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忘れてはならなかった豪サッカーの一角の話

先日こういう記事を書きまして。

オーストラリアにおけるサッカーに関わってくる様々な国や文化の話を詰め込んで、投稿した後もなにかひっかかるものがあって。詰め込んでもなんかしっかり書けてないなあと思うのはこのトピックに関係なくいつものことなのですが、なにか忘れているような感覚が振り払えず。

そして昨日の朝起きてSNS諸々をチェックして何を忘れていたか気づいて頭を抱えました。
今週はNAIDOC Week、つまりオーストラリア本土および周辺諸島の先住民の歴史や文化、功績を称え理解を広めるための週間だそうで。
・・・外から来た人々だけじゃなくこの地にサッカーが広まるずっと前からいた人々のことにも言及だけでもしようと思ってたのに言及さえもしなかった。
実際内容の充実した記事をその話だけで書くにはまだ勉強不足ですがまったく話に出さないというのもやっぱり違うと思ったので少し補足的に書く事にしました。

オーストラリアにおけるサッカーの歴史においてアボリジニの選手や先住民にルーツを持つ選手は決して多くないですが古く(=オーストラリア基準)から女子・男子共に何人もいます。
原液のプロ選手でいうと男子は代表は引退しましたがインドのリーグにいるDavid Williams、U23に初招集されたTate Russell(Western Sydney Wanderers所属)、U17代表経験ありのヴィクトリーのLuis Lawrie-Lattanzio(お母さんがアボリジニでお父さんがイタリア人だそう)がいますし、女子はオランダPSV所属で豪代表のKyah SimonとそのいとこのGema Simon(Newcastle Jets所属)、とやっぱり多くはないですが各世代の代表チームに選ばれたり重要な選手が多い印象があります。

そもそもサッカーの育成制度やローカルの若い選手のプロへの取り込みなどにまだまだ改善点が多くあるため先住民背景の選手に限らずなかなか拾い上げられていないところがあるとは思いますが、上記のとおりアンダー世代の先住民背景の選手もAリーグ入りしているのでこれからも増えるといいなと思っています。
プロ以外の事はあまり把握できてないのですが様々な動きはあるようで、特にクイーンズランド州やノーザンテリトリーなどで先住民人口が多い地域に先住民ベースのサッカークラブがあったり(話に聞く程度ですがノーザンテリトリーのMindil Acesなど)、あと先住民に特化したアカデミーを有するクラブや団体もあるようです。

(そして先日の記事で移民と国外からの文化の影響に関してオーストラリアのサッカーとクラシック音楽で似たところがあると書きましたが先住民の参入もまた似たようなステージにあると思います。それぞれの分野で何人か名を馳せる有名な人は輩出されているもののシステムを始め様々なレベルで一般に認知と支援が求められる段階。)

移民や難民としてオーストラリアに来た人々がサッカーを通してコミュニティに参加する、などの文脈で「フットボールは共通言語」みたいな言い回しを時々見ますが、豪サッカー代表公式によるNAIDOC Weekの記事によるとアボリジニの人々はオーストラリアにサッカーというスポーツが渡ってくる前からボールを蹴る種類の遊技に親しんでいたらしく、つまりサッカーは外から来る人々だけでなくこの国に元々いた人々との共通言語でもある、というのはちょっと面白い話。

共通言語はとりあえず一つの要素として、先住民の人々もまたオーストラリアのサッカーの一角であり歴史・現在だけでなく未来の一部であるはず。
なので今後絶対忘れないようにしますしいつかもっと様々な取り組みが進んでもっと書く事ができるといいなと願っています。