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それぞれのJust transitionに向けて、今動き出す:NPO法人ER.が生まれた理由③

みなさん、こんにちは!
NPO法人ER.の鈴木です。

ただいまNPO法人の立ち上げの背景を連載中!前回はJust transitionに関心を持つようになった原体験を赤裸々にご紹介させていただきました。

今回は最終回として、設立に至る詳細な背景と団体名に込めた想いをご紹介させていただきます!


技術は楽しい!けど道を歩くあの人は知っているのだろうか?

原発立地地域での原さん(仮名)との出逢いを原体験に携え、まずは技術を知らないと話にならないと思い、技術開発系の独立行政法人に入社。太陽光発電や洋上風力、海洋エネルギー発電など再生可能エネルギーをメイン技術開発をする部署に配属となりました。
それまで技術にどっぷりつかったことはなかった私でしたが、まだ見ぬマーケット開拓や社会課題解決に向けて日進月歩で開発されていく最新の技術開発の現場やしのぎを削る研究者の人たちと仕事を共にすることで、「なんて技術っておもしろいんだろう!」と技術開発の面白さに目覚めます。

しかしながら、夜の帰り道でふと「この道を歩いているあの人もこの人も、技術開発が進められて社会に実装されていくかもしれないということを知っているのだろうか・・?」と思うようになりました。

税金を財源に高度な技術開発が進められていますが、原子力発電然り、複雑な技術を扱う場合は特に私たち一般市民の理解が及びづらく、専門家など一部の知識人に判断をお任せしてしまう構造が生まれやすい場合もあります。
技術も脱炭素も、あくまで自分たちの暮らしをより豊かで地球環境にとっても持続可能にしていくための手法であり、選択肢。そうした選択肢を増やしていくためにも、様々な投資やチャレンジが必要であるとは思います。ですが、そこに生きる地域の人たちが望む形で技術が使われ、きちんとお金や雇用が落ち、それらが結果的にカーボンニュートラルであったりカーボンネガティブになっていく形でないと結局原さんのような人が生まれ続けてしまうのではないか?と思うようになりました。色んな正義があり色んなジレンマもありますが、結局現場でありいつも影響を受けるのは”地域”。そこから「もっと地域の実情を知らないと・・!」と思うようになり、地域の起業家支援や中間支援団体の育成を行うNPO法人ETIC.への転職を決めました。

原体験から10年後。出逢ったJust transitionの概念


NPO法人ETIC.は、今でいうソーシャルビジネスという言葉がなかった時代から30年以上、社会起業家支援を手掛けてきた団体。地域で新しい事柄やイノベーションを生みやすくするための土台づくりや仕掛け、エコシステム形成を手掛けてきた団体で、全国2,000を超える地域組織と連携してきました。

そんなETIC.入社から3年経った2022年、原さんとの出逢いから丁度10年経ったタイミングで出逢ったのがJust transition(公正な移行)という概念でした。
Just transitionとは、「公正な移行」と訳され、2009年のCOP15にて国際労働組合総連合から提唱された概念と言われています。詳細は別記事で要約していますので、気になる方は是非ご覧いただけると幸いです。

Just transitionが生まれた文脈には沿わないかもしれませんが、この概念に出逢ったとき思わず「10年間求めていた、原さんとの原体験を表す概念はきっとこれだったのでは?」と稲妻が走りました。火力発電も原子力発電の多くが建て替えや廃止などの過渡期に来ており、下請けの地域の中小企業などは様々な影響を受けています。それ以外にも、震災以降に制定された固定価格買取制度により急速に再エネが普及する反面、地域にお金も雇用も落ちない形での開発も散見されます。ほとんどの人が使っている電気やガスのエネルギーですが、供給元となる地域に何が起きているのか?は事故や災害がないとなかなか目を向けられにくく、誰のどんな人たちが生産に関わってくれたのか、まったく知らなくても生きていけてしまいます。ですが、本当にそれでよいのでしょうか?私たちの豊かな生活の裏側で、産業転換を余儀なくされている地域。様々な影響を受ける地域の声なき声がきちんと社会のなかで可視化されていくような仕組みを作りたい、そのうえで、できるだけ誰にとっても公正な形で経済的にも自然環境的にも持続可能な地域社会や社会システムをつくっていきたい。
そんな想いから、NPO法人ER.を立ち上げ、日本らしいJust transitionをみんなで学んでいくようなプラットフォームをつくれないかと考えています。

『ER.』に込めた想いと由来

最後に団体名となるER.の由来ですが、英語で“~する人”を表す際、語尾に-erをつけることからきています(-istや-orの場合もありますが・・)。
1人1人置かれる状況が違うなかで、例えば活動を応援するsupport-erであったり、寄付で支援するdonat-erであったり・・。それぞれのJust transitionに向けて、その人らしい関わりやアクションが起こせるようにと願いを込めて、“ER.”と名付けています。

さて、以上ここまでが団体立ち上げのご紹介でした!

長きわたって読んでくださり、本当にありがとうございました。
まだまだ始まったばかりの私たちの活動ですが、応援いただけるととても嬉しいですし、様々な方と対話や繋がりなどを通じて”公正さとは何か?”についても学んでいけたらと思います。


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