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理想のキッチン探し72久我山

 翌日も内見でした。紛らわしいですが、この家は近所にあっただけで内見したわけじゃありません。急に行ったので、久我山の写真を撮り忘れたんです。雨の予報もあったのですが、夕方までは降らないというので、自転車で行きました、ちょっと遠かったけど。
 井の頭線の久我山駅から徒歩6分、西荻窪から徒歩17分。人気のエリアと言えばエリアですし、かなり家賃がお安いので、やはり競合です。ただ、杉並区は先着順なので、私たちが「6時までに申し込んでいただければ」1番手になれますと言われましたが、内見したのは2時から。移動時間もありますし、2人で話し合って採寸してレイアウトを計算するのにギリギリ。でもこの日はそもそも二つほど買い物の予定があり、voicyの収録予定もありました。いくらなんでも無理、というので夫が交渉してその日中に、ということで時間をもらいました。このせかされる工程が私たちは苦手です。自分たちにとって大事な部屋探しなのに、私たちがお客さんなのに、不動産屋の都合で「早く早く」と言われるのが多いのはおかしくないですか? 確かに大都会東京で、部屋を借りたい人はたくさんいるし、人気のエリアは競争率も高い。でも、暮らし方を選ぶのに効率が何より、最大限に優先されるのはおかしくないですか? どんな暮らしを選ぶかで、クオリティ・オブ・ライフが変わるんですよ? 家族の関係も健康も、場合によっては命がかかわっているんですよ? 人の命を何だと思っているんですか?
 自転車で物件まで行くはめになったのは、不動産屋さんが予定が詰まっていて、帰りは送れないと言われたからです。ほんと、客の都合より自分たちの都合なんですね、仕方ないかもしれないけどなんか釈然としません。
 部屋は1989年に建てられた3階建て賃貸マンションの3階にあり、階段で上ります。うちも3階で階段ですが、ここのほうが歩く負担を感じました。部屋割りは3LDK,約77平方メートルですが、LDKには窓がなく、南側の部屋からの採光を利用するしかありません。
 間取り図で気になっていたのは、部屋の二方向に収納があり、使える壁が少ない北側の5・5畳の洋室です。そこで真っ先にこの部屋の奥の凸面を測りました。幸い幅が1メートルあり、本棚を置いて人が立てる空間はありました。しかしクローゼットはこの部屋の幅1メートル分しかありません。もう一つの収納は1間分の押入れでした。廊下が若干広いので、本棚を一つ置けそうです。天井高は2300弱なので上置きは置けません。
 効率よく作った賃貸用のマンションの部屋を見た夫は「最初に住んだ馬込の部屋を思い出す」と言います。確かに、広さは違えど構成は同じでした。
 日当たりは悪くありませんが、奥の洋室は収納がなく、LDの部分は実質ダイニングのみなので、採光も必要でふだん開けておくだろう洋室のパソコン机はおそらくダイニングから見えます。
 キッチンです。ここは割と広く、前の居住者が長かったとのことで、キッチンを交換していたので、憧れのフラット換気扇がついた引き出し式のシステムキッチンが入っていました。後ろの壁を計ったら、今あるキッチン収納が全部入れられます。問題は吊戸棚に手が届かないぐらい。

 図面ではこんな感じ。

 幅は今より少し狭くなります。一番下も収納です。そこそこ収納力はあるので、吊戸棚がデッドスペースになってもある程度カバーできるかもしれません。しかし、キッチン以外の収納が割と貧弱で、しかも若干狭いので、ある程度モノがあふれることは想定しなければいけません。
 倉庫を借りて狭めの部屋、というプランも何度か考えていますが、実際にその不便を許容しても借りたくなる魅力的な部屋に出合えません。不便ばかりが目に付いてしまいます。
 また、久我山は一応サミットも駅前にあるし、喫茶店もあるので、使えると言えば使えますが、それほどステキな印象を私たちは受けていません。住んでいる方すみません、といえば多くの物件で同じような問題を愚痴ってしまってはいるんですが。
 西荻窪も人気の町で、飲食店はおいしいところだらけですが、それは遊びに行ければいいかということで、別に住んでいなくてもいいのです。などと言ってしまうのは、以前西荻窪で新鮮な食材がほとんどない八百屋に行ってしまったことなど、いい食材店がまだ見つかっていないからです。知り合いも住んでいますし、料理家さんの居住も多い町なので、知らないところにいい店がきっとあるとは思うのですが。
 帰ってくると、別に特に魅力はないけど、高円寺や阿佐ヶ谷に気軽に行けるこの住まいがいいなと思ってしまいます。キッチンは使いやすいし、仕事部屋を各自確保できているし、クローゼットも十分にあります。80平方メートルを切っているのですが間取りが上手なのです。しかも、阿佐ヶ谷でうまく見つけられなかった買い物が、地元の商店街で済んでしまいました。何かあれば頼りになる町なんだなーなどと思う。ここ数カ月、内見がうまくいかないのは、今の住まいに割と満足しているからという点が大きいかもしれません。迫りくるマンション建設工事とその先にあるこのマンションの取り壊し、そしてその間にある私たちの60歳超えの時期なのです。
 

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