、私も長いことメルボルンに住んでても旧ユーゴ方面の人とかサッカー見始めるまで全然会ったことないのもまた不思議な話。文化的なイベント参加の違いもそうですし地理的な要因もありそうですが。
でも気づかないだけで、知らないだけできっと色んな人が周りにいる大きいような小さいような街とコミュニティ。音楽の作品や試合に出た選手の名前以上に様々な文化の営みが今日もこの国のどこかで行われているはず。