見出し画像

Anthems、その他特別な機会の音楽

注:冒頭をはじめだいぶ内容がサッカー寄りですが音楽の話をするために書いた音楽の記事です。

今冬(日本の夏)はサッカーでいうと欧州方面でEUROがあり、ワールドカップ予選もあり、親善試合もありおそらくオリンピックもありで試合前に国歌が演奏・独唱・斉唱される機会が多い期間となっています。国歌はもちろん各国違いますしそれぞれの国や地域の音楽の伝統が反映されたり聴くだけで面白いことたくさん。オーストラリアの国歌Advance Australia Fairはうちの母の言葉を借りると「音楽理論の宿題で書いたみたいな曲」なので音楽的に魅力的な国歌がちょっとうらやましかったりもします。

ただこういう大会などでは(優勝したりすると)国歌以外にも選手やファンが声を揃えて歌う別のanthem的な歌も色々出てきます。イギリスは第二の国歌が5つくらいあるような音楽文化で、その伝統を受け継いだかどうかはわかりませんがオーストラリアにもそういう機会に湧き起こる歌としてWaltzing Matildaが歌われます(近年そういった場は減りましたけど・・・)。
メロディーはすごく美しいってわけではないですが親しみが沸く旋律で、少なくとも国歌よりは歌う・聴くに良いのですが、うちの母曰く「anthem」として&特別な機会や祝うには歌詞が変(確かに変)。
(ちなみにですが国際的な大会がある時の母の趣味は様々な国で「君が代」がどのようにアレンジされるかを聴くことだそうです。それも面白そう。)

愛国心がどうかという話ではなく私はどうもこういった祖国などを思う感じの音楽+特別な機会の組み合わせに弱いようです。もう昔になりますがイングランドがラグビーの大会で優勝して「Swing low, sweet chariot」をみんなで歌ってる映像をテレビで観た記憶だったり、ラジオを目覚ましに使ってた時代7月14日のフランス革命記念日の朝に「レ・ミゼラブル」の「Do you hear the people sing?」を聴いた記憶だったり、当時刺さっただけでなく今でもはっきり覚えています。
だからホームでの試合前に必ずスタジアムにいるサポーターが「Stand by Me」を歌うメルボルン・ヴィクトリーを応援することになったのも一種の運命かなと(笑)

そんな私ですが2000年のシドニー五輪の音楽的な記憶ってあんまりないなあ、ということに先日ふと思い当たり。もちろんもう21年も前の話ですが2000年だとちょうどオケで弾く楽しみに目覚めた頃、そしてオーストラリアの作曲家の作品に初めて触れた頃でもあり、さらに開幕式から閉幕式までそこそこ観てた大会だったのできっかけはかなりあったはず。
実際の開幕式などに携わった作曲家を調べてみると現在有名な作曲家が多くこんな作曲家も手がけてたんだ!という驚きたくさん。今でこそ豪作曲家の作品が広く親しまれるようになりましたが当時はローカルの作曲家ってどれだけ知られていたのか、話題になっていたのか気になります。
ただ五輪をわざわざ持ち出さなくても作曲家の皆さん様々な方面で活躍しているのもあってオリンピックでの音楽についてはクラシック音楽界隈でもほとんど言及がない気がします。

それを考えるとジョン・ウィリアムズのファンファーレは元々作曲された大会だけでなくてその後もどこでもオリンピックを象徴する音楽として多用されててやっぱり桁違いというか圧倒的なんだなあ、と思います。
こちらでは2023年サッカー女子W杯(豪&NZ共催)に向けて大会開催後もサッカー界に後も残る「legacy(遺産)」についても考えることの大切さについてよく言及がありますが、今後おそらくブリスベンが五輪招致に向かうにあたって(ちょっと先の話ですがそういう話があるそうです)スポーツにおけるlegacyだけでなく芸術・音楽方面のlegacyについても何か出てこないかなあ、なんて鬼が笑うのを承知で考えたりしています。

そういった大きなイベントでなくても特別な機会の音楽に関しては最近面白い動きがあります。ここ数年でメルボルン周りではイベントで開催場所の土地の元々の所有者である先住民の人々に感謝を述べることが慣例になりましたが、一部のコンサートでは開演時にDeborah Cheetham(Yorta Yorta出身の先住民作曲家)により作曲された「Long Time Living Here」にのせて謝辞と歓迎の言葉を述べる慣習が広まりつつあります(いつから始まったか正確にはわかりませんが結構最近です)。音楽の場では音楽で、というのも良いですし先住民の人々と土地とのつながりを感じ、音楽と場所と体験がより強く結びつく素敵な形だと思います。先住民の人々の「古い伝統」であり、新しい形の伝統でもあり、音楽が様々な場と形で使われるのがこれからも楽しみです。

「Long Time Living Here」、最近の作品ですし主に上記の形で演奏される曲なので録音とか録画とか見つかるかな?と思ったのですがちょうど数日前の医者オケCorpus Medicorumのコンサートでの映像がyoutubeにアップされていましたのでありがたくリンクされていただきます。