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マイナンバー担当としての限界


 皆さんこんばんは。今日は一身上の都合により午後は仕事を切り上げていました。それで自宅に帰るのが早かったので、今日は少し長めの記事を書かせていただこうかと思います。



1.マイナンバーカード普及の目標

 「今年度中にほぼ全ての国民にマイナンバーカードを行き渡らせる」ことが総務省の目標であることは報道でもよく知られていることです。また、カード普及の前線にある市役所に対して、国や県から強めの協力要請がなされているということも報道でよく知られていることでしょう。

 私の所属する自治体も例外ではなく、ここ数日間、国や県から協力要請という名の圧力がかかってきており、一同ぐったりしています。その協力要請の度合いと言ったら割と強めで、公務員という立場にありながら、親会社の振り回される子会社の気分を味わうことができます。そうはいっても、職員個人個人にノルマが与えられているわけではないし、普及行為そのものが営利行動ではないですから、民間の営業さんに比べたらぬるま湯&温泉なんでしょうけどね。

 そんな感じで、ぐったりしている私です。



2.目標が抱える限界

 今年度中にほぼ全国民へ行き渡らせるという目標は、非常にハードルの高い目標です。

 マイナンバーカードの交付が始まったのは平成28年(2016年)1月ですから、現在交付7年目に差し掛かっているところです。そして、現在の普及率が約45%(総務省HP)ですから、今は約半分と言えるでしょう。これは、丸6年間かけてようやくカードが半分行き渡ったと言い換えられます。では、半分到達するのに6年もかかったのに、残り半分を1年でやるというのは、果たして実現可能な目標なのでしょうか?

 そもそも番号法では、個人番号カードは本人の申請に基づき交付するものとされており、本人の意志という側面が示されている以上、全国民に行き渡らせるという義務的な目標それ自体が矛盾しているような気がしています。



3.私はマイナ賛成派

 とはいえ、私自身はマイナンバーカードについて非常に肯定的です。

 住民課に配属されてからというもの、身元を証明できることがいかに重要か肌で学びましたので、写真付きかつ官公庁がその身分を保証するマイナンバーカードを持つことは意義のあることだと思います。また、マイナンバーカードに付帯する電子証明書(インターネット上での本人確認や実印にあたるもの)の機能も、オンラインでの本人確認を円滑かつ確実にするものですので、浸透すれば社会を別世界に変える力があると思っております。

 対面とオンラインの両方で活用できるマイナンバーカードの持つ潜在能力は計り知れないものだと私は思うので、自分でもカードを持っています。


4.とはいえ、今のままでは厳しい

 と、マイナンバーカードを推してきましたが、正直今のままでは厳しいです。私自身はマイナンバーカードがもつ潜在能力はすばらしいので、眠れる獅子だと思っていますが、獅子はまだ爆睡中です。

 時々、住民の方にマイナンバーカードを持つ意味を聞かれることがあり、上記のメリットを中心にご案内するのですが、大体は「免許証がある」で一蹴されてしまいます。その他のメリットをいくつか伝えても「それだけ?」と言われて終わりです。要は手を変え品を変え作戦が難しい状態なんです。品を変えようにも品がないという状態でしょうか。


5.メリット享受か?デメリット回避か?

 ところで、人間には思考の癖が2通りあると思いませんか。1つ目はメリットを得たいと考える癖、もう1つはデメリットを回避したいと考える癖です。私はかなりデメリット回避型の思考をする人間です。免許証は「ないと運転ができないもの」、パスポートは「ないと海外へ行けないもの」と解釈します。一方、メリット享受型の方なら免許証があると「運転ができる」、パスポートがあると「海外に行ける」と解釈をされるのでしょう。

 どっちがいいというわけではありません。しかし、自分の癖に近い情報を拾いやすいという特性があるのは間違いないでしょう。私だったら、マイナンバーカードを持たないことによるデメリットが大々的に報道されれば、その情報をもとにカードを作ろうと動く気がするので。

 しかし、昨今の普及促進策では、カードを持つことのメリットのみに注目されているような気がします。マイナポイント(マイナンバーカードを使ってキャッシュレスで使えるポイントをもらうキャンペーン)なんかがその最たる例ですよね。もし私がマイナンバーカードについて何も知らない状態だったら、「そんないいことばかり言われてもね」と、その情報を気にも止めない気がします。

 きっと私と同じような考え方をする人は他にもいいるでしょう。なので、持たないことのデメリットを押し出す広報が出来れば、一定の成果が上がると思うのですが、官公庁という特性上、そんなネガティブキャンペーンはできないでしょうね。


6.国と県の今後の施策に期待

 というわけで、当面の間はマイナンバーカードを持つことによるメリットを押し出して住民への普及を目指すことになると思います。

 となるとメリットが必要になるのですが、やはり一自治体だけでやるものより、国が作り上げたものの方が馬力があります(予算も全然違うので)。ということで、国や県の皆様には今より強力なメリットの創出してほしいという協力要請をしながら、今回の記事は収束していこうと思います。

 皆さんは、どんな機能のあるカードが欲しいですか?

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