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#13【ゲスト回】運用総額340億円超!ディープテックVCの先駆者Beyond Next Ventures伊藤毅さん

Acompanyは3月12日(火)、3名の社外取締役就任を発表しました。
これを記念し、AcompanyのPodcast番組『アカン経営トピック』では、3回連続で、新たに社外取締役に就任した方々と高橋との対談を公開しました。

こちらの文字起こしは、第一弾として収録した、Beyond Next Ventures株式会社 代表取締役社長 伊藤毅さんの回です。


Beyond Next Ventures株式会社 代表取締役社長 伊藤毅

東京工業大学大学院 理工学研究科化学工学専攻卒業後、2003年4月にジャフコグループ株式会社に入社。Spiber株式会社やCYBERDYNE株式会社をはじめとする多数の大学発技術シーズの事業化支援・投資活動をリード。2014年8月、研究成果の商業化によりアカデミアに資金が循環する社会の実現のため、Beyond Next Ventures株式会社を創業、代表取締役社長に就任。創業初期からの資金提供に加え、成長を底上げするエコシステムの構築に従事。2024年2月、株式会社Acompany社外取締役に就任。

伊藤さんの自己紹介

高橋
今日は特別ゲストをお呼びするゲスト回ということで、今日はですね、ディープテックVCといえばの、Beyond Next Ventures代表の伊藤さんに来ていただいています。
伊藤さん、よろしくお願いします!

伊藤
よろしくお願い致します!

高橋
Beyond Next Venturesは、Acompanyが投資いただいているファンドでもありまして、2021年の僕らのプレAラウンドのときに、リード投資家として出資をいただいておりました。
今回、このポッドキャストが公開されているのと同時に、Acompanyからも正式に発表させていただきましたが、伊藤さんにはAcompanyの社外取締役にも就任いただくということになりました。
社外取締役就任を記念し、伊藤さんをお招きした特別回をやっていきたいと思っております。
まずは簡単に伊藤さんの紹介をお願いいたします。

伊藤
Beyond Next Ventures代表取締役社長の伊藤でございます。
私は理工系の修士を出まして、新卒でVCのジャフコに入社をしました。最初は東京の投資チームに配属になりまして、ソフトウェアや、インターネットサービスの会社などを中心に投資を手がけていました。2008年の2月だったかな、入社5年目のときに突如、ジャフコの産学連携グループのリーダーとして、いきなり人事異動で移ることになりました。

高橋
伊藤さんは、ご自身から産学連携・大学発やディープテックに進んだというよりは、ジャフコさんのチームへの人事異動から、このディープテックの投資家というキャリアを歩み始めたんですか。

伊藤
そうなんですよ。想定して歩み始めたわけではなかった、というのが当時の状況ですね。

高橋
そうなんですね。そこからスタートして、ずっとディープテックや大学発ベンチャーの支援をしているんですか?

伊藤
そうですね。ちょうど2008年から人事異動で、たまたまジャフコの中で大学発ベンチャーの投資を始めることになりました。そこから6年ちょっとそのチームで投資活動をやって、2014年の8月に独立という形になります。

高橋
なるほど。今でこそ、ディープテックや大学発ベンチャーとなると、Beyond Next Venturesさんの名前は上がってくるなと思いますし、名古屋大学と一緒にファンドの運営もBeyond Next Venturesさんがやっているっていうところで、ディープテックに強いイメージがかなりあります。
深掘りをさせて欲しいのですがジャフコ時代、どのような会社へ出資されたんですか。

伊藤
ジャフコ時代だと、例えば筑波大学発のCYBERDYNEさんや、慶應義塾大学発のSpiberさん、大阪大学発のマイクロ波化学などを担当していました。

高橋
ディープテックといえばという、めちゃくちゃ有名どころですね!

伊藤
そうですね。今振り返ると、ディープテックへフォーカスできたことは本当に運が良かったなと。ディープテック分野で投資をする人たちがいない時代に、結構がっつり投資をする機会を得られたので、皆さんが知ってるような投資先に投資ができたのかなと、思っていますね。

高橋
なるほど。当時は、何かチャンスだなと思っていましたか?

伊藤
正直なところ異動前は、そこそこ自信があったんですよ。シード案件とかやっていて、手応えもあって。いい投資できてる自信もあって。
それがいきなり産学連携グループに異動になり、正直、当時は飛ばされたと思ったんですよ(笑)。

高橋
なるほど。

伊藤
はい。なぜなら、1990年代後半からジャフコとしては産学連携投資をやっていたんですが、目立った成果は正直そこまで出てなかった。
で、はたで見てて、「いろんな技術領域に投資もしてるし、難しそうだな」と。「ちょっとすぐには(成果を)出すことはできないな」って思ったんですよ。
僕もそこそこインターネットとかそっちのサービスの方の会社も投資をしてて好きだったんで。
やっぱり、産学連携へ異動になった時は、飛ばされたんじゃないかなって最初実は思ったんですよ。嫌じゃないですか何か、飛ばされたって思うの。

高橋
はい。

伊藤
なので異動になった時、一応頭を切り替えて、ディープテックの領域はこれから伸びる領域だと自分に言い聞かせてたのが、当時の思い出ですね。

高橋
面白いですね。
ちなみにジャフコさんの中で、5年目でチームリーダーのような役割を持つことはタイミング的には普通なんですか。

伊藤
多分、結構早かった方だと思います。
当時、史上最年少年次で部長になったんじゃないかな。上場企業の部長なので、新聞にも名前が出たりしていました。

高橋
すごいですね。
やはり、さっき言ってた「手応え」を伊藤さんが感じて、評価された上でチームを任せていくという期待値もあったんですかね。

伊藤
そうですね。
会社の文化的にも、ジャフコさんって当時野村証券グループのVCということもあって、野村証券っていうのがそもそも若手を抜擢する文化があるようなんですよね。当時、マネジメントチームに野村出身の方もいらっしゃって、若手を抜擢する背景はあったのだと思います。
もう1つは、私が新卒で入ったとき同期11人いて、唯一の理系院卒だったんですよ。今では修士卒メンバーも多いですけれども、当時は結構珍しかったと思うんですよね。それもあり、産学連携のチームに移動することになったんじゃないかな。

高橋
理系バックグラウンドで、「領域の知見とか技術についてもわかりそうだ」、「伊藤さんならわかりそうだ」みたいな期待値はあってっていうことですかね。

伊藤
そうですね。当時は僕、きついなと思いましたけど。

なぜ理系大学院から、新卒VCへ?

高橋
ちなみに、理系大院卒の伊藤さんはなぜVCに進まれたのか、きっかけを教えていただいても良いですか?

伊藤
高校生のときに経営工学に関心があって、理系的な学問も好きだし、だけど経営的なものもなぜか当時からすごく関心があったんですよね。
大学・大学院では、経営工学じゃなくて化学工学、ケミカルエンジニアを専攻して修士まで行ったんですけども、やっぱり就職するってときに、研究者になるよりも、ビジネスの方の世界がいいなと思ったんですね。
ただ、将来どうしようかってモヤモヤしてたんですよね。M1が終わった頃に1年間休学して、研究室の先生には「お前は何を言ってるんだ」とか言われながらも、10ヶ月ほどちょっとした留学みたいなことをしました。そのときに、将来起業しようって自分で決めたんですよね。
ただ当時、高橋さんみたいに、何かアイディアがあって学生起業しようみたいな時代でもなかったし、周りの環境も度胸もなかったし、ネタもなかったんで、まず仕事を通じて起業の機会がつかめそうな会社・職業を選ぼうと。そこで、VCだと色んなベンチャービジネス知れるのでいいんじゃないかと。

高橋
僕もアイデアがあったか怪しいですけどね(笑)。
2003年入社だと思うんですけど、当時だとベンチャーは今みたいな、洗練された状態ではない思うんですけど。その中でVCとか、どこで知ったのでしょうか?

伊藤
そうですよね。海外から戻ってきて、大学院の授業で参加していた専攻講座の中に、ベンチャービジネス特論みたいなものがあったんです。この講座では毎回、民間の方が講義に来られていました。そこに実はVCの方がいらっしゃったんですよ。

高橋
すごい!そうなんですね。

伊藤
VCって仕事があるんだと、面白そうだなと。いろんな将来伸びそうな会社に投資をして、その成長をサポートする。いろんなビジネスを知れるし、「これだ!」と思いました。
それが最初にVCを知ったきっかけですね。

高橋
なるほど。大学の授業なんですね。
今でこそ、VCはひとつのキャリアとして認識されるようになってますし、新卒入社もすごく増えてますよね。
そういえば、Beyond Next Venturesさんも博士の方が入られたりとか、伊藤さんの大学のときの体験が、大きく影響を与えているんですね。

伊藤
思いっきり影響でてますね。

ジャフコから独立し、創業するまで

高橋
当時のジャフコさんって、どのくらい同期の方がいらっしゃったんですか。

伊藤
11人いました。

高橋
意外といるなって感じますね。

伊藤
そうです。私達の年は比較的多かった年ですね。でも前後でいうと、多分1人とか2人とかぐらいでした。

高橋
そこからジャフコさんの中で大体10年ぐらい働いていらっしゃたったと。
今回の収録のために、伊藤さんのいろんなインタビューを読み漁ってきたんですけど、入社当時から「自分は将来独立したい」と事前に伝えてたっていう話や、産学連携のフィールドで強みが形成されていて、でもマインドとしてはもうゼロから起業家のようにスタートしていこうっていう話が書かれていました。
ここからBeyond Next Ventures創業時の伊藤さんのマインドみたいなのもちょっと聞きたいなと思うんですけど、どんな感じで起業されたのでしょうか。 元々、「Beyond Next Ventures」という名前じゃなかったですよね。

伊藤
元々「デロリアンベンチャーズ」っていう社名でスタートしてます。

高橋
オフィスに飾ってありますよね。

伊藤
そうです。自分で起業するために、ジャフコさんに入らさせてもらいました。ただVCの仕事向いてないなって最初の数年間は思ってました。
そこから少しずつ手応えを掴んで、産学連携グループに行ってから、また大変だなっていう感じはあったんですが。

高橋
ちなみに伊藤さんジャフコさんに新卒で入って、最初の投資はどのくらい経ってからするんですか。

伊藤
そうですね。あんまり投資ができなかったんで、当時の上司の方が見つけてきた会社に、入社1年半後ぐらいに投資を”させてもらった”という感じですね。

高橋
ちなみに伊藤さんが自分からソーシングして、案件を上げて、自分で通してしてみたいなのを初めてやったのは、入社してからどのくらいのタイミングですか。

伊藤
その感覚が持てたのは入社3年目ぐらいですかね。
そのときに初めて、入社時によく言われた「良い経営者に投資をすると、いい社長を選ぶんだ」と言われた意味がわかりました。
入社3年目ぐらいのときに、「ようやくこの人はいいかも」って思って、投資を推進して投資できました。

高橋
伊藤さんほどのVCでも、やっぱり実際に肌感をつかむまでに3年かかったというのは、これからVCになりたい人にはぜひちょっと覚えておいていただきたいことですよね。

伊藤
うちの会社で新卒取って、僕みたいに3年かかってなくそういう感覚を持っててメンバーもいるんで、僕はやっぱ遅い方だと思いますね(笑)。

高橋
もうこれは、感覚を掴むには長さじゃないってことですね。早ければいいわけでもなく、遅いから駄目ってことでもなく。

伊藤
そうですね。ただそこの感覚持てるまで結構難しいのは、確かにあると思いますね。

高橋
僕はその感覚は投資側ではないのでちょっとわかんない部分もあるので、何かすごくいい話聞けたなって思いました。

伊藤
で、産学連携グループでそれほどディープテックも注目されてもない中で、飛ばされたと思われたくなくて、一生懸命成果を出そうと思うわけですよね。
それでいろんな先生に会ったり、いろんな大学発ベンチャーに会って、投資もして。気づいたら何か少しずつ成果が出てきたり、自分なりにこうすればうまくいく、ディープテックの投資ってのはこういうものだっていうのを確立されていったんですよね。

高橋
その伊藤さんの投資論、ぜひ聞きたいですね。

伊藤
そうですね。過去の投資を振り返って前任者とかのポートフォリオ見たときに、やっぱり「ディープテックとはいえ、社長が大事だな」と思いました。バリバリの研究者でビジネスのご関心があまりない方が会社をリードするケースは上手くいかないんだなっていうのを学びました。なので、経営者をしっかり見て投資をすべしということ。
あとは継続的な支援ですね。これが大事なんだなっていうのは思いました。研究開発フェーズが長いっていうところと、シードから投資するときはすごく時間がかかるので、やっぱり辛抱強くその会社を支援していく必要があるっていうのを思いましたね。
で、そういったものが徐々に確立してきて、やっぱり起業したいなと。たまたまの人事異動だったんですけど、でも辞める前ぐらいには、産学連携投資とか大学ベンチャーめちゃくちゃ面白いなと、なんかこれは自分の天職なんじゃないかなって思えるようになったんですね。
独立を決心した大きなきっかけは、筑波大学発のCYBERDYNEが2014年3月にマザーズにIPOをしたことですね。
投資って最初にお金を使うじゃないですか。時間かけて何年かかけてリターンを得ていくっていう仕事なので、「ちゃんと自分が投資したお金ぐらいは回収して会社にちゃんと貢献してからやめよう」って思っていました。2014年のIPOでもう十分すぎるほどのリターンをしっかりと出したと、辞めると言っても怒られないと思えたので、退職しました。

高橋
しっかり結果を出して独立に至ったっていうことですね。

伊藤
そうです。人気絶頂期のバンドのように、そこで解散するみたいな辞め方しようと思ってたんですよ。

高橋
先に辞めることを決めてたんですか?

伊藤
全く思ってませんでした。ジャフコにもすごくお世話になってたので。
辞める準備は特にせず、スタートアップの起業家と同じように、まず一旦給料ゼロにしよう、全くゼロの状態からスタートしたいと思って、準備なく辞めたって感じですね。

高橋
辞めてすぐに産学連携のフィールドの中でファンドを作ると決めてたんですか?それとも、フラットに他の選択肢も当時は考えてたのですか?

伊藤
最初はファンド作るとこまでは考えてなかったですね。
まず一旦フリーの状態になろうと、そこからいろいろ考えようと思っていたんです。
しかし辞めて1ヶ月後ぐらいに、僕たちの1号ファンドの最初の投資家、有名な経営者・エンジェルの方に会って。その方に「自分はこういう仕事をやってきたと、産学連携とこの領域ってまだまだポテンシャルあるんで、できればファンドのような仕事もできると嬉しいです」みたいな話をしたときに、「伊藤さんを応援するよ」と言ってくださったんです。その方の言葉が僕の頭の中では「ファンドに出資するよ」って聞こえて(笑)よしじゃあやろうって思ったんです。
今でも忘れない、2014年8月27日。勝手に僕の中でも記念日になってます。

高橋
そこで背中を押してもらったわけですね。

伊藤
そうです。

Beyond Next Venturesについて

高橋
そして今だともう、めちゃくちゃ大きいファンドになってきている。ちょうど今年で10年ですかね。

伊藤
そうですね。クロージング済みの3号ファンドを入れると、運用総額350億ぐらいですかね。2024年8月で丸10年です。

高橋
いや〜、すごいですね。
今のBeyond Next Venturesファンドは何かどんな特徴だったりとか、伊藤さんの強みから始まり、どんな感じなのでしょうか。

伊藤
創業して1号ファンド立ち上げてからずっと一貫して、大学発ベンチャー、ディープテックスタートアップに対してシード投資をやるファンドとしてやってます。その中でも特に領域の専門性の高いメンバーを擁して、それぞれ専門チームで専門領域を手がけていくという形でやってます。
なので勝手ながら強みとして考えてるのは、大学発のシード段階からの投資経験がそれなりにあるというところ。そして特定の領域に関しては、特定の専門知識とか経験豊富なメンバーがキャピタリストとして在籍しているというところが特徴かなと思います。

高橋
僕もキャピタリストの皆さん、専門性の高さとエッジが立っている方々がいらっしゃるので、困ったときのサポートがすごいなと思いますね。

伊藤
ありがとうございます。
僕がジャフコ時代に思ってたのが、1つ目に良いシーズとかいい先生が大学にいる。だけど、十分なお金が行き届いていない。そして2つ目は、経営者がいらっしゃらず、研究者の方が無理して経営しているケースがあったりとか。3つ目は大学自体がその先生からこれ事業化したいって言ったときに、やっぱりしっかりとサポートできる体制がないこと。
この3つを解決するようなVCにすべきなんじゃないかって当時思ったんですよね。やっぱりエコシステムを一緒に作っていかないと駄目だっていうふうに思っていて、社員3人目はヘッドハンターの鷺山でした。

高橋
鷺山さんには僕らも大変お世話になってます。

伊藤
まず彼を採用したのも、大学発ベンチャー投資をしたいけど、問題は人材だと。経営されてるとわかるんですけど、お金も大事だけど、やはり人材にむちゃくちゃ価値ありますよね。
だから僕たちは、ファンドももちろんしっかりと資金を供給するし、加えて資金と同じぐらい価値の大きい人材も供給できるVCになろうということで。その辺りも1つ強みなんじゃないかなというふうに思ってます。
今でこそいろんなVCがHR機能を持ってますけど、業界の中でいち早く人材紹介業を取得しましたし、2014年の創業期からずっと力を入れています。

高橋
僕らも3年ちょっとご一緒させていただいてて、そこの手厚さというか、何か安心感はやっぱりすごいなっていうのを、ずっと思い続けてますね。

伊藤
本当そこは、投資の失敗を振り返ると、やっぱり事業って人で成功するし、人で失敗するなというところあるので、本当に人材供給のところはすごく大事な我々のファンクションかなと思ってますね。

高橋
ありがとうございます。Beyond Next Venturesは、産学連携というフィールドを中心に、しっかり資金と人、長期での支援ができる体制のファンドというのが特徴というのがよくわかりました。

Acompanyへの出資背景と、出資して3年を経てどう感じるか?

高橋
ここから少しトピックを変えて、初めてAcompanyに出資していただくってなったときに、伊藤さんはなぜ出資することにしたのかをお聞きしたいです。

伊藤
Acompanyさんに投資してるのが、我々が2018年頃に立ち上げた2号ファンドで、そのお金の一部を使って名古屋大学の2号ファンドを私達がGPとしてやらしていただいています。ですので、当時から名古屋大学発ベンチャーさんを積極的にソーシングして投資をしていました。
その中で、高橋さんに直接お会いしたときに、なんかこうやって目の前にして言うの恥ずかしいんですけど、非常に起業家として素晴らしい方だなというふうに、初めてお会いしたときに思ったっていうとこですね。

高橋
おお〜、ありがとうございます!
どういう点を好評いただいたのか、ぜひお聞かせください。

伊藤
元々高橋さんを認識したのは、みらいプロジェクトの牧野さんを通じてですね。「非常に意欲的な起業家の高橋さんをサポートしてますよ」って話を聞いて、「ちょっと1回紹介してください」ってお会いしたんです。

高橋
そうですね。

伊藤
お話したときに、何でしょう、非常に事業に対してすごく意欲的な印象を感じました。
あともう1つは、テクノロジーのところにすごく関心が高い。ちゃんとディープテックテクノロジーを使って新しいサービス新しい事業を作っていきたいというところにすごく惹かれましたね。

高橋
いやあ、ありがとうございます。初めてお話させていただいたのが、投資していただく半年ぐらい前だったかな。初めて会って3ヶ月後ぐらいからプレAラウンドの話をさせていただいた中で、僕の視点からいくと、Beyond Next Venturesの皆さんの、スタンスがすごい特徴的だなって思ったんですよね。

伊藤
本当ですか。

高橋
はい。僕らもいろんな方と話す中で、もちろんビジネスや技術に話もあるんですけど、マインドセットをすごく見られたなという印象があります。
伊藤さんの質問内容など含めても、他の方々と比べてウエイトが重いなって思ったんですよね。

伊藤
確かに僕の癖というか、今のうちの投資のメンバー、初めて投資を始めた人たちにもよく言うんですけれども、とにかく経営者のことについて聞く。1時間お時間いただいたとして、半分は社長のことをとにかく聞く。これをまずやった上で、事業や技術の話を聞くみたいな感じでやっています。
それで高橋さんにも多分、「何でこの事業を始めたんですか」、「元々どういう経緯で起業したんですか」とか、結構根掘り葉掘り聞いたんじゃないかなって気がします。

高橋
そうですよね。本当なんか採用面接かなって思いました(笑) 
そこから出資いただいて3年ほど経ちますが、当時の期待値に対して伊藤さん視点でどんなふうに感じられているのかなっていうのをお聞きしたいです。

伊藤
まず1つは、改めて投資してよかったなと思います。僕たちは初回投資、追加投資もやっていますが、やはり「高橋さんに投資してよかった、間違いないな」と思ってるのが1つ目ですね。
なぜかというと、初回投資したときって、秘密計算技術を使って、自分たちのコア技術として情報を秘匿した状態で分析をするためのプロダクトを提供するという話でした。
その後追加投資の時には、秘密計算技術ではなくプライバシーテックカンパニーとして、事業モデルを転換してやっていくという形で追加投資をしました。
やっぱり投資して思うのが、変わっていける柔軟さっていうところが素晴らしいなと。かつなぜ変われるかでいうと、やっぱりお客さん側のニーズとか、実際の市場環境とかを踏まえて、こういう形じゃないとビジネスやっぱ伸ばしていけないとか、商品を少し変えていかないとお客さんに受け入れられないとか、そのあたりをしっかりやっているなっていう印象があって。すごい学習意欲が高い経営者だなっていうのは思います。
あと、X(旧Twitter)なども時々見てますけれども、特に組織作りや採用のこだわりは、僕も内容を見て勉強させてもらってたりもするぐらい、学習意欲がむちゃくちゃ高いなと。
だからこそ、形を変えてピボットしながら、最終的な理想形に事業がシフトしていっているのかなと思いますね。
創業時のビジネス、ブロックチェーンからピボットして秘密計算になったことも、変わっていける人だと思いますね。3年間を振り返って。

高橋
ありがとうございます。
特に聞いてる方にぜひ伝えたいポイントなんですけど、僕たちが「こっちの方が正しい」とか「こうした方がいい」と思ったところを伊藤さんはしっかり受け止めてくれる。ピボットとかするときに投資家が入ってるとそういう身動きが取れなくなるのが怖いと言われたりするんですよ。
「なんでそんなに変化できるんですか?」、「投資家とバチバチにやってるんですか?」と聞かれたこともありますが、実際はそんなことなくって。
ロジカルに、僕らがこう変わった方がいいと思ってますと伝えると、確かにその通りだからいいですよねと、コミュニケーションがやっぱり円滑。その点はこの回を通じてぜひ感じ取っていただきたいです。

伊藤
確かに「VCって色々言うんでしょ」って言われたりもするんですけど、VCもスタイルがあると思ってて、自分たちは一度決めたらその方に寄り添っていく形のスタイル。
もちろん僕たちもリードの時は特に社外取締役に入ってしっかり関わっていいきますが、VCによってはリード投資先に対して、VC側の影響力を積極的に行使するスタイルもあります。

高橋
僕らは伊藤さんとご一緒させていただいている中で、そんなことはない。もちろん、間違ったことをやっていればご指摘いただく。正しいことをちゃんと正しくやっていれば、しっかり応援や、邪魔をすることは一切ないっていうのは、ここで伝えておけるといいかなと思っております。

伊藤
ありがとうございます。

社外取締役就任にあたって

高橋
3年弱ご支援いただいて、今回Acompanyが取締役会を設置をするに当たって、議論や正しい道筋を示していただいたりですとか、顧客開拓含めて色んなところでご支援もいただくというシナジーの観点からも、ぜひ伊藤さんには社外取締役に就いていただきたいと僕の方からお願いをさせていただいて、引き受けていただきました。
ぜひとも伊藤さんの視点から、社外取締役を引き受けていただいた理由や、社外取締役就任ということは、しっかり責任も出てくるとは思うので、その辺りをぜひお聞きできたらなと思います。

伊藤
私達のファンドの投資方針によるところもあるんですけれども、リードインベスターで関わる先に関しては、極力社外取締役として、自分も意思決定のサポートをするというスタンスで関わりたいと思ってやっておりました。
Acompanyさんは複数のVCが入ってらっしゃいますけれども、僕たちとしてもしっかりと関わりたいということで、社外取締役に就任した方がより会社のバリューアップに貢献できそうだと思い、お引き受けさせていただいたというところが1つあります。
もう1つは、高橋さんから言われてますけども、伊藤さんへの期待ってのは会社の経営・ガバナンスへの貢献という話がありました。
確かに自分も会社を10年間経営してきた経営者としていろんな経験もしていると思ってますし、投資先の会社に社外取締役としても関わっているので、そこでの経験を活かしてAcompanyさんの今後の成長に貢献できるんじゃないかなというふうに思っております。

高橋
ありがとうございます。ぜひ今後のAcompanyへの伊藤さん視点での期待と、社外取締役として関わっていく中での抱負を、最後お聞きできたらなと思います。

伊藤
繰り返しになりますけど、高橋さんは本当、柔軟に変わっていける方なので、これからのAcompanyは、今想像つかないような会社になってる可能性が高いだろうなというところが期待してるところですよね。
そして事業領域も、ますます顧客からのニーズが高まっていく事業領域かなと思ってます。かつ、僕たちが多く投資してる医療・ヘルスケア領域、その医療情報なども当然秘匿した形で、価値のある活動に生かしていくといったニーズがあると思います。
そういった領域にAcompanyさんのプロダクトを普及・促進していくことは、自分たちのネットワークを使って関わっていけたら良いかなと思っていますね。

高橋
ありがとうございます。僕らとしても伊藤さんに株主としてだけではなく取締役会の中にも入っていただいて、一緒にやっていけることも非常に嬉しいですし、よりAcompanyを成長させていくところ、一緒に苦しみも喜びも分かち合いながらやっていければと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いします!

伊藤
これからもよろしくお願いいたします!

Beyond Next Venturesからの宣伝・メッセージ

高橋
最後に、このポッドキャストを実は起業家の方とかが聞いていただいてまして、せっかくなので、宣伝の時間を作れたらなと思います。
Beyond Next Venturesさんからメッセージや、伝えておきたいことがあれば、ぜひお願いします!

伊藤
去年の3月末に、3号ファンドを立ち上げて今ターゲットは200から250億円規模を目指して募集しているところですけども、今のところ順調にレイズができてまして、VCの新規の採用っていうのを積極的に進めてます。

高橋
伊藤さんと同じように、起業を志しながらVCいいんじゃないかと思うような方はもうぜひ応募を!

伊藤
特にディープテックが大好きだとかですね、大学での研究をちゃんと世に出していく仕事をやりたいという、全く未経験の方でもウェルカムですので、ぜひ我々の会社HPの採用ページから、お問い合わせいただけたらと思います。
もう1個が、新しいファンドも順調に立ち上がってますので、今日僕が話したような考え方に合うなと思われた、いわゆるディープテックのスタートアップの方とか経営者の方がいらっしゃれば、ぜひお気軽に私のX(旧Twitter)でもいいですし、Facebookでもご連絡いただけたらと思います。真剣にちゃんと投資検討させていただきます。

高橋
ありがとうございます。伊藤さんにいろいろ語っていただくコンテンツって、インタビューとかあるんですけど、今日はもう結構深い話までいろいろお聞きできました!

伊藤
今回、音声で自分のことをここまで話したのは初めてですよ。本当に。

高橋
本当に貴重な発信コンテンツになるというところと、ぜひ伊藤さんは本当にめちゃくちゃ推しのキャピタリストの1人なので、ぜひぜひご連絡いただけばいいんじゃないかなと思います。

伊藤
ありがとうございます。

高橋
今日はお時間いただきありがとうございました。

伊藤
こちらこそありがとうございました!


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