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ラリアのサッカーと天気の話

オーストラリアに遊びに来るならぜひ夏に、とことあるごとに主張するのはオーストラリアという国の魅力がわかりやすく体感できる季節だからと思っているからですが、良いこと楽しいことたくさんあるのと同時に大変なこともたくさんあるのが夏という季節。
そんな夏の間を駆け抜けるAリーグ(そして夏の終わりに直撃されながらシーズンが始まる各州のセミプロリーグ)もたくさんの天気を経験し、ちょくちょくその影響を受けてきました。様々な季節と気候帯にまたがる中でサッカーの試合をしてどう天気と付き合っていけばいいか、は永遠の課題ですがそれも含めて楽しめるところは心配しすぎずに楽しめるといいな、と思ってちょっとしたまとめにしてみました。サッカーをはじめ観戦・観光の参考に、という意図はなかったですけどもしかしたらそれもありかも?

日差し

気温に関係なく天気が良い日の昼はとにかく日差しが強いオーストラリア。特にメルボルンのような比較的乾燥した地域だと「暑い」の大部分が「日差しの熱さ」だったりして下手に半袖・袖なしより薄いパーカーなりシャツなりを上に着た方が暑さがしのげたりします。
なのでもちろん昼の試合観戦では帽子・サングラス・日焼け止めは必須。ピッチ上でもゴールキーパーがキャップを着用する場面も見られます(日陰とのコントラストで使い心地は微妙なケースもあるそうですが)。あと日向と日陰のコントラストといえばテレビカメラもかなり苦戦しています。
そして昔と比べて減ったとはいえ特に夏場外でプレーする選手たちの皮膚がんのリスクはもちろん高いので選手会が現役・引退後の選手に行うチェックにはそういったものも含まれているんだとか。
メルボルンの場合夏は21時くらいまで明るさが残りますが17:30くらいからは紫外線のリスクがだいぶ下がるそうです。夕方に観戦なり海なり行く際覚えておくとちょっと楽になる話。

暑さ

メルボルンやシドニーの場合暑い日でもだいたい夕方には気温が下がるのでキックオフ時間を遅く設定したりずらしたりすることでだいぶマシになることも多いです。(それでも17時だとまだキツいなあということも)
ただより湿気の強い地域(大陸の北側)だったり、あと熱波がどうやら来やすいパースだとそれでも効かない部分もあります。こないだすっかり暗くなっている現地時間20時台の試合でもまだ40度近く、なんてこともありました(2024年2月、女子パースvsセントラルコースト)。規定通り給水休憩は各ハーフ2回あってある程度暑いんだろうなとは思いましたが実況で説明を聞くまでそこまでとは思いませんでした。無事試合を終えれてよかった。
そこまでの暑さでなくても暑さがある中での試合はやっぱり選手達にとってしんどいもの。シーズン序盤にブリスベン遠征があるチームは大変ですし、ダーウィンでカップ戦のプレーオフをやったこともありますし、そもそもニュージーランドからオーストラリアに遠征する時もきっと大変。あとAリーグに来た新しい選手(特に欧州から)が適応に苦労する大きな要素でもあります。

基本的に夏はメルボルンやシドニー、アデレード(あとNZのウェリントン)では比較的乾燥した季節で雨が降るのは少ないです。ただ夏に雨が降るとどっと降ったり急に大量に降ったり雷を伴ったりもあるのであなどれません。シドニーの大雨はUnite Roundでも経験しましたね。メルボルンの場合(天気なんでもそうですが)大雨も待ってれば通り過ぎてくれることが大半なので雨だけならそんなに心配することないです。ちなみにオージーあんまり傘とかささないです。
ただ夏を外れて春や秋の季節の変わり目とかに降る大雨は住宅地や郊外にあるグラウンドを使用不可能にしたり、都市部のスタジアムでもコンサートやラグビーなどのイベントでコンディションが悪くなったピッチに追い打ちをかけたりといった問題の原因になりがちです。
ただAリーグ(男子)で使うようなスタジアムは多少水たまりが出来てるなあという状況でも「意外と」水はけがよくて持ったりする印象があります。シドニーのAllianz Stadiumなんかは「よく頑張ってるなー」と思いますね(ピッチの水はけの話です)。

上記通り雨だけならまだその場ではそんなに問題ないのですが雷があると試合の中断に関わってくるので試合に関しては緊急度がかなり高いです。近隣で落雷があったの報を受けたあとは試合を中断し30分単位でさらなる落雷がないか確認して再開を決めるシステム。多くの場合雷も通り過ぎるものではあるので安全な場所で待機してればいいのですがAリーグでも試合が再開できなくて後日やり直しになったケース(2024年2月、キャンベラvsシドニー)やものすごく長い中断時間になったケース(2023年2月、マッカーサーvsニューカッスル:2回中断で合計2時間30分くらい中断してたはず)などもあります。他にもSocceroosとベトナムの試合中に稲光が見えたり(私は現地観戦、配信見ると観客が試合の流れと関係ないタイミングでリアクションしてる)、あと何事もなく試合が終わってからスタジアムのかなり近くに雷が落ちたりも(某監督やってる豪レジェンドがびっくりして漏らしそうになったとか言わないでくださいよ)。それからこないだ幸運にも試合がない日だったとはいえ雷雨が原因でメルボルン広域に停電が起こったのですが、そういう時にスタジアムにいたらどうなるんだろう。試合は中断だろうけど家にもなかなか帰りにくいだろうし。

あられ

あられ・雹は意外と冬より季節の変わり目や夏の嵐に伴って降ることが多い印象があります。試合が起こっている間にあられが降ったケースは記憶にはないのですが前述のやり直しになったキャンベラの試合では中断している間にごく小さいあられがしばらく降ったそうです。スタジアムだとなんらかの屋根があるからまだ安心ですが屋根の少ないグラウンドでやる試合だったらそれなりのサイズのあられ・雹が降ったら一目散に屋根の下に逃げないといけませんね。ただまあこれも「待ってりゃ過ぎる」気象現象ですし、夏でも冬でもあられサイズだったらすぐ溶けるのであられ自体で長い中断とか大きな損害になることは少ないはず。

風といえば有名なのはウェリントン(ニュージーランドですが)。冬の冷たい風はもちろん、夏でも割と風が吹く場所なためウェリントンのSky Stadiumはケーキの型のような形状になっています(なので愛称はCake Tin)。結構高く作ってあるのですがそれでもスタジアムの中で結構風が吹いている様子も見られるのでやっぱりウェリントンの風半端ない。
それからまだ現地で体感したことがないですがセントラルコーストのスタジアムは海に向けて「コ」の字になっているため海風がよく吹く時間帯があるらしく、試合の前半と後半で風が変わったりもするそうです。
あと女子のリーグは住宅地などのグラウンドでの試合も多々あるため風の影響を受けやすくもあります。実際見ててセットプレーやロングカウンターがかなりひやひやすることも。風に限らず特に都市の中心部から離れると天候の影響は強くなる傾向がありますね。ヴィクトリー女子はウェスタン・ユナイテッド女子が参入して以来2年連続でシーズン序盤の春辺りの季節の変わり目にウェスタン・ユナイテッドのグラウンドで試合があって2回とも強風が吹く日に当たっています(そしてコーナーキックから失点)。決して公式に固定ではないけど序盤に「本物の」ダービーを避ける都合上これからもずっとそうなのかもしれなくて悩ましい。他のチームももっとこの苦労を味わってくれ。

寒さ

秋の訪れは地方によって変わりますが4月5月のファイナルトーナメントの頃になるとすっかり秋ですし、最近では春が来るのも(少なくともメルボルンでは)遅くなっているのでAリーグのクラブがオーストラリアカップを戦う時期は余裕で寒いです。そしてそもそもプロ以外のリーグは秋春制なのでそちらでは寒さはつきもの。
本土南端のメルボルンでもライトダウンでだいぶしのげる気候ではありますが、風が吹けば寒いですし夜の観戦は冷え込みますし、あとグラウンド観戦は地面の冷たさが伝わって寒さを増すことも。カップ戦やファイナルトーナメントもあって普段より試合が長引きやすい条件下なので暖はしっかりとりたいです。
上着・帽子・カイロ・しっかり底のある靴はもちろん、顔の寒さと吸い込む空気の冷たさ対策にマスクもおすすめ。ただしカイロは持つタイプだったら試合展開によっては手汗に注意。そしてなにより現地で暖かい食べ物や飲み物をいただくのが寒さに効く。暖かいお茶を持ち込める場合は帰りの電車まで効くので可能な場合は持ち歩いてます。

夕焼け

オーストラリアは場所と季節によって日の長さ、そして日没の時間が大きく変わりますがサッカーの試合は一年を通してどこかで良い夕焼けスポットになる印象があります。大きいスタジアム観戦もいいですが周りに遮るものが少ないグラウンドが穴場。それから配信なんかでちょっと引きの画を見せてくれたりすると絵になるスタジアム・グラウンドもあります。個人的に一番印象に残っているのがオーストラリアカップのプレーオフをダーウィンでやったとき(7月の19:30キックオフ)にグランドスタンドの後ろに広がってた夕焼けは見事でした。ああいう景色もオーストラリアのサッカーでもっと見てみたい。出来れば現地で。

様々な天気の組み合わせ

何でもそうですが雷みたいな試合に大きな影響を与える事象でも単独なら普通に対処にできるようになっていて、ただ複数の事象が重なると途端にややこしくなるケースがたくさん。前述の雷で2回中断があって試合時間が延びに延びたマッカーサーとニューカッスル・ジェッツの試合も元々暑さで1時間キックオフを遅らせていて試合序盤から強風も吹いていて、という環境下でした。元々メルボルンなんかは天気がクレイジーなことで有名ですが、オーストラリア全土で季節の変わり目・天気の変わり目がより激しくなっていて、つまり複数の気象現象の組み合わせがよりパワフルでカオスになるような印象があります。そういう「組み合わせ」が特に起こりやすいのが春だったり夏の終わりだったりするのでサッカー関係なくオーストラリアを訪れる際はこまめに天気をチェック(雨雲レーダーは大事)、天気の変化にも対応できる服装と装備でお出かけを。あるいは多少装備を省略してどしゃ降られても大丈夫かなと割りきるメンタリティでお出かけを。

試合を配信で見る際に天候に関しては画面に映らない部分も多々あるので各種実況や解説で使われる天候に関する言い回し、なんかもちょっと言及したかったのですがだいぶ長く書いてしまったので今回は割愛。過去の試合ハイライトを引き合いに出してこの試合の天気を表すのにはこんな言葉を(私がor実況が)使うよ、みたいな形式も面白いかな。英語の天候を表す言葉って色々面白くて割とサッカーの場で聞く・触れることが多いのでいつか扱ってみたいです。とりあえず今は大きな災害などなくシーズンを続けられるように、引き続き天候には気をつけて観戦を。