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【 天才集団R&Dチーム特集企画#2 】「数学を社会に役立てたい」加藤さんをもっと深掘り!

秘密計算や合成データをはじめとしたプライバシーテックの基礎研究を推進するAcompanyの「コア」であり「ブレイン」こと、天才集団”R&Dチーム”。この記事では、R&Dチームメンバーのひとり、加藤さんに焦点を当てて、今まであまり紹介してこなかった専門性についてインタビュー形式で深掘りしています。

過去すでにアカントピックというオウンドメディアのSpotify Podcastでもゆるく深掘りしていますが、大学時代の専門性やAcompany入社後の業務の観点でもっと深掘りして、優秀なメンバーのことを世に押し出していきたい!!というR&Dチームマネージャーの牧野充朗さんのリクエストからこの企画が生まれました!

アカントピックでは、R&D特集回でチームの他メンバーについても配信しているので、ぜひそちらも聴いてみてください!
こちらは、#アカンクリスマスアドベントカレンダー2023 26日目の記事として投稿します!


Acompanyに入社したきっかけ

戸田:
加藤さんに以前アカントピックでお話を聞いた際、入社のきっかけは、たしか、BizDevの橋村さんと同じ会社で働かれていて、その紹介で入社したという感じでしたよね?

加藤:
そうですね。橋村さんとは前職で同じプロジェクトをやっていたのですが、ある時橋村さんが辞めるっていうのを聞きました。どこに行くのかをお聞きしたところ当時名前だけは知っていた”Acompany”だと教えてもらいました。AtCoderで求人を出していた頃に見かけたことがあり、秘密計算にも興味がありましたので。

それで橋村さんの紹介で、はじめは当時採用担当だったマッケイさんとカジュアル面談をしました。 プロダクト部門で進めるか、R&Dにするか決まっておらず、一度プロダクト部門の方で面談を進めたのですが、話していくうちにどうやらR&Dの方がマッチしそうだなとなり、転向しました。二回目、三回目の面談あたりから牧野さんも同席していましたね。

戸田:
牧野さんは面談で、加藤さんの得意分野とか今までやってきたこと、やりたいことなどを聞いたんですか?

牧野:
正確には一次面談の時に聞きました。そこからR&Dがマッチしそうだな、という感じがありました。東大の数学科で中退ではあるものの博士まで行ってて。全然内容はわからなかったんですけれども、論文とかも少し読ませてもらったりしました。あとは、いろいろ話を聞いてる限り「本気でフィールズ賞を取れるくらいのレベルを目指していた」と軽く言ってました。全体的に話を聞く限り、とても優秀そうだなっていう印象は持ちました。

Acompanyの印象

戸田:
逆に、加藤さんからみてAcompanyはどんな印象だったんですか?

加藤:
働きやすそうではあるな、という印象は受けました。前職も労働裁量性で労働環境は悪くはなかったですが、Acompanyもフルリモートでフレックスなので良いかなと思いました。
それとやっていることが秘密計算などで、他の会社ではおそらくできないであろうことも挙げられます。数学などの自分のバックグラウンドをより生かせるんじゃないかな、という気がしました。

牧野:
バックグラウンド的にも強そうだったので、加藤さんには「これは難しいだろうな」と思うような、結構重めの技術課題を出しました。技術課題としては、論文を解読するか、論文をプログラムとして実装するか、という課題を出すことが多いのですが、優秀そうだから行けるかなっていうくらいのノリで、かなり難しめのを出したんですよね。笑

結構前にも同じような課題を、別の数学科出身の方に出したことがあるんですが、全然できませんでしたね。同じような難易度の問題を加藤さんに出したんですけど、サクッと、しかもとてもわかりやすい感じでやってきて、「やばいバケモノが来たかもしれない!」とそのとき思いましたね。笑 
自分の中では、全部できなくてもある程度できれば、くらいのノリで出した問題だったので、「これはヤバイな」と思いましたね。

加藤:
自分はその技術課題しか知らなかったので、ここではみんなこんな感じの技術課題やってるのか、難しいな、と思いました。普通にできちゃった、という程ではないですけど、これでいいのかな?、というくらいの感覚で出しました。

普段の担当業務

戸田:
すごいエピソードですね。笑 牧野さんが熱烈に欲しがったのがよくわかります。
それを経て、加藤さんは何月に入社しましたか?また、普段業務ではどんなことをやっているんでしょうか?

加藤:
今年(2023年)の4月なので、まだ1年は経っていませんね。今年の新卒の方たちと同期です。
業務でやっていることとしては、技術調査などです。理論面の話を多めに、幅広くやっています。論文を調査して、理論を書き出してまとめるなど、最近はそういったことをメインでやらせてもらっています。いろんな分野を調査から始めるところからやったり、実装とかも結構いろんなところでやっています。調べた技術などをはじめ、いろんな技術を実装すると言ったところです。

牧野:
最初の頃は特許を網羅して取りたいというモチベーションがあり、それに協力してもらっていました。特許というのは抜け漏れがあるとそのパターンを把握されて回避されてしまうので。弊社で一番使うようなアルゴリズムで特許を取りたいっていうときに、数学的な観点を記述しながら考えてもらって、網羅してもらったみたいなときもありました。あの時も、自分では絶対無理だなと。加藤さん頼りでやっていました。

戸田:
加藤さんはどういう働き方をされているんですか?業務内容とかではなく、私生活において。あと、得意なタスクとか、任せられてこういうのやってるとき楽しいな!みたいな業務はどんなものがありますか?

加藤:
朝6時ぐらいに寝て、昼ぐらいに起きて、コアタイム(Acompanyのコアタイム:13-16時)くらいに起きれればいいかな、くらいの感覚で勤務を始めます。ただ最近働ける時間が変わりまして(Acompanyでは朝5時から22時まで勤務可能となりました)朝5時からになったので、逆に5時ぐらいから入って3時間ぐらいやって、寝てまたコアタイムからやるか、みたいな感じの時もありますね。R&Dの他の人と同じく、基本一人で作業しています。

タスクに関しては数学的なものの方が得意です。機械学習寄りの話と、数学的な話の技術調査とかあるんですけど、どちらかというと数学的な方が、好きというか得意という感じです。

牧野:
機械学習とかのタスクを振ることもあったんですが、加藤さんは苦しんでいましたからね。 言い方が悪いかもしれないんですが、数学的に厳密でない面も多いんです。それこそ評価の仕方などにおいて、厳密に数学でちゃんとやっているわけではないので。プライバシーの保証だったり。そこがやっぱり数学が得意な加藤さん的にはなかなか我慢ならないようです。

加藤:
そうですね。数学的に厳密でない方法で「これは安全でしょう」とか、言ってたりするのが気持ち悪いなっていう。感覚はわかるけど、数学的には厳密ではないよなっていうようなのが結構あります。バシッと答えを出したいので。

戸田:
カッコいいですね〜数学者っぽいです!!

R&Dチームと今後のキャリア

戸田:
話は変わりますが、R&Dチームのメンバーや、チーム自体は加藤さんから見てどんな感じですか?また、自分のキャリア的に今後こういうことをやっていきたいとか、Acompanyの仕事でもこういうことをやってみたいというのはありますか?

加藤:
僕は他のメンバーと交流して一緒に仕事するってことがそんなにないですけど、みんな優秀だなっていう感じで。全然みんな自分より優秀だな、と思います。

牧野:
R&Dチームのメンバーは本当に僕より優秀な方ばかりです。数学系のことであれば加藤さんに勝てる人はなかなかいないと思います。僕は心の中で加藤さんのことを「カトエモン」と呼んでるので。笑
困ったら何とかしてくれるっていう頼もしい存在です。ただ、みんなそれぞれの分野で優秀なのは確かです。

加藤:
キャリアに関しては今のところ特にないですね。今の仕事内容で楽しくやれているので、当面続けていけたらいいかなという感じです。

戸田:
なるほど。今の仕事内容で楽しくやっていただけていてよかった!!嬉しいですね。

大学での研究

戸田:
ところで、数学が専門なのはよくわかっているのですが、具体的に大学や大学院ではどのようなことをしていたのですか?それはどのように役立っていますか?

加藤:
大学のときは数学科に在籍していました。研究は4次元の空間の形、4次元の空間の対称性を調べるみたいな研究ですね。高校生までは多分3次元までしかやらないと思いますけど、大学に入ってからは4次元以上も扱うようになるんですよね。

中でも特に4次元が、その他の次元と比べて特異的な振る舞いを示すなど、いろんな意味において特別となっています。そのため、数学的に研究のしがいがあるものとなっています。

結果の一部を言うと4次元空間で、ある対称性であって、位相的には対称だけど、微分構造まで考えると対称でないような例を構成したというものですね。そういうような例は他にも知られていたんですけれども、新しい例を発見した、という感じです。

すごさ具合としてはそんな大したことないです。論文が気がついたら出版されていました。ある雑誌に投稿してて、元の論文には図が入っていたんですけれども、その図がないみたいなことを言われていました。そのときには図のデータを失くしてしまっていたので、あとで作って送るかって思ってたんですけど、いつの間にか出版されてて、図もちゃんと入っていて、なんとかしてくれたんだな、と思いました。

そのあとは境界のついた4次元空間についての研究をやろうとしていました。4次元空間の境界は3次元になります。境界を付けると大分扱いが難しくなるんですよね。それを扱うために難しい議論を構築しないといけなくてはならない。ただ一応どうすればいいかはわかっていて「フレア理論」というのがあります。それを空間のファミリーというか、一つの空間について考えるんじゃなくて、空間がたくさんあるような状況について「フレア理論」を拡張できないかなっていうようなことを考えてました。幾何学の分野ですね。

大学院で勉強した専門的な部分を直接的に活かすことはないですね。ただ、暗号の分野に近い代数も一応勉強してはいたので。専門とは関係のないところですけども、勉強したことが今活かせてはいると思うんで。暗号もやっているとそれなりに楽しいですね。

牧野:
僕はたまに加藤さんに数学を教わっています。

戸田:
へぇ!牧野さんが「カトエモン」と、頼りにするのもわかりますね。笑
ここで加藤さんの天才エピソードも掘り下げておきましょう!競プロを始めて半年で青色になった話を伺っても良いですか?

加藤:
そうですけど、もっと早い人もいるので。笑 まぁそうですね、ちょっと早いぐらいかもしれません。

競プロはそもそも就活目的で始めました。その時、一応タイムリミット的なのがあって。夏の8月頃ぐらいに競プロを始めて、翌年には就職できたらいいな、と思っていたので半年かけて頑張りました。今はもうやっていないですが。

牧野:
でも「やってみた」ぐらいの感じで、青色まで行くんだみたいな、という感じはありましたね。面接のときに聞いて、「おお!」って思いました。

戸田:
なるほど、いいですね!さすがです!

今後の人生展望

牧野:
最後に僕から質問なんですけれども、今後の人生的にどういうことに関わっていきたいか、どういうことをやりたいか、などはありますか?また、数学への想いを語っていただけると嬉しいです。

加藤:
そうですね、人生的には、僕は博士号を取っていないので、取りたいですね。数学かどうかはわからないですけど、取りたいな、と思っています。とは言え、数学に近い分野ではあると思います。

待遇がそんな悪くなければ、アカデミアに戻って仕事をしたいとも思います。ただ、行けるとしてポスドクを何年も続けるのはなかなかしんどそうだなっていうのもあります。

高校生ぐらいの頃に「数学者になりたいな」って思ったんです。それはなれなかったんですけど、勉強したことは使って仕事できてるよ、と高校生の頃の自分に伝えてあげたいですね。

数学への想いで言うと、「数学を社会に役立てたい」っていうポリシーがあって、もっと活用できたらもっとすごいことできるんじゃないかなっていうのは思っています。

数学は武器としてのパワーが強くて、普遍的で、いろんなところで出てくるので、いろんなものに使える。分野を選ばないという側面があります。機械学習とかもそうですけど、今は数学全体のほんの一部しか社会で使われていないので、もっともっと使われる場面が増えたらいいなっていうのは思っています。

戸田:
ポリシーや、数学への想いが、すごくCoolですね!!!数学への愛を感じました!しばらくはAcompanyを通じて、体現していってもらえるととても嬉しいです!加藤さん、牧野さん、ありがとうございました!


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