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今期のAリーグを彩るゴールの数々

昨年11月に始まったAリーグ(男子)の2021/22シーズンももう終盤、英語でいうところの「pointy end」な時期になってきました。
女子のシーズンを参考にするなら新形式のファイナルステージはレギュラーシーズン以上に予想だにしないことが起こると思いますし、今期のレビューはグランドファイナルまで全部終わってから書く予定ですが、ファイナルに向かう今こそ振り返っておきたい、そしてこれからの試合を楽しみにするために考えをめぐらせたいことがあります。

端的に言うと「今シーズンAリーグ男子ですごいゴールものすごくたくさん生まれたよね!?」ということ。
普段試合見てても思いますし、YoutubeやTwitterにアップされてる今週・今月のベストゴールのノミネート動画(Youtubeのプレイリストは更新がまめでないのがこういうとき不便)で並べて見ると今期すごかったなあと思わずにはいられない。特に2月は色々とおかしかった
シーズンを通してみるとボレー、逆足とは思えない逆足弾、華麗な崩し、フリーキックから直接、上の角や下の角やスコーピオンまで様々なスタイルの名ゴールが揃ってます。

でもKeepUpのこの記事にあるとおり何を素晴らしいゴールとするかは人それぞれ。これが正式に記事になってしまったのをきっかけに私もシーズンレビューの一部ではなく独立した記事でAリーグで生まれた素晴らしいゴールをいくつか振り返ってみようと思います。

個人の技が光るゴール

前述今週・今月のベストゴール動画で目を引くのはやっぱり個人の能力に負うところが多いタイプのゴール。
一人の選手の力で得点(そして勝ち点)をもぎ取るような場面をたくさん見ました。
テクニックが問われるゴールが前と比べて増えたように思うのは私だけかな。
ただ今期は確かにボレーが多かった。足のアウトサイドでのシュートも多めだったかも。これはその両方。

ベテランや外国人選手ももちろんスーパーゴールの常連ですが若い選手達が輝いた場面も少なからず選出されてるのはまた喜ばしい。

ただ色々見たところでやっぱりこのスコーピオンキックは青天の霹靂でした。

もちろんプレーの流れなどを含めた評価も忘れたくないんですが、それでも2月のあれやこれや(もう一回リンクした)みたいな本来なら稀にしか見れないような、再現性が低くて偶発的な要素が大きいゴールが生まれてしまうとそれを大事にしたいと思うのはもうしょうがないと思います。なのでやっぱり今シーズンベストはこのカテゴリから、おそらくあのスコーピオンが筆頭候補。

選手間の連携が生み出すチームゴール

先ほどの記事にも言及がありますが「最終生成物」がシンプルに見えるゴールは良き「製造過程」の賜物であることが多く、そういうチームゴールもまた個人によるゴールと同様に評価されるべきで。
もちろん今期のAリーグにも色々ありました。多分ニューカッスル・ジェッツとかメルボルン・シティとか攻撃的でパス繋ぐのに長けてるチームから選ぶべきなんでしょうけど自分が応援してるところで最近良いのがあったのでそれを貼ります。

あとここまで繋がるわけじゃなくてもアシストの良さまで推したいゴールも数々。
さっき貼ったGaruccio君のスコーピオンキックはアシストのアウトサイドの良さもセットですごかったですし、DaggersことD'Agostinoの逆足ロケットもアシストしたBrooks君のタッチの良さ(ついでにその前のロングボール)まで含めても素晴らしい。

ゴールに伴う感情的な価値

各種ベストゴールの選出ではなかなか考慮されにくいけど自分の中で必ず評価に含めたい、そして特定のゴールがAリーグの歴史と人々の思い出に残るかどうかを大きく左右する要素として「感情的な価値」があると思います。要するに「エモいゴール」。
私はエモいゴールが大好きですし、上記2タイプのスーパーゴールに付加価値としてエモさがあるのは最強だと強く思っています。

今シーズンでいうと:

例:アデレードvsヴィクトリーでのVelupillay君のゴール
・Aリーグのダービーでもサポーター含めて敵対心が激しいことでおなじみのOriginal Rivalry
・特に盛り上がるアデレードで開催される試合
・この試合恒例の数多く遠征してるアウェーのヴィクトリーサポーターの目の前で
・終盤で勝利を決める1点
・ヴィクトリーがアデレードで勝つのは数年ぶり
・得点したVelupillay君は子供の頃ヴィクトリーサポーターとしてそのアウェースタンドに居たこともある

これが例えばアデレードでの試合でなくてホームの試合じゃなかったら、ヴィクトリーがアデレードと大敵対関係じゃなくて向こうに大人数で遠征する長年の習慣がなかったらこのゴールの印象や価値って変わってくるんですよね。あのスタンドにいた子供が選手になってあの環境でゴール、というのが良い。
因縁だったり歴史だったり、そういう物が蓄積されてきているだけでなく今期は特にクラブやリーグが多く発信している印象があるので観客側がエモさを実感することは多くなるんじゃないかな、と思います。

ただやっぱりAリーグ史上最高にエモいゴールは(リアルタイムで見てないけど)2017/18年のセミファイナルでの有名なゴールですね。

・準決勝の大舞台
・シドニーとヴィクトリーのダービー「The Big Blue」で観客もたくさん入ってる
・そもそも延長戦にもつれこんだのがアントニスのオウンゴールによるもの
・延長戦の終わり近くにそのアントニスがボールを持ってシドニーの選手をかわしてピッチ半分くらい独走してのゴール、ヴィクトリーの決勝進出を決める
・アウェーのヴィクトリーサポーターの波に飛び込んでいくアントニス
・Simon Hill氏のAリーグ実況史上にも残る名実況を添えて

感情的な部分も大きいですがソロゴールとしても元々良いゴールというのももちろんポイントが高いです。その両方の要素が相まってAリーグの歴史の中でも最高のゴールの一つだと思います(ヴィクトリーサポとしてのバイアスは重々承知ですが)。

これを超えるゴール、そして物語はなかなか出てこないとは思いますが、今シーズンを彩ったゴールのクオリティやリーグで生まれた様々な物語を考えるとファイナルに向けて期待は高まっている気がします。それは2月にあったFFAカップ(旧称)の決勝にも裏付けられていること。

なので今期のファイナルの諸々の試合はなるべく多くの人に見て欲しいですし、もっと踏み込むならAリーグは試合そのものだけでなくチームや選手を取り巻く様々なストーリーまで知って勝ち負けもゴールもさらに楽しんでもらえたらいいなと思っています。
ということで5月13日から始まる(予定の)Aリーグ男子2021/22ファイナルシリーズ、こうご期待!