あさイチnote用

NHK『あさイチ』で放送された内容を訂正します

本日(11/27)放送されましたNHK『あさイチ』でアクロストンの活動が紹介されましたが、少し事実と違う編集があったため訂正いたします。

1. 私達がこの活動をしているきっかけについて

番組では、私達が活動をはじめたきっかけが「避難所での生理用品の配られた方が適切ではなかったから」と言っていましたが、そうではありません。
様々な情報が溢れる今、子ども達が間違った性の情報に出会う前に、そして歪んだ知識を身に付ける前に、正しい性の知識を楽しく学んでほしいという想いが、この活動を始めた理由です。こちらに詳しく記載しています(過去note『自己紹介』

2. 避難所での紙ナプキンの配布数について

番組では「平均25個とのことです」と言っていましたが、私達はひとこともそんなこと言っていません。番組ではつるの剛士さんとのワークの放送はとても短いものでしたが、実はロケは30分以上収録しました。まず生理のからだのしくみを私達の作品を使って丁寧に説明し、その後経血量などの個人差も実際に毛糸で作った経血で体験してもらい、からだやこころにおこる不調がどうしておこるのかというメカニズムも説明し、そののち生理用品を体験してもらって、最後の最後に避難所での問題を考えてもらうという流れでした。もちろん時間の関係やその他の理由で短時間しか放映できないのは理解しているのですが、この最後の部分だけをクイズのようにスタジオに投げて「平均25個です」というのは乱暴すぎます。

生理には個人差が多く、生理用品もそれぞれ違うということを理解してもらったうえで、それでも目安を考えてみましょうかという流れであり、その際に一例として計算したのが以下です。

・生理用品の取り換え目安として4時間(2~3時間で交換が望ましいですが、災害時なので4時間)
・起きている時間を16時間と仮定
・睡眠中に1個
・生理は3~7日なので間をとって5日と仮定
すなわち
(16÷4+1)×5=25 で25個

実際は「とりあえず25個と出ましたが、それまでのワークで学んだ知識を使うと、これが1例にすぎないことはわかりますよね?なので一方的に決めつけるのではなく、生理がある人もない人も正しい知識を持ったうえでコミュニケーションをとっていけたらいいですね!」という結論に落ち着いたのでした。

3.そもそも私達の立場とは

今回の『あさイチ』に出ることを決めたのは「生理のモヤモヤは沢山あるけれど、将来的には解決していくのかもしれない。そのひとつの活動として紹介したい」と言われたからです。
私達は生理についてのみならず、性の話全般において正しい知識を身に付ける機会がないことを問題視しています。正しい知識を身に付けたうえで、自分がどのようにふるまうか、どのようなスタンスをとるかは自分が決めること。(詳細はこの過去note『科学的・医学的に正しい性の知識を、楽しく子ども達に伝えたい』
このあたりの説明がなく、単に医師が生理用品の使い方講座をやっていますというふうなニュアンスであったような気がして残念です。(気のせいかもしれませんが)

番組を通して気になったこと

ここからは訂正ではないのですが、気になったことを。
番組全体として生理は辛いもの、コントロールできないものという前提で話が進んでいましたが、今は低用量ピル、IUS(ミレーナ)などを使うことで辛さをコントロールできるようになってきました。それらが合わない人、それでもコントロールできないことなどもあるのですが、最初から諦めずに色々と試してほしいと思います。
番組内で高尾先生もおっしゃっていましたが、生理そのものは病気ではないけれど生理が困難な場合は病気(器質的な疾患とはかぎりません)です。
こういう番組では産婦人科の受診をもっとお勧めして頂けたらいいですね。

また、生理がある人のことをひとくくりに「女性」としてしまうこと、「男性」には理解されてにくい話題と決めつけてしまっていることに違和感を持ちました。
いつもワークショップでお話しするのですが、性別は自分が決めるものです。私達自身もワークショップのなかで便宜上「男性」「女性」という言葉を使っていてとてももどかしいのですが、子宮や卵巣を持って生まれて生理がある人のことを「女性」と決めつけることのないようにしていきたいものです。

#生理 #あさイチ #性教育 #アクロストン

妻・夫。二人とも医師。子どもに必要な性の知識を楽しく・ポップで・まじめなコンテンツにしてお届けします。 https://acrosstone.jimdofree.com https://www.facebook.com/acrosstone インスタグラム:@acrosstone