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運動麻痺と感覚麻痺〜50歳脳卒中で片麻痺リハビリ中〜

2022年7月6日49歳の時に脳卒中で倒れ、1週間後めでたく50歳に。
後遺症で右片麻痺になり7ヶ月のリハビリ入院。12月25日から手のリハビリも兼ねてnoteをはじめ、2003年2月10日に退院。現在は通所リハビリ継続中。これまでの経緯と入院闘病記はこちら↓

理解されづらい感覚麻痺

今日は運動麻痺と感覚麻痺について書いてみたいと思う。
麻痺には力が入りにくくなる運動麻痺と、感じがわからなくなったり鈍くなる感覚麻痺の2種類がある。

どちらも麻痺になった本人にしか症状の辛さはわからないと思うが、運動麻痺は目で見てわかるので、比較的説明しやすい。一方、感覚麻痺は厄介で本人にしかわからない(見ただけではわからない)後遺症のため理解されづらい。

感覚とは外からの刺激を受けて生じる体の反応のことで、皮膚で触れた感じ(表在感覚)や関節などの身体が動いた感じ(深部感覚)がある。
感覚麻痺になると、たとえば触った感じは分からないが、動いていることは分かるなど、人によって感じ方は異なる。

代表的な症状としては、しびれやジンジンした感覚が続く「異常感覚」や、ニオイや音、味覚や触覚を過剰に感じる「感覚過敏」、末梢神経が刺激されて起こる「神経痛」、五感が消失する「感覚脱失」、鈍感になる「感覚鈍麻」といった症状がある。

わたしに起きた症状

わたしの場合、脳卒中の中でも「視床出血」という病名で、運動麻痺も起こるが、感覚障害が強く出る。視床が感覚(光・音・味・触覚・体の動きなど)を大脳に伝える中継所の役割を担っているからだ。

左脳の視床出血を起こしたので、体の右側が今も麻痺している(片麻痺)。手腕や脚だけでなく頭顔も含んだ右半分全部だ。

症状としては半身が動かない(運動障害)、感覚が鈍くなる(感覚障害)、ジンジンとした痺れ、ヒリヒリとした痛み(視床痛)などがある。また右半身だけ温度感覚や触覚に異常があり、触れたものの温度が通常より冷たく感じたり、濡れているように感じる。

また表在感覚(触覚・圧覚・温冷覚・痛覚)だけでなく、深部感覚(運動覚・位置覚・振動覚)にまで障害が及んでいるので、目で見て確認すればわかるけど、見えなくなると途端に自分の手足がどこにあるのかわからなくなり不安感に襲われるといったような症状がある。

目で見ながら物を触った時は質感や重さがなんとなくわかるのに、目を閉じて触ると全くわからなくなってしまったり、ある程度の重さがある物ならば持っていられても軽すぎる物だと持っている実感が持てず落としてしまったりする。

目で見て確認し補っている

例えば、左右の手のひらを目の前で合わせるといった動作。これを目を開けてやれば容易に左右の手のひらはピッタリと合わさるのだが、閉じた状態でやってみるとズレが生じる。

また右手の指をそれぞれ上下に動かしてもらう。目で見れば当然上に動かしているのか、下に動かしているのかわかるが、目を閉じた途端動きがわからなくなる。

パソコンのキーボードもそもそも麻痺や突っ張りがあるので、右手では最低限の文字とエンターキーぐらいしか打てないのだが、正しい位置に指を持っていくためには目で見て確認しないと困難だ。

膝においた手がズルズルと落ちてしまったり、止まっているはずの足が滑ってしまったりするし、手に持ったものが気づいたら落ちてしまったりするのも筋力や握力の問題ではなく深部感覚が鈍っていることが原因だ。

リハビリでできること

脳卒中を起こしてすぐは、まったく右手脚共に動かなかったため、徐々に動き始めてからも「あれ、どうやって動かしてたっけ?」と思うくらい動かし方がわからなくなっていた。だって以前は手も脚も無意識のうちに動いていたから。

リハビリでは、筋肉や関節をどう動かすのかを療法士さんと一緒に確認し、それを基に自分で動かしてみるという作業を繰り返す。

深部感覚の異常が生じると、どのように動いているか曖昧になるため、動かし方や動かす程度(力の加減や可動範囲)もわからなくなる。すると「与えられた感覚刺激を基に自分でも動かす」といったことが困難になり、動作にこわばりが出てしまったり、円滑な動作を妨げてしまう。

視覚によって「動かされている動き」と「自分で動かしている動き」を一致させていき、徐々に目で見て補うことをしなくても自然と動かせるようにするのが理想とされる。

三歩進んで二歩下がる〜♪

水前寺清子の 「三百六十五歩のマーチ」という歌の歌詞に「三歩進んで二歩下がる〜♪」というフレーズがあるが、リハビリはまさにそれ。急性期の頃のように毎日上り調子で劇的に良くなるわけじゃない。

ただ「三歩進んで二歩下がる」ということは、二歩後退しても少なくとも一歩は前に進んでいるわけで、振り返ってみたらできることが増えていたり、動きが良くなっていたり、なんらかの改善がみられる。

急性期→回復期ときて、半年以上を過ぎ今は維持期(生活期)と言われる時期にきている。昔はこの時期に来るともう改善が見られず、あまりリハビリも推奨されていなかったようだが、今はまだ回復見込みがあるので継続的にリハビリを行う人も少なくない。

わたしも発症してそろそろ8ヶ月になるが、退院してからもリハビリ専門病院で通所リハビリを行なっている。焦らずじっくり自分の体と向き合い、三歩進んで二歩下がる〜♪を実践中だ。


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