Why Australian Soccer?

なぜオーストラリアのサッカーを好きで熱心に追っているのか。
・・・つまりなぜ（他の種類のフットボールや他のスポーツが盛んな）オーストラリアのサッカーなのか、そしてなぜ（お世辞にもレベルが高いとは言えないし色々苦しいことも多い）オーストラリアのサッカーなのか。

日本に住んでいた子供の頃家族でサッカーの試合を見にいったりしていたことも、たまたま縁があってまたサッカーを見始めて「それなら身近に応援できる方も」と決めたこと、そしてそもそもオーストラリアとメルボルンが好きなのも関係していると思いますが、あくまでそれはきっかけで。

Aリーグを見て、Socceroosを見てMatildasを見てWリーグを見て、それからセミプロのNPLもちょこちょこ見て。不満に思うことも色々ある中でやっぱりどこか身内のような愛しさを感じている、それはオーストラリアのサッカーに小さいけれど複雑で独特な世界を感じているのが理由だと思います。

以前Optusの「Football Belongs」シリーズの感想をまとめた（こちらの記事。シリーズの続きが待ち遠しいです）際に書きましたがオーストラリアにおいてサッカーの発展には様々な国からの移民が大きく関わっています。ヨーロッパ各国、中でも旧ユーゴの国々、そして新しくはアフリカやアジアから移民・難民として来た人々。サッカーのために来たわけではなくオーストラリア全般での移民事情がサッカーにもある程度反映されているという形。

なので例えば歴代サッカー豪代表の（オーストラリア以外の）出生国リストを見ると計41カ国で5大陸制覇していたりしてその情報だけでも面白いです。ちなみにこの一覧はA代表のみなのでアンダー代表を含めるともっと多いですし出生国はオーストラリアでも親や祖父母が国外から来ているケースもかなりいます（ちなみに最近FFAがGenerations of Australiansというミニドキュメンタリーシリーズでそちらの話を扱ってますね）。

それに加えて国内リーグに外国人選手として来る選手も様々。リーグのレベルと財政の関係で限られるとはいえ時々スター選手がきたり面白い選手が来たり、構成が常に変わる予測不能な環境。逆にオーストラリアからの選手の移籍先もまた色々で、「どこでもドア」とまではいかなくとも世界のいろんな場所につながる無数の窓が開いたり閉まったりしながら常に人が出入りしているような感覚です。

そしてオーストラリアにとって国際試合の主戦場はアジア。アジアといっても様々な国の代表・クラブのチームがあって日本や韓国、中東諸国相手に厳しい戦いが繰り広げられます。そしてなんといっても環境の多様さがすごい。例えば現在のW杯予選でいうとオーストラリア（季節が他の国と逆）はクウェート、ヨルダン（中東）、ネパール（高山）、台湾（亜熱帯）が同じグループ。多様さと苛酷さはプレー以外でも。

他の国と比べるとサッカーの歴史も国の歴史も短い中、オセアニアからアジアに属する地域が変わったことを筆頭にサッカー環境にも様々な変化がありました。そんな現在でもやはりイギリスやスコットランドのサッカーとはプレーする側も見る側も、そして文化的にも太く繋がっているのを感じますし、オセアニアに関しても特にAリーグではニュージーランドと深い関わりが続く側面もあり。全部ひっくるめて珍しい立ち位置だと思います。

（そういうところはオーストラリアにおけるクラシック音楽の立ち位置とも似ているような気がします。アジアを筆頭にヨーロッパ以外の影響も大きく、移民により多様化していながら、古きイギリスの音楽も愛される。）

まるで世界の縮図のよう、というとちょっと違うようで。多種多様な要素が身近な小さな世界に混在しながら、絶えず出入りして変化しているごちゃっとして極めて不安定で不思議な生態系。それ自体も面白いし、たまに光るものも愛しいし、何かもっと化学反応を起こして生まれないかちょっと期待してもみたり。調べて知ると興味深いこともたくさん出てきたり、単純に色んな人が同じ国に、そして世界中にいるのが面白い。サッカーを通じて世界を感じ、人間と地理と歴史を身近に感じている感覚です。

オーストラリアにおけるサッカーに関してはもっとなんとかして欲しい部分や根深い問題が数々あるのは日々耳にしていて、腹を立てたり無力さを感じること、なかなか誇りを持って言えないこともあるのですがそれでもふと目にする事柄からオーストラリアのサッカーの世界にまた引き込まれていってしまう。

そういった勝ち負けやプレーのレベルとかとはちょっと違うところも楽しみにオーストラリアのサッカー色々を好きで日々追っている人間がこのnoteを書いています、ということをとりあえず書いておきたかった記事です。今後も何かと色んな方面に話を飛ばしながら身近なあたりのサッカーについて書くこととなると思いますがよろしくお願いします。