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旅の最後に
平日の午後、旅先からの帰り道。
母と二人で電車に乗っていた。キャリーケースを片手に。
座席はもちろん空いておらず、二人で揺られていた。母だけは座れると良いなあ、そう思っていると、目の前の席が一つ空いた。
母が座れる、ありがとうと安堵していると、その隣の席にいた若いサラリーマンのかたが、『お二人でどうぞ』とお譲りくださった。
わたしとおおよそ同じくらいの年齢、ましてやわたしは旅からの帰り道。仕事の疲れとはわけがちがう、そう思って、何度も何度もお断りさせて頂いたが、
『わたし、もうすぐ降りるので。。。』と立ち上がり、笑ってくださった。
そしてすぐに、
『あ、、、すぐではなかったけど、ぜひどうぞ』と笑ってくださった。
母もわたしも、その優しさに本当に救われた。
旅の帰り道、疲れていたからとってもとっても救われた。
精神的にも身体的にも、彼の優しさに心から救われた。
彼は、わたしたちの降車駅でも降りなかった。
降りる際、感謝の旨伝えたら、心からの笑顔を届けてくれた。
こんなにも優しいかたがいるなんて。
楽しい旅の最後に忘れられない優しい思い出を作ってくださった。
わたしはこの旅を思い出すたびに、旅の最後の優しい思い出を思い出すだろう。
この世界は、きっと優しい人がたくさんいる。
だから大丈夫だ。どんな時代になっても優しい人はたくさんいるから。
優しいかたに、感謝の気持ちが届きますように。
本当にありがとうございました。
わたしも、優しい人でありたい。
優しい世界へ、ありがとう。
優しいあなたへ、本当に本当にありがとう。
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