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メルボルン・ヴィクトリー男子2021/22シーズン振り返り

シーズンレビューを書くことは前から決めていて、書こうという意志には変わらないのですがどういうテンションで書いたらいいかずっと迷っているシーズン終わり。

確かに前期は最下位で終わり、そこから比べると正反対ともいえる状況。数年勝てなかったカードの試合もいくつか制しましたしFFAカップ(旧称)優勝という形でタイトルも手にしましたが、首位フィニッシュにはギリギリ届かず、ファイナルシリーズは準決勝1stレグ勝ったけど2ndレグで敗退、ついでにACL出場のためのプレーオフも惜しくも延長戦で負け、と手が届きそうで届かなかったものが多く。全部終わってみると進歩の嬉しさよりも悔しさが残るのは仕方がないのかな、とは思います。
でもそれが悔しく思えるくらいヴィクトリーというクラブもサポーターもやっと本来の感覚が戻ってきたとも言える・・・かも。

結果に至るまでの過程、そして何が足りなかったか

私は色々サッカーを観たりなんだりして特にヴィクトリーを数年こまめに見ているだけの人間で、戦術とか選手のコンディションとかに詳しい人ではないのですが今シーズンのヴィクトリーを見ていると個々の選手の回復や成長、そしてチームとしての機能の変化がなんとなく過程として見えてくるような感覚がありました。

たとえば過密日程などのイレギュラーに結果が都度左右されたようなところはあったもののシーズンが進むにつれてだんだん影響が小さくなってきたようなところだったり、キーとなる選手のコンディションやパフォーマンスがそれぞれ違うペースで上がっていったこと、守備が割と早くに安定してから終盤に向けて攻撃力が上がっていったこと、メンタル面などシーズンを通して目に見える変化がいろいろありました。
特にダービーなどの大きめの試合が進捗の指標になったような印象もあります。基本的にダービーの類いは負け無しだった中、3回あったメルボルンダービーを比較するのがシーズンを通した変遷を見るのにわかりやすいと思います(あと単純にシティに勝てるようになったのはやっぱりそれだけで大きい)。他にもFFAカップ決勝やACLプレーオフも「このチームはここまで来たんだな」というのをサポーターとして実感できる試合といえるかな。

そうやって数ヶ月間見てきたものを踏まえてセミファイナルは(難しくても)勝てるかも、と思っていた分敗退はショックでした。ウェスタン・ユナイテッドの強さが(本人達以外に)完全に計算外で圧倒的だったというのもありますが、勝てなかったのはアプローチが違ったのか、チームの力が足りなかったのか、様々な意味での経験値なのか、自分なりの答えみたいなものも全く出ずにいます。とにかく一つ言えるのは「本来のヴィクトリーの姿」を取り戻すにはまだまだ足りない、まだまだ積み上げ途中なんだな、ということですね。

いちサポーターとしてオフシーズンはここまでヴィクトリーが積み上げてきたものを改めて評価することに焦点をおいて試合を見返したいと思っています。やっぱり悔しさ残念さは残りますができるようになったことも満足に思うことも誇りに思うものもちゃんと受け止めないと。そうなるとどの試合がいいだろう。

前からいる選手、若い選手

さて、今期からヴィクトリーの監督になったTony Popovic氏(またの名を「Popa」)はパースの監督してた頃の印象だとベテランを重用するイメージがあり、また前からPopaさんと縁のある選手がたくさん補強としてヴィクトリーに来たので昨シーズン以前からいる選手や若い選手の扱いはどうなるかな、と思ってたのですが完全に杞憂でしたね。

例外的にヴィッセル神戸戦のスタメンの大多数が「ヴィクトリーより前にPopovic監督の元でプレー歴がある選手」だった(フォーメーションの関係もあったのかな)ことを除けば全般的にバランス良く、というか。結局メインの攻撃陣4人はいわゆる東京五輪世代の3人(D'Agostino、Folami、Brimmer)+前から居る選手の主な例であるRojasでしたし、なんだかんだでBroxyも今期も引き続き色んなポジションで出場しましたし(笑)(しかも33歳でまだ伸びてる要素もあるように見えたので来季はもっとBroxyが見たいと個人的に願っています)。

もっと若い生え抜きの選手ということでいうならVelupillay君はすっかり交代要員として定着、Kirdar君も中盤の一つ後ろのポジションで安定してからは交代でちょくちょく出るようになりましたしBrooks君も出場時間こそ少なめだけどある程度の評価を得てるはず。決してアデレードやセントラルコーストみたいにティーンエイジャーが頭角を現すみたいな感じではないですがヴィクトリーはその一つ上くらいの世代を伸ばすのがいいんじゃないかな。
ユースチームも今期NPLで調子いいみたいですし今後アカデミーやユースの状況もいい方向に変わってくるのかも・・・?

ゴール裏と選手たち

生え抜きの選手というとクラブのアカデミーの選手を指すと思いますが、ヴィクトリーは最近元々ヴィクトリーのサポーターだった選手が男子も女子も増えています。
Velupillay君の話も以前しましたがBrimmer君もまたヴィクトリーのゴール裏出身の選手。「Jakey Brimmer, he's one of our own」チャントが最近よく聞かれるようになりました。

そういう「スタンドからピッチへ」な選手は近年Aリーグで増えてますが今年のヴィクトリーはなぜか逆に「ピッチからスタンドへ」行った選手も何人かいました。
1回目のメルボルンダービーで出場停止のDavidsonがゴール裏に混じった件だったり(いつ見ても面白いのでリンクした)、女子の準決勝メルボルンダービーで男子チームのアクティブサポーターが集まった中にKelavaさんがいたり、シドニーでの男子のThe Big BlueではMajaちゃんがアウェーサポと一緒に観戦してたり、あとAmyは怪我で試合出れないと女子チーム専属のアクティブサポーターグループと一緒に試合観るのが常だったり。Aリーグの中ではビッグクラブとはいいますが選手とサポーターが何かと近い。
でもそれはそれで楽しいしヴィクトリーの選手にも他の関係者にもサポーターにも活気が戻ったしるしだと思います。
何より選手なりその他の人なり「中の人達」がクラブの一番のファンでいてくれるのは嬉しいことですね。

それと似た話で今期からメルボルン・ヴィクトリーのManaging Director(社長、でいいのかな)に就任したCaroline Carnegieさんは1回目のOriginal Rivalryの時にアデレード遠征してヴィクトリーサポーターたちと一緒にスタジアムまでの道を練り歩いたとの話も聞いています。シドニーでの女子のグランドファイナルにも行ったそうなので言わば男子・女子両方の最大アウェー戦に参戦していることに。その他にもCarnegie社長はTwitterでサポーターの声を聞いたりもしていましたし、これからも「上の方の人達」と選手とサポーターが近いクラブだといいな。

選手2人に注目すると

1人に絞りたかったんですが絞れなかった。
まずはBrimmer君。
試合を中盤から支配できる実力とセットプレーの強さと数字だけに限らない働きは苦難の前シーズンでも疑いの余地はないと思っていたのですが、今期は本当にクラブ・チームの環境が彼にとって全てのピースが揃ったようなところがあり、最強の「10番」に名を挙げるくらいの選手になりました。
それ自体は驚くことではないのですが、最終的にMark Viduka Medal(FFAカップ決勝でのMVP)、Johnny Warren Medal(Aリーグ男子でのMVP)、Victory Medal、そしてヴィクトリーの選手投票によるベストプレイヤーと4つも個人賞を受賞したのは予想外でした。評価が高くなってきてるだけじゃなくて広くなってきてる。
まだ24歳ですしさらに成長してどんな選手になるか楽しみ。代表にもいずれ、とは願っていますがMFは超激戦区なんでどうなるかな。とりあえずは来期も壁完全無視のフリーキックゴールをもっと見せてくれ。

そしてもう一人はSpiranovic。
そもそも彼がプレーするのを目の前で見るようなことはないと思い込んでいましたし、今期の前は2年間サッカー全くやってなかった33歳であることを試合を見る度に思い出してしみじみびっくり。Aリーグの歴史が始まる前のプレシーズンの試合でBroxyと同じ試合でデビューしてから十何年も経ってヴィクトリーに戻ってきてBroxyとセンターバック同士並んでピッチに立つ姿を見るのは不思議だったり貴重だったり嬉しかったりしました。
怪我などちょこちょこあって稼働率はまあまあ程度でしたが、帰ってくる度にダービーやらACLプレーオフやらセミファイナルやらインテンシティの高い環境に放り込まれてよくあれだけできるなと。そして本人が望むならきっとまだまだやれるはず。

ちなみに私が今期観戦したヴィクトリーの試合は:
男子:ホーム12試合 (+アウェー0試合)(+カップ戦2試合)(+ファイナル2試合)
女子:ホーム6試合(+アウェー2試合)(+ファイナル1試合)
アフガン女子: 現時点で2試合
=全部合わせると27試合。一般入場シーズンチケットという形のメンバーシップ1年目、無理せずこれだけ行けたので来季も同じ感じで続けたいと思います。来季は胸を張ってメルボルン開催のアウェーダービーも行かなきゃ。できれば男子の試合の州外アウェーも体験してみたい。

オフシーズンは若干の選手の入れ替わりがありながらとりあえず7月15日にMCGでマンチェスター・ユナイテッドを迎え撃つ予定があるのでそれをまず楽しみにしています。そしてFFAカップあらためオーストラリアカップも7月に参戦かな。
それでもしばらく試合は静かになる中Aリーグについてもヴィクトリーに関してもいくつか書きたいことがあったりするのでオフシーズンを利用してだらだら考えてできたらまとめたいと思います。