サッカーに関する「手書き」の話
どんなリーグでもシーズンを通して追っていると色んな感情を揺さぶられる出来事があっちやこっちにありますし、今期のオーストラリアのサッカー周りは試合の中に限らずその外でもでっかいドラマと中くらいのドラマが本当にたくさんあってそのひとつひとつが自分のねずみ規模のハートに直撃して、様々なことに感情的・思考的な反応をするのに忙しいシーズンでした。
ただそんな中でも決して大きくも中くらいでもない、感情的になるわけでもないけど心になんだか残る、頭の隅に引っかかる事柄もまたあり。
Aリーグ女子のシーズンが長くなり、総出場試合数の記録が塗り替えられることとなった終盤のインタビューで元・出場試合数の記録保持者であるTeresa Poliasにその157試合で起こったことをどれだけ覚えているか尋ねた際にこんな話がでていました。
要約すると選手として、当事者としてずっと試合に関わっていると記憶がごちゃごちゃになって後からは断片的にしか思い出せないことも多く、むしろパートナーの方が覚えていて指摘されることも多いから若い後輩達には代表の招集や他の試合で遠征するときは日記を持って行くようにアドバイスしている、という事。
その発言自体は選手自身のために、という話なのですがオーストラリアでは特にサッカーの歴史を記録すること、語り継ぐことがあまり得意ではない、という話は前から色んなところでちらほら出ていて、様々な方面でもっと良くしていかなきゃいけないなとは思っていて。例えば選手達が彼ら・彼女らの試合の体験を出来事として、あるいは感じたことなどまで含めて書き残してくれたら今まで取りこぼしてきた歴史のピースも物語も今後もっと残せるようになるのかな、と思ったり。
もちろんそれは選手など当事者だけの役割ではなく、自分もオーストラリアのサッカーのいちファンとして少なくとも自分のために、できたら自分以外の人間が参照できるようにもっと記録の仕方を考えて記録するだけでなく「ストーリーテリング」の助けになるようにしたい、という考えに至って、そこからやれノートの種類から考え直しだの、どんなことを書き残したいか改めて色んな試合を素直に楽しんでみたり（それは別に普段とそう変わらない）、色々考えを巡らせている途中。考えれば考えるほど、そして冒頭に書いたような大小のドラマを直で受ける度にこれは（少なくとも自分にとって）最初に思い立ったとき以上に大事なことだと実感するようになっています。
そういう記録を残す手段に関しては自分は手書き一択なんですが、アスリートなどにもまだ手書きの文化が根強く浸透していることにも最近気づいてそれもとても興味深いと思っています。サッカー好きなだけでなく手書き好き・文房具好きな人間としては例えば監督が試合中にメモをとっているとどんなノートを使ってるかついつい気になりますし、ジャーナリングを習慣としているアスリートが結構いる中でどんなジャーナリング用ノートを使ってどんな内容（というかノートがどういったことを書き記すようなフォーマットになっているか）も気になったりします。
例えばMigoalsのノートだったりStefan Maukのサイドビジネスのノートだったり、書きやすく続けやすい、習慣を作りやすいデザインになっているのはちょろっとだけ把握しています。何を書くかを深く考えなくとも記録できる部分と自由に自分の思っていることを書く部分のバランスが大事そうだな、という印象もなんとなくあります。
そういうノートは基本これからの目標を見据えたり課題を整頓したり、「今から未来」の方向に向けて書き記すためのノートなのですが、例えば日記のように試合や遠征の記録など「今から過去」の部分を書き記すこともできるのか、そして自分が歩んできた道や思い出などを見返して楽しむようにも作られているのか。それともそれはまた別のノートを設計しなきゃいけないのか。
例えば選手の「今」や「心」を大事にできるフォーマットのノートがあると面白いかなあ、みたいなことを思ったりします。キャリアを通して振り返って懐かしめることは記事やインタビュー、そして現役引退後の指導などでも助けになるかもしれない。
そういうことに思考を巡らせるわけですが、どんな記録を誰がつけるにしても結局はプライベートなものなので外から（特にこんな遠くから）どうにかできることではないのはよく分かっていますし、別に商品開発したいわけでもありません。あくまでもぼんやりとしたアイディア。でももっとオーストラリアのサッカーの物語を語れる人が増えて欲しいし、そのため参照できる記録も増えて欲しいし、そもそも「語る」ことを支援する術ってなにがあるか、みたいな事を考えるのが面白かったり、その過程を通じて自分なりの「術」を見つけようとしたり。
そうやってくるとぐるっと回って戻ってくるのがどうしましょうねー自分のサッカー用手書きノート、という話。自分が語れる助けになる術を少しでもなんとかしたいですが。オフシーズンの間にゆっくり考えておきたいと思います。Aリーグのオフシーズンはとにかく長いのでまたこういう突発的な寄り道もまた記事になるかも・・・？